ホンダ横型エンジン
※この作品はフィクションであり、登場する人物・地名・施設・団体等は架空の存在です。
実在する人物・地名・施設・団体等とは一切関係ありません
スーパーカブ100EX
キャブレター時代のホンダ横型エンジンシリーズの完成形である。
4速ミッション・2次クラッチを備えた最強のエンジン。
「これってオークションで高値が付いてるやつ?大きいね」
「これを載せるんですか?」
驚く二人に答える。
「いや。残念やけどこれは使えない。部品供給が怪しい。」
壊れて直せないエンジンは使わない。コレクションだ。
「僕のエンジンに似てますね。」
「そうやな。速人のに載ってたエンジンに似ているけどな。」
言うより見せた方が早い。社外エンジンのカバーを外す。
「外見は似ていても中身が違うんや。中身はモンキーと一緒。
だからモンキーのクランクケースカバーが付く。この通り。」
「・・・・・。」理恵はよく解らない様だ。
「本物のカバーを開けるのは勘弁な。スマホで検索しておくれ。
カブのクラッチと全然違うのが解ると思うで。」
「2次クラッチが良いって言われてよく解らず買ったのに違ったんですね。」
「通学に使うなら普通のクラッチで充分やと思うで。マニアで海外から
部品を輸入して改造している人もいるらしいけど、そこまでは要らんやろ?」
「理恵ちゃんみたいなクラッチ無しは駄目ですか?」
「遠心クラッチが駄目なら世界中のカブが駄目って事になるな。
使い方次第やけど楽な事に間違いは無いな。」
「楽でいいよ~スクーターと違ってガチャガチャ楽しいし。」
運動神経は良いくせにクラッチレバーの操作だけは
ビックリするほど下手な理恵は遠心クラッチ派だ。
「普通に乗るだけならカブのエンジンをそのまま積んでしまえば良い。
ただ、モンキーやゴリラは車体が小さいからセル付きは無理。
キャブレターのスペースが無くなる。
キャブの邪魔にならない所にセルが付いているエンジンも有るけど
とっくの昔に生産終了している。中古は探すのに苦労するのと、
値段が高い割に程度が悪いから勧められんよ。」
「じゃあセルの無いエンジンで遠心クラッチが良いです。」
速人の使い方なら悪くないだろう。
国道を巡航するとなれば30㎞/hの原付一種では辛い。
原付2種の70~90㏄にしたいところだ。
「まぁ、家でゆっくり考えておいで。」
そんな話をしていると時間が過ぎて辺りが暗くなってきた。
親御さんに心配をかけるわけにいかないので二人を帰した。