『 義勇団〈スクール〉 』
「何とかなるもんだなぁ~」
ユフィ、レナ、ファルファと共にアドラー商会から出てきた酔狂は、ふと店を振り返って呟いた。
「見事な交渉でした!」
ファルファはそう言ってくれるが、
「あれを『交渉』って言って良いのかね?」
そんな酔狂の疑問に、
「いいと思いますよ」
ユフィがそう言って微笑み、レナがコクコク頷く。
それでも酔狂が納得いかない様子なのは、交渉にはあって然るべきと思い込んでいた、自分が可能な限り多くの利益を得るための腹の探り合いや駆け引きがなかったからだ。
店に入り、店員の一人にイザークがいるかと尋ね、知己である事を告げて呼んでもらえないかと頼むと、その後すぐに再会する事ができた。そして、挨拶もそこそこに相談したい事があると話すと店の奥へ通され、商談用と思われる個室で席に着くなり、酔狂は単刀直入に兵站機能を確保してほしいと頼んだ。
その唐突さに、ユフィ達は呆れ、イザークは困惑し、だが、詳しい話を聞きたいと言ってくれた。そこで、酔狂は、所々ユフィに補足してもらいながら、隊商と別れてから見知った事、聞き知った事をそのまま話し、イザークからの質問に対しては、話せない事は話せないと伝え、それ以外には全て答えた。
一通り聞き終えたイザークは、やはりと言うべきか、復活の時が迫っている古代の超兵器によって人類が存亡の危機に立たされている、などという話は信じ難い様子だった――が、酔狂は『交渉は専門外。義を通すために自分達が今知っている事実を話しただけで、信じる信じないはそちらの自由』と告げた上で、兵糧や必要とされるであろう物資を調達してもらう対価に、イーストエンドの向こう側で売れ筋の調味料や香辛料の調合方法、こちら側にはない回復アイテムの製造方法、その知識を提供する旨を伝えてから言った――『あとは好きなだけそちらで儲けて下さい』と。
イザークは、迷う素振を見せたのも束の間、会長は今不在で事後承諾になってしまうが自分の権限で請け負う、と約束してくれたのだった。
「こっちじゃ成人扱いされる年齢とはいえ、よくこんな得体の知れない若輩者の要求を聞き入れる気になってくれたもんだよな」
「これだけ大きくて繁盛しているお店ですから、独自の情報網を持っていて、信じるに足ると判断するだけの材料が揃っていたんじゃないでしょうか? あとは、短い間とはいえ、一緒に旅をして気心が知れていた事と、やっぱり先輩の裏表のない人柄でしょうね」
それが決まると、酔狂は自分がカットしたダイヤモンドなど宝石数粒と、製法を伝える予定の回復アイテム数点を手付として渡し、あとは、リアルで公認会計士を志望していてムサシと再会するまで〈エルミタージュ武術館〉などのクランの会計士として生計を立てていたユフィと、勇者を支えるための教育を受けているファルファ、長期遠征やそのための準備をした経験があるレナがイザークと話を進め、つい先程、今日のところは、となりお暇してきたのだが、めったに手に入らないという貴重な茶葉や酒、高級食材などをたくさん持たせてくれた。
「ですが、商人という人種はよく『信用第一』と口にしますが、『金の切れ目が縁の切れ目』と態度を一変させた、などという話は枚挙にいとまがありません。油断は禁物です」
「先生の人柄に惚れたという事がないとは言いませんけど、単純に金払いのいい客だと思われたんじゃないですか? あの宝石や回復アイテム、総額は八桁に届くでしょう?」
今日初めてイザークに会ったファルファとレナはなかなかに懐疑的だ。いや、それが普通なのだろう。
「まぁ、できる事はやった。ダメだったら、その時はその時だ」
酔狂は、開き直ってそう言い、それから皆とファクトリーに戻ると、
「えッ!? 僕がッ!?」
アイザックに丸投げした。
「所詮は刀を執るしか能のない一介の武芸者。それに加えて、魔動甲冑とかがあるイーストエンドのこっち側での『兵站』って、具体的にどんな物が必要なのか分からなくてな」
ちなみに、始めはユフィ達の誰かに任せようと思っていたのだが、ムサシと再会するのに苦労したミアとファルファ、置いて行かれた事が軽いトラウマになっているレナは側を離れたがらず断固拒否された。
「そういう訳で、後の事は任せた!」
「ちょっ、ちょっと待って下さいよ先生ッ! 僕がここに残ったのはそのためじゃ――ってここどこッ!? えっ? アドラー商会の? あっ、ちょっと待ってよ先生ッ! 酔狂先生ッ!? せ、先セェ――――~ッ!!」
――何はともあれ。
アイザックを【神境通】でアドラー商会に送り届けた酔狂は、クラン〈女子高〉の有志達を迎える準備に意識を切り替えた。
修行は欠かせず、やるべき事も多い。
限りある時間を無駄にせず、稽古に集中し、仕事に没頭し……ふと気付けばもう〈女子高〉の有志達を迎えに行く日になっていた。
「何時頃迎えに行くんですか?」
朝食後のお茶を急須から酔狂の湯呑へ注ぎながら訊くユフィは、華やかながら楚々とした落ち着きも感じられる和服姿。【耐火】と【防汚】の効果が付与されていている上、普通に洗濯できるので気軽に着られるからと、料理の時だけではなく、酔狂が〔破戒僧の作務衣〕でいる時はたいていこちらを身に着けている。
ちなみに、髪をアップにするのに使っている簪は、〔スプリガンの指環〕で小さくした〔龍を統べる者の杖〕。
「一〇時」
「じゃあ、新装備の受け取りはその前に済ませてしまったほうがいいですね」
新装備というのは、おののいも子達に頼んでいた、世を忍ぶ仮の姿である『ユフィ』『楓』『椛』用、それと、レナ、ファルファの新たな装備の事。
後の二人の場合は、新装備のほうがハイランクであるため、そちらと本名は『ムサシ』と同行する際に使用する事にして、今の装備は『酔狂』と行動を共にする世を忍ぶ仮の姿――『ラリー』と『マオ』の時に身に付ける事にしたらしい。
ちなみに、二人の偽名は自分達で決めたもので、レナのほうは、銃の扱いを教えくれた祖父から聞いた事がある女性スナイパーの名を拝借し、ファルファのほうは、師匠に呼ばれていた渾名との事。
――それはさておき。
レナは、出発前夜に催されるという送別会への出席を命じられていたため昨日の内に向こうへ行っており、現在、真秀庵の〔厨〕にいるのは、酔狂、ユフィ、ファルファ、アルジェとフィー、それに、必要はないが食べる事もできるからと同席しているフラウという面々。
「今日からここも騒々しくなるんだろうなぁ~」
静かで穏やかな時の終わりを嘆くような酔狂の呟きに、ユフィ、ファルファ、フラウは思わず顔を見合わせて苦笑した。
そこは、クラン〈女子高〉の格納庫。
ストライカー装輪式装甲車輌や兵站輸送用装甲トレーラーの駐車スペースというだけではなく、点検整備のための設備があり、高い天井には縦横に吊下げ型クレーンが移動するレールが奔っている。
「――あっ、お兄ちゃんっ……じゃなくて、――先生っ!」
格納庫に足を踏み入れた酔狂を真っ先に発見して声をかけてきたのは、150センチに届かない小柄な躰にたくさんの不思議を詰め込んだ活力漲るツインテールの少女――『もえたん』こと『鳴沢 萌』だった。
「おっ、衣替えか?」
「コスチュームチェンジ! 形から入ってみましたっ!」
以前は、旧型のスクール水着の上にセーラー服……などなど、様々な属性を人型に凝縮したような難易度の高い格好だったが、今は、猫耳付きヘッドホン型イヤープロテクターと、腰に巻かれた幅広のベルトに二丁分のホルスターと無数のマガジン・ポーチ、サバイバルナイフなどが取り付けられている様子がプリーツスカートのようにも見えるのは変わらないものの、首から上を除いた全身を包み込み、ピタッとフィットして躰の線が露わな何かのロボットアニメで見たようなパイロットスーツを着用しており、ブカブカのウィンドブレーカーを羽織って袖を余らせている。
ここには他の『鳴沢小隊』メンバーの姿もあり、稲森、宮司、轟はもえたんと同じパイロットスーツを身に纏っているが、清水、花菱の二人はモスグリーンのツナギ姿。
その面々以外にも、制服姿の『佐々木小隊』『風見小隊』『久遠小隊』など、フリーデンの地下で共に戦ったメンバーの姿が見受けられた。
「あれ? ミアさん――じゃなくて今はユフィさんだっけ?――は? なんか、いつも隣にいるイメージなんだけど?」
「ここにくる前に〈エルミタージュ武術館〉に寄って置いてきた」
何でも、受け取って終わりではなく、その前に最終調整をしたいのだとか。アールグリフのファクトリーからこっちへ来る前に、ゼグラードに寄って連れてきたので、今は楓と椛も一緒だ。
「――酔狂先生!」
もえたんと話していると、そこへ選抜隊の隊長を任されていた『佐々木 香』がやってきた。なんでも、今回もまた義勇団〈スクール〉の隊長を押し付けられたらしい。
そして、酔狂の到着に気付いたのはこの二人だけではなく、この時には既にその報せは全員へ伝わっており、いよいよ出発か、という雰囲気になったその時、見送りのクランメンバー達が押し寄せてきた。
「ちょっとっ、貴方達ッ! 収拾がつかなくなるから、別れの挨拶は送別会の時に済ませて、当日の見送りは禁止って事にしたでしょうッ!?」
佐々木隊長が声を張り上げるも、旅立つ友人の許へ駆けて行く少女達の足は止まらず、そこら中でハグしたり、泣いた娘を慰めたり……と、なんだか格納庫が卒業式終了後の校門周辺のような雰囲気に。もう会えないのかな? そんな事ない、きっとまた会えるよ! ……と、そんなような会話があちこちから聞こえてくる。
酔狂は、どうにも場違いな気がして、どうしたもんかなぁ~、と思案し、
「まぁいいか」
気にしない事にして、この総勢一〇〇名を超える志願者達を移動させるための準備を始めた。
決闘機は全部で一六機。その内、酔狂達がドライバー探しを担当する事になっているのはその半分の八機。更にその内の三機は既に酔狂とユフィ、楓と椛、ラリーとマオが乗る事になっているので、必要なのは五機分のドライバー、計一〇名。
はっきり言ってこんなに必要ないと思うのだが、行くというのだから仕方ない。
とはいえ、これだけの人数に加えて、装輪式装甲車輌や兵站輸送用装甲トレーラーも数台、その他の荷物まで全てを【神境通】で運んでいては身が持たない。
そこで制作したのが、《エターナル・スフィア》には存在しなかったアイテム――〔此方と彼方を結ぶ門〕。
見た目は鳥居を横から真っ二つに割ったようなアイテムで、二つに分かれていても実は一つ。時間と空間を超えてつながっており、片方から入ればもう片方へ出るその名の通りの転移門。
片方は既にファクトリーの壁に取り付けてあり、今、〔スプリガンの指環〕で小さくしていたもう一方を格納庫の壁に押し付けて天井ギリギリの大きさまで戻した。そして、触れた掌から〝気〟を発して起動すると――
「酔狂先生?」
そこには目を丸くしているフラウの姿が。ファクトリー側の〔此方と彼方を結ぶ門〕の前で待っていたらしい。
「おう、無事につながっ――」
「――あぁあああああああぁ~ッ!!」
酔狂がフラウに掛けていた声を掻き消すような大声が響き、ちょっとビクッとしつつ何事かと振り返ると、もえたんが物凄い勢いで駆け寄ってきて、
「貴女、ひょっとして〈ワールウィンド〉のマスコットのフラウちゃん?」
唐突にそんな事を言い出した。
目をパチパチさせた酔狂は振り返って知り合いなのかと尋ねると、目を丸くしていたフラウは首を横に振った――が、
「あぁ~っ、この姿じゃ分からないか〝にゃん〟?」
もえたんが、両手でグーを作り手首を曲げて猫っぽいポーズをとると、アンドロイドの少女は眼球が零れ落ちそうなほど目を見開き、
「えぇっ!? ま、まさか…………〈キティホープ〉のキャットさん、なんですか?」
「そうだよっ! 久しぶり~っ!」
満面の笑みを浮かべたもえたんが鳥居を潜り、フラウに飛びついて抱き締めた。
もえたんの勘違いではなく、やはり知り合いだったらしい。もう一度訊いてみると、フラウは、そうみたいです、とどうにも自信なさげで、
「キャットさん率いる〈キティホープ〉は、デビューから瞬く間にランキングを駆け上がり、並み居る強敵を打ち倒して堂々の一位に君臨していたのですが、ある日、突如解散を宣言してメンバー全員が忽然と姿を消してしまった、いろいろな意味で伝説のクランなんです」
それは、この世界では遥か昔の話。だが、今目の前にその伝説のクラン〈キティホープ〉のマスターを自称する人物が別の姿で自分の前に立っている。それが、本人だと確信を持てない理由らしい。
そして、フラウが、もし本当にキャットさんなら、とこの機会に事の真相を尋ねると、
「わたし達、学校のクラブ活動として《MEU》をやってたんだけど、学校の方針で、リアルマネーの賞金が出る大会には出場しちゃいけない事になってたの。それなのに、運営とか、他の上位クランとか、モブ達とかから、一位のクランには是非出場して頂きたく……、とか、次の公式戦には出るよな? とか、公式戦で戦えるのを楽しみにしている、とか、なんで出ないの? とか、出ろよ、とか、出ないならやめちまえよ、とか……もうね、いろいろ言われて鬱陶しくなっちゃったっ」
もえたんは、てへっ、などと明るく笑っているが……
「それに、そう言いたくなる気持ち、分からなくもなかったんだ。あのゲームの上位クランに所属してるのって、ほぼ全員がそれだけでご飯食べてるようなプロの廃人様達だったから。本気で命かけて戦ってるような人達からすれば、ただゲームを楽しんでるだけの私達って、控えめに言ってもすごく邪魔で不愉快な存在だったと思う」
束の間沈んだ表情を見せたもえたんだったが、すぐに、にぱっ、と笑い、
「でも、実は結構気に入ってて、最期までこの世界にいようか、なんてみんなと話してたんだけどねぇ~」
明るく、最期まで、などと何気に重い話を笑顔でしていると、〔此方と彼方を結ぶ門〕に気付いた少女達が声をかけ合いつつゾロゾロやってきて、
「あの、酔狂先生、それは?」
代表して佐々木隊長が訊いてきたので、一見ただの鳥居にしか見えないそれについて説明し……
「……と、まぁ、そんな感じだから、ホームシックになったらいつでも戻ってこられるし、何ならこっちから通う事もできるぞ」
そう告げた直後、格納庫に響き渡ったのは、行けば容易に戻ってはこられない、これが今生の別れになるかもしれない……などと、覚悟を決めて緊張していた出発組と友達のために涙していた見送り組が上げた非難の声。
良かれと思い、かなり頑張ってこれを作り上げた酔狂はたじたじとなり……あとの事はフラウに任せてその場から逃げ出した。
「やっぱり、女心は分からん」
つくづくそう思いつつ、酔狂がやってきたのは〈エルミタージュ武術館〉のホーム。
そろそろ最終調整とらやも終わっているだろうと思い、【他心通】で呼び掛ける。すると、ちょうど終わったところだという応答があり、このまま表で待つ事に。
程なくして、先に外へ出てきたのは、〔リネームシール〕で【ライセンス】の名前を変更したラリーとマオ。その二人は、相変わらずの前衛用に改造されたアルトス教団の神官服と〈女子高〉の制服だったので、あれ? と思っていると、
「私達はこちらが世を忍ぶ仮の姿なので」
「お披露目は、正体を明かす時のお楽しみという事になりました」
との事。内心で、そうなんだ、と納得し、ふ~ん、と返すと、何故か二人はどことなく不満そうに見えたが、まぁ、気のせいだろう。
次に出てきたのは楓と椛。
二人が身に纏っているのは〔花の戦の勝負服〕。和洋折衷な大正ロマン風の装束で、楓のほうが和の要素が濃く、椛のほうが洋の要素が濃い。正体はメイドな巴と巫女な静なので、そのあたりを逆転させたのだろう。
『どうですか?』
何かを期待するように訊いてくる姉妹。
それに対する酔狂の返答は、眉間に刻まれた険しいしわと、
「世を忍ぶつもりがあるのか?」
というのも、二人の装いは、非常によく似合っているのだが、身に纏っているのが華のある美少女達だからか、派手でこそないものの優美でとても華やかに見える。さぞ男に限らず世の人々の目を引く事だろう。
『ですよねぇ~……』
自覚があったらしく、がっくりと項垂れる姉妹。
『でも』
「あの二着はどちらも無理ですッ!」
「だから、実質これ一択で……」
楓は真っ赤になった顔を隠しながら悶え、椛はそう言って苦笑する。
楓の言う『二着』とは、おそらくビキニアーマーとボンデージだろう。何となく、今二人が身に纏っている装備を付けたマネキンの左右に、それらを装着したマネキンが並んでいる様子が脳裏に浮かんだ。
「まぁ、よく似合ってるし、正体が隠せるならそれで良いんじゃないか?」
そう伝えると、何故か二人は、ぽっ、と頬を朱に染めて機嫌を直した。
そして、最後にユフィ。お邪魔しました、と中の人に声をかけ、扉を閉めて出てきた。
身に纏っているのは女性用の〔精霊騎士〕シリーズ。ミニ丈のワンピースに、ホットパンツ、ロンググローブ、オーバーニーソックスを合わせ、袖口が広いフード付きのロングコートを纏い、ロングブーツを履き、両手足と胸にミスリル合金製の軽装甲を装備している。腰に幅広のベルトを巻いて剣帯で細剣を吊っており、アップにした長い髪をまとめているのは簪サイズに縮めた〔竜を統べる者の杖〕。
こちらも姉妹に負けず劣らず華やかだが、
「世を忍ぶつもりはある……のか?」
そう言って酔狂が首を傾げたのは、ユフィが、仮面舞踏会に付けるものとしては地味な部類のマスクをつけて顔の上半分を隠していたから。
「前衛職の装備を身に付けるのは初めてなんですけど、変じゃないですか?」
「変じゃないぞ。世を忍べるかはさておき、よく似合ってる」
えへへ、と嬉しそうに笑うユフィ。
その様子を見ていた乙女らは、こう訊けば良いのか、こう訊けばよかったのか、と学ぶと同時に流石だと感心した。
その後、おののいも子達に預けていた装備は全て受け取り、彼女達は次の仕事に取りかかって忙しそうだったと言うのでそのままお暇する事に。
そして、【神境通】の空間転位で楓と椛をゼグラードに送り届けてからアールグリフの地下のファクトリーに戻ると、案の定、〔此方と彼方を結ぶ門〕を通り抜けてこちら側へやってきていたお嬢さん達が騒々しくというか、姦しくしていて、
「あっ、先生っ!」
またしても誰より早く酔狂の帰還に気付いたもえたんが元気よく駆け寄ってくるなり、
「盗賊退治に行くので、引率をお願いしますっ!」
そんな事を言い出した。




