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『 信念のクロード 』

「おかえりなさい!」


 秘密の地下施設ファクトリーに戻った酔狂達を出迎えたのは、フラウと、万が一に備えて姉妹の護衛に残していったアルジェ。


 皆で、ただいま、と挨拶を返すと、これまでずっと非在化してユフィにくっついていたフィーが顕在化し、尻尾をゆさゆさ振っているアルジェの頭の上にちょこんと舞い下りた。


「それで、首尾は?」


 気になって仕方がないらしいフラウがすぐにそう尋ねてきたので、単刀直入に協力を得られそうだと伝える。すると、大いに喜んだ。


 そして、詳しい話は後でユフィから聞いてもらう事にして、とりあえず連れてきたレナとファルファを引き合わせ、


「1600メートル以上の超長距離狙撃をッ!? それは凄いッ! そして素晴らしいですッ!!」


 真人族の少女レナを、【狙撃の達人ザ・マイルマスター】の称号を持つ狙撃手スナイパーだ、と紹介すると、フラウは諸手を挙げて歓迎し、酔狂の仲間なら良いだろうと狙撃支援型決闘機ルーク乗り手ドライバー候補として、開発コードネーム〔オーバーホライゾン〕を使用しての訓練を許可した。


 この時、妖魅の猫族の少女ファルファは初めて目の当たりにした巨大ロボットを前にあんぐりと口を開けていたが、まさかほんの数分後には、中・近距離戦闘を得意とする自分が狙撃特化のレナのパートナーとして〔オーバーホライゾン〕に乗り込む事になるとは夢にも思わなかっただろう。


 ――それはさておき。


「皆さんは訓練中ですか?」


 姿が見えない他のメンバーの事が気になったらしいユフィがそう訊くと、


「クロードさんは、酔狂さん達が出発した後、一人でお城へ向かって、まだ帰ってきていません」


 クロードは、罠が用意されている可能性を考慮して自分一人で行くと決め、反対する仲間達を説き伏せて、ずっと言い続けていた目的を達成するために城へ向かった。整備班として皆をバックアップすると決めているアイザックは設備の把握に努めており、ミスティはクロードと共に乗るキングの決闘機〔アルファード〕で、かえでもみじはビショップの決闘機〔カグヤ〕で、どれに乗るか決まっていないビアンカとロビンはポーンの決闘機で訓練中との事。


 善は急げ、とレナ&ファルファの新コンビがフラウに連れていかれるのを見送った後、


「クロードさん、大丈夫でしょうか?」

「そりゃあ、どこまでが大丈夫で、どこからが大丈夫じゃないかにもよるだろ」

「無事に戻ってこられると思いますか?」

「そういう事なら、大丈夫じゃないと思う」

「それって、クロードさんが主人公っぽいからですか?」


 うん、と頷く酔狂。何の根拠もない思い込みだが、【宿命通】が働いているのか嫌な予感しかしない。


 ついこの間、〔秘伝極意書〕で虫の知らせならぬ【精霊の知らせ】を取得したユフィも何か思う所があるのか、それを一笑に付す事はなく真剣に思案し……


「……今回の場合だと、一番ありそうなのは、捕まって、尋問されて、何も答えず、友釣ともづりの囮、っていうパターンでしょうか?」


 『友釣ともづり』とは、鮎掛鉤あゆかけばりを付けた糸に生きた鮎を囮としてつないで水中に放し、そこを縄張りとする鮎が攻撃を仕掛けてきたところを鉤にかける鮎釣りの方法の一つ。この場合は、救助を必要とする状態の生きた敵を囮として、それを助けようと現れたその仲間を捕らえる、または仕留める罠の事。


「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

「悪く考え過ぎって事ですか?」

「そう言われてみるとそうかもしれないって気がするし、備えるべき最悪には弱いような気もする」


 ――何はともあれ。


 憶測に憶測を重ねても意味はない。そこで、この話はここまでとし、クロードの無事を祈り、帰りを待ちつつ、自分達は今できる事をやる事にした。




 その日の夜。


「まぁ、仲間が心配だ、って気持ちは分からなくもないんだけどねぇ~」


 そうひとちた酔狂は今、吹き抜けて行く風にローブの裾をはためかせながら城壁の上で佇み、皇帝の宮殿を眺めている。


 何故そんな所にいるのかというと、日課の夜稽古の後、外に出たついでにクロードの様子を探りに来たのだ。


 彼は夜になっても戻らず、ビアンカとミスティは今すぐ城へ迎えに行くべきだと主張したが、どうして一人で行ったと思っているんだ、と説得され、クロードを信じて待とう、というロビン、アイザックに引き留められてその場は断念した。


 しかし、尾行する者の存在に気付いて戻ってこられないのかもしれない、言いがかりをつけられたり濡れ衣を着せられたりして拘束されているのかもしれない……などなど、心配は尽きず、悪い想像ばかりが膨らんで夕食も喉を通らない――そんな二人の様子を、見て見ぬふりはできなかった。


「さて、どうやって捜そうか……」


 ミスティだけではなく、クロードにも【追跡】のマーカーをつけておけばよかった。これからは万が一に備えて、要注意人物だけではなく友人知人にもつけておく事にしよう。


 そう心に決めた酔狂は、はてさて、と思案し…………能力【六具神通】の技術【他心通】を使ってみる事にした。


 〝紋章クレスト〟持ちでパーティ登録もしているビアンカ達の【念話】は使えなかったらしい。それはおそらくホームの主である皇帝が管理者権限で外部との【念話】を禁じているからだろう。


 だが、【他心通】は、顔と名前と〝気〟の質が一致する相手にならパーティメンバー以外にも念話で意志疎通する事が可能な上、既に把握してもう【技能】のアシストなしに使う事ができるので、おそらく……


〝こちらは酔狂、クロード、今応答できるか?〟


 声に出さずそう呼び掛けると、


〝……酔狂…先生? どうして…先生が……?〟


 通じたのは良いが、拷問でも受けたのか、受け取った思念の弱々しさに眉根を寄せる酔狂。


 クロードが訊いているのは、パーティ登録していないのにどうして念話が成立しているのか、という事だろうが、


〝お前さんが心配だ、って悄然としているビアンカとミスティを見てられなくてな。お前さんを迎えに来たんだ〟

〝――ダメだッ! 来てはいけないッ!〟

〝そうかい? この人呼んで酔狂先生が、罠である事を見越して、邪魔する者を皆殺しにし、他のあらゆる障害を排除し、必要ならこの城を跡形もなく吹っ飛ばせるだけの用意をしてきたんだが、それでもダメかね?〟


 クロードが絶句する気配に、酔狂は楽しげに口の端を吊り上げ、


〝思念が通じた事でそっちの位置は把握した。これからそっちに行く。ただ、ダメそうだったらとっとと尻尾を巻いて逃げるつもりでいるから、あまり期待はしないでくれ〟


 そう伝えると、どう答えるか迷うような間をおいて、


〝…………絶対に…無理はしないで下さい〟


 酔狂は、はいよ、と返して【他心通】を終了し、


「さて、じゃあ、――行ってみるか」


 酔狂はフードを目深に被り、仕込み杖〔アデプトスタッフ〕を携えて、城壁から躊躇なく飛び降りた。




 【神境通】とは、時間と空間を自在に渡る力の事であり、それだけではないが、端的に言ってしまうと空間転位と結界の内外の移動を可能にする技術。


 それに、【仙人】の隠形と〔黄昏を征く者の外衣〕の能力が合わされば、皇帝の城を守る強固な結界も厳重な警備もないに等しく、酔狂は誰にも発見される事なく地下牢へ辿り着いた。


「すまんね」


 牢番は全員不意打ちで気絶させ、鍵束を拝借して牢内を進み…………とある鉄の扉の小窓を開けて中の様子を窺う。そして、中にいるのがクロードだと確認すると、


「――それでも隠れているつもりなのか? 品のない殺意が駄々漏れだぞ」


 鉄の扉が並ぶ通路の奥、その闇がこごったような暗がりに向かって声をかけた。


 そこから滲み出るように現れたのは四人。体格からして男。同程度の身長、同じ覆面、同じ黒ずくめの装束、同じ二本のナイフと完璧に個性を殺した暗殺者の一群。


「いずれは来るだろうと確信していたが……」「早過ぎる」「何故ここだと判った?」


 独特の発声で誰が話しているか分からないため、一人が話しているようにも、数名で言葉をいでいるようにも聞こえる――が、そんな事はどうでも良い。


 酔狂はそんな暗殺者達に向かってあまりにも無造作に歩を進めながら、


「礼には礼を、無礼には無礼を――それが俺の流儀だ。逃げるか来るかさっさと決めろ。じゃないと、――選ぶ間もなく終わっちまうぞ?」

『…………ッ!!』


 暗殺者達の殺気がいっきに膨れ上がり、四人が一斉に襲い掛かる。


 その動きは常人の域を遥かに超越しており、都市結界内だというのに【ステータス】の補正を受けているとしか思えない速度で――それを酔狂は、のらり、くらり、ゆらり、ふわり、とかわし、四人の間をすり抜けた。


『………~っ!?』


 突進から急制動。そして、四人は素早く振り返って――見た。酔狂の右手に、レイピアのように身幅が狭く鏡のように磨き上げられた剣身を有する片手用直剣があるのを。


「仕込み杖……ッ!?」

「いったい…いつの…間に……?」


 それは、いつの間に抜いたのかと訊きたかったのか、それとも、いつの間に斬ったのかと訊きたかったのか――まぁ、どうでも良い事だ。


 暗殺者達は、ドサッ、と一斉に崩れ落ち、微塵の殺気も漏らさず緩やかとすら言って良い動きで、すり抜け様に四人を、胴薙ぎ、切り上げ、袈裟、同払いに斬り捨てた酔狂は、〝気〟を通していたため剣身には血の汚れも油の曇りもないが、習い癖で地を突くように血振りしてから剣を納める。そして、


「まったく……」


 酔狂は一つ嘆息し――手裏剣を打つ。


 指環〔フォースナイフ〕で生成された柳の葉状の棒手裏剣は、クロードが捕らわれている房とは別の、開きっ放しになっている扉の小窓に吸い込まれ――そこから覗いていた五人目の右眼球を貫いて脳髄に達した。


 おそらく、その暗殺者は万が一の備えで、救出に来た者がクロードを支えつつ出てきて身動きが儘ならない所を狙うつもりだったのだろうが、


「気配の消し方はなかなかなのに、そうも品のない殺意が駄々洩れじゃあ台無しだ」


 最後の暗殺者を仕留め、酔狂はクロードが捕らわれている房に足を踏み入れた。




「拷問を受けたのはこれが初めてかい?」


 上半身は裸に剥かれ、拳や棒状のものでさんざん打ち据えられたと思しき傷が無数にあり、バンザイするような格好で両手首を拘束され鎖で天井から吊られている――そんなクロードに話しかけると、


「……はい……」


 弱々しいながら返事があった。


「めったにできない経験をした感想は?」

「……一度で…十分です……」


 クロードは項垂れたままそう言い、血と唾液に濡れた口の端を吊り上げた。


「さて、どうしようか?」

「…………?」

「薬を飲ませてから拘束を解くか、拘束を解いてから薬を飲ませるか、それとも、拘束を解いてみんなの所に戻ってから薬を飲ませるか」

「……とりあえず、拘束を…解いて…もらえますか……? この体勢…たぶん…先生が…想像して…るより…きついので……」

「はいよ」


 酔狂は、足枷をはずしてから手枷をはずし、崩れ落ちそうになったクロードを支えた。


「……申し訳…ありません。……忠告して…頂いたのに……」

「後悔してるのか?」

「…………いいえ。……帝国国民として…すべき事を…しました……」


 そう言った後、全く後悔していないと言ったら嘘になりますが、と自嘲気味に付け加えるクロード。


「なら良いさ」


 酔狂はそう言って帝国国民の鑑の前で背を向け、片膝をついて有無を言わさず躊躇うクロードを背負い、


「じゃあ帰るか、みんなの所に」

「はい」


 二人は地下牢を後にした。




 秘密の地下施設ファクトリーに帰還した時点でフラウが感知して報せたのだろう。深夜と呼ぶにはまだ早いが、夕食後からこの時間まで不安を紛らわせようとするかのように操縦訓練に取り組んでいたミスティ、ビアンカ、ロビンが、コックピットから飛び出して駆け寄ってきた。


「クロードさんッ!」

「クロードッ!」

「おいおい、ボロボロじゃねぇかっ!」


 酔狂はクロードを背から降ろして彼の仲間達に預け、


「こいつを飲ませてやりな。その程度の傷ならすぐ治る」


 そう言って、先に手を出したビアンカに〔中級回復薬ミドルポーション〕を渡し、後は任せてさっさとその場から離れる。後ろから掛けられた感謝の言葉には、振り返らず手を上げて応えた。


 工場のほうから移動してきて仲間達の許へ全力疾走して行くアイザックを横目に、駐機姿勢の決闘機が整然と待機している広いホール、その片隅に築かれた『真秀庵まほらあん』――ユフィミアがそう命名するまでは適当に『野営シリーズ』と呼んでいた〔四阿あずまや〕〔四阿・二型〕〔かわや〕〔くりや〕〔湯殿ゆどの〕などを〔渡り廊下〕で接続した陣営――へ向かう。


 その途中、彼らだけにしてあげようという配慮なのか、少し離れた場所からその様子を見守っていたユフィ、楓、椛、レナ、ファルファに迎えられ、


「フィー、アルジェ、ただいま」


 肩に舞い降りて頬に身を摺り寄せてきた妖精竜フェアリードラゴンを優しく撫で、尻尾をフリフリやってきた大型犬サイズの敬虔なる猟犬パイアスハウンドをわしゃわしゃ撫でる。


 自分より先に召喚獣達にただいまを言ったのが不満らしい嫁さんを含む仲間達にも軽く帰還の挨拶をすると、


「たった一人で敵の城へ乗り込んだんですかッ!?」


 ファルファが詰め寄ってきた。それに酔狂が、おう、と答えると、


「どうしてそんな無謀な事をッ!? こういう時こそ仲間みんなで力を合わせるべきでしょうッ!?」


 それに頷いているのはレナだけ。達観というのか、諦めの境地というのか、ユフィと姉妹は、自分達にもこんな頃があったよねと言わんばかりに顔を見合わせた。


 酔狂はファルファの頭に、ぽんっ、と手を乗せ、


「心配してくれたんだよな? ありがとう」


 そう言ってナデナデし、どさくさに紛れるようにして猫耳をモフり、でもよ、と手を下ろして続ける。


「俺は何でも一人でやろうなんて気はないし、潮時を見て退く事もできる。自慢じゃないが、生き延びる事に関してはちょっとしたもんなんだぞ。獲得条件が『絶望的な状況下から生還する事』っていう曖昧で確かな事が分かってない【生還者】の称号だって持ってるんだからな」

「……そうなんですか?」


 酔狂は、おう、と頷き、ファルファが上目遣いで真偽を探るようにこちらを見ていたので、


「見てみるか?」


 何も考えず思いついた事をそのまま言ってしまった瞬間、


「――見たいです!」

『私もッ!』

「わ、私も見たいですッ!」


 ユフィ、姉妹、レナが声を上げた。


「ん~――…、まぁいいか」


 都市結界が封印するのは【ステータス】と【技能】。だが、【ライセンス】の項目に施された【秘匿】のON/OFFを切り替える事はできる。


 そこで、全て【秘匿】されている称号の中からそれを無効にするため【生還者】を探していると、


「先輩、【生還者】だけじゃなくて、全部見せて下さい」


 ユフィがそんな事を言い出した。


この異世界こちらでは、【ステータス】の称号のらんにセットしたものだけではなく、その欄がなくなって獲得した全ての称号の効果が保持者に反映されますよね? だから、どんな称号をどれだけ持っていているか分かっていれば、先輩が単独行動や独断専行して姿が見えなくても、安心して帰りを待っている事ができます」

「ふむ……」


 それはとても良い事のように思えた。そして、全員が決して口外しないと約束したので、まぁいいか、と全ての称号の【秘匿】を無効化し、【ライセンス】を可視表示する。


 それを、ユフィ、楓、椛、ファルファ、レナが顔を寄せるようにして覗き込み……


『………………』


 絶句した。心なしか顔から血の気が引いているようにも見える。


 元は職種ジョブだったものとそれに関連する称号以外は、【虐殺者】とか【破壊者】とか人聞きの悪いもののほうが多いので、まぁ仕方ないか、と思っていると、


「あ、あの、先輩? この【神殺し】って何ですか?」

「亜神とか、堕神とか、邪神とか、魔神とかを単独で撃破か撃退するのが獲得条件の称号だ」

『そ、それじゃあ……ッ!』

「この【討ち滅ぼす者】というのは?」

「初めて見たし、聞いた事もなかったんだけど……?」

「【龍殺し】とか【巨人殺し】とか、今の【神殺し】とか、【――なになに殺し】って称号を全て揃えるのが獲得条件の称号だ」


 姉妹は密かに尊敬と畏怖の念を新たにし、


「こ、こ、こ、殺したんですかッ!? か、神とか、龍とか……ッ! それも単独でッ!?」


 酔狂が何でもない事のように、うん、と頷くと、レナは震え上がった。


「…………本当にない。【勇者】も【英雄】も……」


 何度も上下にスクロールさせ、目を皿のようにして探していたのは【生還者】ではなかったらしい。そんなファルファの弱々しい呟きを聞いて、え? と声を揃えたのは楓と椛で、


「ムサシ殿は〔秘伝極意書・英雄伝説〕を入手していたはず」

「だから、【英雄】はあるでしょ?」


 〔秘伝極意書・英雄伝説〕は、使用すると特殊能力【英雄の資質】か【伝説の盗技】のどちらか一方を取得する事ができる。そして、【英雄の資質】を取得して熟練度が一〇〇%に達すると【英雄】の称号が手に入る。


 それを聞いたファルファは、一筋の希望の光を見出みいだしたような顔をした――が、直後に一転。


「ないぞ。俺が取得したのは【伝説の盗技】のほうだからな」


 そう答えつつ【ライセンス】の表示をクロールさせ、だからほれ、と指し示した称号は――【天下御免の大泥棒】。


「何故ムサシ殿ほどの武人が盗みの技を?」

「すごく以外」

「いらなかったからだ。【英雄の資質】を取得する事で修得できるようになる【獲得経験値上昇】とか、【売値増加】とか、【買値減少】とか、あと【英雄】の称号も」


 他のプレイヤー達とは違い、修行のついでで手に入った〔秘伝極意書・英雄伝説〕だが、売買・譲渡が不可のアイテムで、使わないのはもったいない。


 それと先述した理由から消去法で取得した【伝説の盗技】だが、それで修得できるようになった、制限は厳しいものの最も希少価値の高いアイテムを一〇〇%の確率で盗む【盗神の手練手管てれんてくだ】や、モンスターやプレイヤーに奪われたものを確実に取り戻す事ができる【奪還】などは重宝した。


 ――それはさておき。


 そのまま話は称号やその効果、獲得条件などへ移り、ファルファはショックを受けたらしく意気消沈し…………結局、独りで城へ乗り込みクロードを救出するという単独行動や独断専行についてはうやむやになった。

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