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『 其の名は「五常」 』

 《MEU》でのプレイヤーの事である『エクスドライヴァー』とは、特殊な強化手術――ナノマシンを体内に注入する事で電子神経網と脳に張り付くように擬似脳を形成。それによって神経系が高速化され、肉体が強烈な慣性に耐え得るよう強化され、利き手と反対の手の形成される有機電極で機体と直接つながる事で感覚的に決闘機モノマキアを運用する事が可能となった存在の事。


 そして、『乗り手ドライバー』とは、〔秘石アーティファクト〕と融合し、中量級魔動甲冑や重量級魔動甲冑を操縦するのに必要不可欠な〝紋章クレスト〟を獲得した者の事。


 ミスティは左手に有機電極を有し、クロード達は全員が〝紋章〟を有しており、ミスティが、中量級魔動甲冑や重量級魔動甲冑は決闘機をこの時代の技術で復元したものだという事を確認している。


 故に、クロード達は決闘機を操縦する事ができる。


 では、〔ティンクトラ〕と融合し、〝聖痕〟を有する酔狂達はどうか?


 話を聞く限りだと、〔秘石〕と〔ティンクトラ〕は同じもので、〝紋章〟と〝聖痕〟は同じ機能を有していると思われる。


 では、それをどうやって確かめれば良いのか?


 答えは簡単。実際に乗ってみれば良い。


 ユフィが、チームでの行動に慣れていて、銃器や近代兵器の扱いに長け、戦闘能力だけは無駄に高い集団をつれてこられるかもしれない、と伝えると、この国の問題だと考えているクロード達は、他国よその武装集団を自国に招き入れる事に難色を示したが、アイオーンは全人類の敵でありこの国だけの問題ではない、という認識のフラウは大歓迎だと喜色を浮かべた。


 だが、ではすぐに協力者を募りに行こう、とはならなかった。


 何故なら、その前に確認しておかなければならない事があったからだ。つれては来たものの乗れなかった、では話にならない。


 そんな訳で、


「――では乗ってみましょう!」


 という事になった。




 全体的に見ればスマートで引き締まった印象を受けるが、腕や脚は太く力強く、凄まじい膂力と瞬発力を予感させる藍色を基調とした決闘機。和洋折衷な感はあるが、一枚の大きく厚いプレートの装甲ではなく、薄いプレートを少しずつずらして重ね合わせたような洗練された形状の甲冑を纏うその姿は、やはり騎士ナイトというより『武者』を彷彿とさせる。


「〔百眼の観測者アルゴス〕――昇降口開放ハッチ・オープン


 フラウの音声を認識し、ひざまずいているそんな機体、その胸部にあるハッチが開放された。


「搭乗し、説明した通りの手順で起動する事ができたなら、まずは戦闘支援AIこのこに名前を付けてあげて下さい」

「ん? 〔アルゴス〕って名前なんじゃないのか?」

「それは開発段階で付けられた仮の名前です。乗り手である貴方が、自分の相棒パートナーに相応しい名前を付けてあげて下さい」

「いや、そんな大事なこと急に言われても……」


 しきりに首を傾げながら考え事をしていた酔狂は、周囲に他人ひとの目がある事を失念し、機体をじ登るのではなく、ハッチまで軽々と跳躍してユフィと姉妹を呆れさせ、他一同を驚愕させた。


「うぅ~む……想像してたよりも狭いな」


 それに、操縦席コックピット内は、階段状に二席バケットシートがあるだけで、コンソールは見当たらず、無数のスイッチやレバーが並んでいるという事もない。


 酔狂は、はぁ~……、と一つ諦めのため息をつき、前席のドライバー用シートに腰を下ろした。


 右側の肘掛けの先には、銃のような引き金トリガー、マウスのようなホイール、他ボタンが二つあるグリップが、左側の肘置きの先には黒い半球が、足元には短いスノーボードのような両足を固定する器具付きの踏み板ペダルがある。


 両足をペダルに乗せ、右手でグリップを握り、


「はてさて、吉と出るか凶と出るか……」


 黒い半球に左手を乗せて聖痕を接触させた――その瞬間、


「――うぉッ!?」


 唐突に、ジャキンッ、と飛び出してきた拘束具のようなものに左の肘から先を肘掛けにガッチリ固定され、シートの躰に接触している面が流動して最もストレスの少ない形状に変化した。そして、ハッチが閉鎖される。


「ふむ……乗れた、って事で良いのかね?」


 酔狂が暗いコックピット内を見回しながらそう呟いた直後、一気に視界が明るくなると同時に広がった。


 おそらく視覚に映像を割り込ませているのだろう。シートに座っている自分だけが空中に浮かんでおり、見回せば上下を含む全方位が見え、自機の手足や下にいるユフィ達、フラウ、クロード達はもちろん、一六機の決闘機が整然と待機している広大なホールの様子が見渡せる。実際は狭くて暗い操縦席にいるのだろうが閉塞感は皆無だ。


〔初めまして 酔狂様 私が貴方のサポートAIです〕


 どこからともなく聞こえてきたのは、年齢不詳の中性的な音声。名乗っていないのに知っているのは、聖痕から【ライセンス】や【ステータス】を読み取ったからか……。


〔酔狂様 私の名称を決定して下さい〕


 酔狂は、おう、と応じ、相棒となる決闘機に命名する。


「お前さんの名は、――『五常』だ」

〔ゴジョウ〕

「『五常』ってのは、〝仁〟〝義〟〝礼〟〝智〟〝信〟――武人が常に備えるべきとされる五つの徳の事だ。お前さんは、知能おのれを持っている。故にこそ、そうあれ、という願いと、ただの兵器に成り下がるな、という戒めをこの名に込めた」

〔五常 ――登録を完了致しました〕


 その瞬間、頭部にある二基のカメラアイに光が点り、白兵戦型決闘機〔五常〕が起動した。


〔私は五常 これより酔狂様をサポートさせて頂きます〕

「『様』はいらない。よろしく頼むな、相棒」




 酔狂としては、そのまま乗り回したかったのだが、そうした場合の被害を考えると、この施設内で飛んだり跳ねたり駆け回ったり得物を振り回したりする訳にもいかない。


 そんな訳で、少し歩き、数度スクワットしただけで、元の位置に戻って駐機姿勢を取らせ、渋々〔五常〕から降りた。


「乗り心地はどうでしたか?」

「思ったより悪くない」

『戦えそうですか?』

「ん~……、ある程度なら行けそうだけど、やっぱ試してみない事には何とも、な」


 ユフィや姉妹の質問に答えた酔狂は、何気なく〔五常〕を振り仰いだ。


「で、俺達も乗れる事が分かった訳だけど、何人連れてこれば良いんだ?」


 ユフィは引き受けてくれる者がいるかどうかと心配していたようだが、声を掛けたら我も我もとごっそり押し寄せてきそうな気がする。


「多ければ多いほうがいいです」


 想像していなかったフラウの回答に、え? と聞き返すと、


「精鋭の中の最精鋭に乗ってもらいたいので、叶うなら、競技会を開催して優秀な乗り手を選抜したいと思っています」


 なるほど、と思うし、ただ数が揃っていればいいという訳ではない、とか、個々の力など高が知れている、とか、連携して戦うには相当の訓練が必要なのだがそんな時間はない、などといった旨の事を言っていたのはどうした? とも思ったが、まぁいいか、と胸中で呟き、


「分かった。じゃあ、ちょっと行ってくる」

「お戻りはいつ頃になりそうですか?」

「俺は今日中に戻ってくるよ」


 それに、えッ!? と驚きの声を揃えたのはユフィと姉妹。


「今日中に? フリーデンまで行って戻ってくるんですか?」

「俺は、な。あちらさんにもいろいろと準備があるだろうし、連れてくるのは早くても二、三日後になるんじゃないか?」


 酔狂が平然と答えると、ユフィ達は唖然とし、


「とりあえず、今日は俺だけで行ってくるから、ユフィ達は寝泊まりの準備や夕食の用意を頼むよ」


 そう言うと、酔狂はこの施設の出入口に向かって一歩踏み出し――ふと思いついて足を止め、相棒となった決闘機を振り仰いだ。


「なぁ、五常。お前さん、俺が乗ってなくても動けるのか?」

〔可能です 制限はありますが〕

「じゃあ、起立」


 指示に従い、〔五常〕が滑らかな挙動で立ち上がる。それを見て、ふむ、と頷いた酔狂が道具鞄から取り出して装備したのは〔スプリガンの指環〕。


 そして、誰が何かを言う間もなく、全長およそ一二メートルの決闘機モノマキアが、一瞬にして一八〇センチ程に縮んだ。


「ふむ、全身甲冑を着込んでいるように見えなくもないな。――支障は?」

〔システム・オールグリーン 異常ありません ですが 状況が理解できません〕

「お前さんは、この指輪の能力で縮んだ。で、たぶん戸惑ってるんだろうな。まぁ、臨機応変に行こう」


 酔狂はそう言って〔五常〕の肩を、ポンポンっ、と叩き、


「じゃあ、ちょっと〔五常〕と一緒に行ってくる」

「先輩! それなら私も行きます。経緯とか説明する必要があるでしょう?」

「ふむ……それもそうか。じゃあ、楓と椛はどうする?」

『私達は』

「早く〔カグヤ〕に乗りたいのでお留守番してます!」


 そう言って満面の笑みを浮かべる椛に対して、楓は一つため息をついてから、


「こちらに残って、寝泊まりの準備などできる事をやっておきます」


 ユフィから準備に必要なものをいろいろと受け取った姉妹に、いってらっしゃい、と見送られ、酔狂、ユフィ、それに、そのままでは流石に目立つとユフィに指摘されて、ごくありふれた通常級〔旅人のマント〕を纏いフードを被った〔五常〕と共に、フリーデンへ向けて出発する。


 その一方で、クロード達は、酔狂達が〔四阿あずまや〕などを小さくして持ち運んでいる事を知っていたはずなのに、人間サイズになって自律行動する決闘機の姿を目の当たりにして絶句し、元SF世界の存在であるフラウは、理解を超えた非科学的な現象を目の当たりにして動作を停止フリーズしてしまい、そんな美少女アンドロイドを再起動させようと呼び掛けるミスティの声が広いホールにどこかむなしく響いていた。




 初めは万屋〈七宝〉のリビングへ渡ろうと思っていたのだが、都市結界を無効化できないユフィと〔五常〕が一緒では不可能だった。


 そこで、【地図/現在地】と【天眼通】を併用し、出現予定地点に障害物が存在しない事、人気がなく目撃者が存在しない事を確認した後、ユフィと〔五常〕を自分に掴まらせて一歩前へ。【神境通】で時間と空間を渡り、その足で地面を踏みしめた時にはもう、そこはフリーデンの市壁の外。


「本当に一歩でアールグリフからフリーデンまで戻ってきたんですね……」


 ユフィは、唖然呆然といったていで、かつての軌道エレベーター、その外郭をそのまま利用している市壁を見上げ、〔五常〕は空間転移したという事実を受け止めきれないのか、フリーズこそしていないものの無反応。


 ――それはさておき。


 今日中にあちらへ戻る予定なので、〔リネームシール〕を使って名前を戻したりまた変更したりするのは面倒臭い。そんな訳で、ムサシとミアは、酔狂とユフィのまま自由都市フリーデンの南側ゲートを潜った。


「ふむ……あんま久々って感じがしないな」

「しますよ」

「そうか? 〔五常〕はどうだ?」

〔この都市に来たのは初めてです〕


 服装や人数の違いなども手伝って、堂々としていると案外気付かれないもので、酔狂、ユフィ、〔五常〕がそんな事を話しつつまず目指したのは、この世界で我が家と呼べる場所。パーティ〈セブンブレイド〉の拠点ホーム――万屋〈七宝〉。


 その途中――


「おっ!」


 酔狂達の前を、真っ白な猫が横切った。


「白猫に前を横切られると、何か良い事が起こるんだよな」

「そうなんですか? 黒猫に前を横切られると縁起が悪いっていうのは聞いたことありますけど」


 酔狂は、あれ? と首を傾げ……


「……まぁいいか。そう言えば、あのにゃんこ、元気にしてるかな?」


 ユフィが言った『黒猫』という単語で、ふとあの絶望の森で助けた若い黒猫の事を思い出した。それで酔狂が少し遠い目をしていると、


「あのにゃんこ……って、交易都市メンディで妖魅街の病院に預けたっていう?」

「そう」


 ユフィは、そんな夫を好意的な目で見詰めながら、元気にしているといいですね、と微笑んで、


「そう言えば、その猫って妖魅族の方だったんですか?」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。〔ティンクトラ〕を得る前で、【分析】や【看破】が使えなかったから分からん」


 猫の事は気にしていたのに、人かもしれないという話になった途端に興味を失いどうでも良さそうに言う酔狂。そんな夫の様子に、ユフィは小さくため息をいた。


 ――何はともあれ。


 この時間なら万屋〈七宝〉みせにはナナミさんがいるはず。だから、二階の居住スペースへ行く前にただいまを言いましょう、といった旨のユフィミアの提案に、元々在庫が足りているか確認するためにきたのであって二階へ行くつもりはなかった酔狂ムサシは、余計な事は言わず、うん、と頷く。そして――


「ん? なんだありゃ?」


 店の戸に手をかけようとしたところで、二階へ上がる外階段の前に一人用のテントが張られているのに気が付いた。


 気配はない。今は誰もいないようだ。


「職場に近いほうが楽かもしれないけど、カイトとミサキさんが寂しがってるんじゃないか?」

「ナナミさんがここで寝泊まりしている訳じゃないと思います」


 じゃあ誰なんだ? と思ったが、まぁいい。直接本人に訊いてみれば判る事だ。


 酔狂は戸を開けて万屋〈七宝〉の中へ。


 すると、そこで店番をしていたのは、思いがけない人物だった。




「いらっしゃいま……あぁ――――~ッ!?」


 元気に挨拶している途中で店に入ってきたのが酔狂ムサシだと気付き、目を見開いて大声を上げたのは――


「何でレナが店番してるんだ?」


 亜麻色の髪を肩の高さで整えた中性的な面差しの美少女。今は、私立情報之海総合学院付属女子高等学校の最も標準的な制服とお仕着せのエプロンを身に着けている、クラン〈女子高〉の特選隊狙撃班所属のスナイパー――『レナ』こと『レナード』だった。


 それから何故か唐突に泣き出したレナをユフィが慰め、そうしている内に奥で在庫の確認をしていたナナミさんが何事かと慌てて出てきて……という一幕を経て、


「どうして私を連れてってくれなかったんですかッ!?」


 ひとまず泣き止んだレナがそんな事を言い出した。


「どこに?」

「旅にですよぉッ!」

「何で?」

「あんな一生かかっても対価を払いきれないような凄いライフルをくれたじゃないですかッ! あれって、これを持って俺についてこい、って事だったんじゃないんですかッ!?」

「違うよ」


 背景に、ガ――――ン、という文字を幻視してしまった程あからさまにショックを受けた様子のレナは、目にじんわりと涙を浮かべ、ユフィがそんな美少女狙撃手を慰めながら話を聞く。


 それによると、当時、ムサシがそう遠くない内に旅立つであろう事は想像するに難くなく、レナ自身がそんな風に思っていた事もあって、クランの仲間達からはうらやまれつつも応援されると同時に、ムサシとの、いては〈セブンブレイド〉とのパイプ役としての活躍を期待されていた。それで旅の準備していたのだが、置いてけ堀を食らい、皆は慰めてくれ、気にするなと励ましてくれるのだが、恥ずかしいやら、悲しいやら、申し訳ないやらでホームを飛び出した。そして、いつ帰ってきても分かるように万屋〈七宝〉の前でテントを張っていたら、ナナミさんに見付かって何をしているのかと問われ、事情を話し、それからはナナミさんの厚意で店員として働かせてもらえる事になった。


 そんな訳で、今もテント暮らしを続けつつ、訓練以外の時間は万屋〈七宝〉の店員として働いているとの事だった。


「パイプ役としての……、――先輩っ! あれ? 先輩?」


 ユフィが店内を見回しても酔狂の姿は見当たらず、眉尻を下げて申し訳なさそうにしているナナミさんが指差したのは店の奥の方。


 そして、話の聞き役をユフィに任せ、当初の予定通り奥の倉庫で在庫を確認し、旅の間に暇を見付けては作り蓄えていたもので補充し終えて戻った酔狂は、ユフィに睨まれ、レナに泣かれ、どうすれば良いのか分からず助けを求めたナナミさんにはそっと目を逸らされた。


 ――何はともあれ。


 酔狂は話を聞き、ユフィの提案に異論はなく、レナには早速パイプ役として活躍してもらう事に。


「……という訳なんです。では、詳細は後程、伺ってお話しするという事で」

「はい! それでは先に戻ってみんなに報せます!」


 勤務中だったのだがナナミさんは快く許可し、使命感に燃えるレナはエプロンを脱ぐと一礼してから店を飛び出して行った。


「それじゃあ、〈女子高〉のホームへお邪魔する前に、〈エルミタージュ武術館〉に行きましょう」


 ナナミさんに見送られて、酔狂とユフィは、店の隅で邪魔にならないよう置物と化していた〔五常〕を伴って、クラン〈エルミタージュ武術館〉の本部へ。


 ここに来たのは、〈女子高〉と同じく、《MEU》をプレイした経験がある者がいないか捜しに来たのだと酔狂は思っていたのだが、扉をノックしたユフィが入口に出てきてくれた少女に呼んでほしいと頼んだのが知り合いの生産職三人衆だったので不思議に思い首を傾げると、


「『ユフィ』『楓』『椛』用の装備について相談するんです」


 酔狂の心を読んだかのようなタイミングでユフィが口を開いた。


「先輩が言ったんですよ? 自分だけ変装しても、一緒にいる私達が『エウフェミア』『巴』『静』のままじゃ意味がないって」

「あぁ――…、そんなような事言ったような気がする」


 すっかり忘れていた。


 自由に出入りする許可は得ているものの、男の自分が本来男子禁制である本部ホーム内を勝手に歩き回るのは流石にはばかられる。故に、知り合いが出てきてくれるのを入口で待っていると、程なくして、バンッ、と勢いよく扉が開けられ、


「…………ッ!?」


 中から姿を現した少女が、そこにいた酔狂をまじまじと見つめて目を丸くした。


 その少女を見て、ん? と眉根を寄せる酔狂。それは、初対面のはずなのだが、どうもそんな気がしなかったからだ。


 艶やかな黒髪は、襟足だけが長く丁寧に編み込まれていて他は短めに整えられ、瑞々しい肌理細やかな肌は白く、その美貌は童顔で可愛らしい。目はぱっちりと大きく、瞳の色は左右で色彩が違っていて美しい緑と青。首には宝珠が象嵌された剣のような十字架の飾りがおしゃれなチョーカーを身に付けていて……


「や、やっと……やっとお会いできました……~ッ! 私の勇者様ぁあああああぁ――――~ッ!!」


 少女は、目に涙を浮かべて歓喜を爆発させ、そんな事を叫びながら酔狂ムサシに飛び付き――サッ、と避けられて顔面から地面へダイブした。

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