『 好きでも嫌 』
「目下の急務は、優秀な乗り手捜しと、決闘機を完璧に乗りこなすための訓練です!」
フラウは、そう話を切り出すと、席に着いていたユフィ、楓、椛に立つよう促した。
立っていた酔狂を含め、数歩下がって四人の立ち姿を観て……
「……その、揺るぎのない芯を感じさせながら、どこか掴み所のないその在り様は、アルフリードによく似ています。貴方は、何らかの武術を修めた達人ですね?」
下がった分だけ歩を進めて酔狂の前に立ったフラウは、そう確信を込めて言い放ち、
「その端くれである、と言うぐらいの自負なら持っているよ」
まだまだ修行中の身であると心得る酔狂がそう嘯くと、真に受けたフラウは満足げに頷き、
「それに、貴女方も相当な使い手と御見受けしました」
謙遜する乙女らに対しても満足げに頷いて、
「流石です、ミスティ! もうこれほどの使い手を揃えているとはッ!」
「え? えぇ~と、その……あの……~っ」
助けを求めはしたものの、まだはっきりとした答えをもらっていない。そのため、ミスティは返答に窮したが、フラウはそんな事は気にも留めず、
「『善は急げ』です! 機体の所へ行きましょう!」
満面の笑みで促され、一行はメインコントロールルームを後にした。
「なぁ、先生よ」
フラウが先導して通路を進み、クロード達が続いて、その後を酔狂達がついて行く。すると、ロビンが下がってきて酔狂に並び、
「武術を修めた達人って、あんた、魔術師じゃなかったのか?」
「違うよ」
「違う? って事は、魔術も武術もどっちもって訳じゃないのか」
「そりゃ買い被り過ぎだ。魔術だけじゃなく、法術の類は一切使えないよ」
「じゃあ、何でそんな格好してるんだよ」
ロビンが、酔狂の〔黄昏を征く者の外衣〕に目を向けながら訊くと、
「世を忍ぶためだ」
「世を忍ぶ……って、そりゃどういう――」
「――まぁ、気にしなさんな。その必要があれば正体を明かす事もあるだろうさ」
けど、と酔狂は表情を曇らせ、
「そうしなきゃならないような事態には、なってほしくないなぁ~」
酔狂としての装備では対処し切れず、本来の装備を纏いムサシとして戦わなければならないような事態は是非とも避けたいところだが、【宿命通】が働いているのか、どうにも望み薄な気がしてならなかった。
移動した先は、一六機の巨大人型ロボットが整然と待機している広大なホール。
「ここにある機体は全て同じ動力炉を搭載しています。ですので、出力に大きな差はありません」
フラウは、前列と後列の間を進みながら後ろの皆に聞かせるようそう前置きし、ですが、と続ける。
「前列のポーンの決闘機が、操縦のし易さを最大の特徴とし、装備を変更する事であらゆる状況に対応する事ができる癖のない機体であるのに対して、キングを除く後列のクイーン、ナイト、ビショップ、ルークは、特定の状況でこそ最も高い性能を発揮する、乗り手に高い能力を求める気難しくてピーキーな仕様の機体です」
一同は、半ばその迫力に圧倒されながら、それぞれの機体を眺めつつフラウの後について行き……
「まずクロードさん。ミスティに認められた貴方には、この機体を預けます」
フラウが足を止めたのは、前列のポーンを強化して豪華にしたような印象の機体――純白の装甲に黄金の縁取りや装飾が施された荘厳な決闘機の前。
「キングの決闘機――〔アルファード〕です」
一目見て、そうだろうなぁ~、と思ったのは、酔狂だけではないはずだ。
「先程の説明では、『キングを除く』と仰っていましたが、その理由は?」
律儀に挙手したビアンカが、フラウに許可を得てから質問すると、
「この〔アルファード〕は、『ミスティに認められた者』のための決闘機。ですから、どんな人にでも乗りこなせるよう、ポーンと同じく操縦のし易さを特徴とした機体だからです」
〔アルファード〕は特殊な機能を有し、専用装備が用意されているが、それらと外装以外はほぼポーンと同じとの事だった。
「この機体に……俺が……~っ!?」
驚き、戸惑い……クロードの顔には様々な感情が滲み出て入り混じっているが、やはり一番濃く表れているのは喜びだろう。感極まっているといった感じだ。
「次に、確か、カエデさんとモミジさん……でしたよね?」
思わぬ指名に、えッ!? と姉妹が声を揃え、
「お二人には、この機体を預けたいと思います」
フラウがそう言ったのは、キングの隣――骨格からして女性型で、真紅の装甲に黄金の縁取りや装飾が施された荘厳な決闘機の反対側――の機体の前。つまり、ビショップの決闘機。
『私達がこの機体を……~ッ!?』
「で、でも、どうして私達に後列の機体を?」
「ロボットを操縦するどころか、乗った事すらないんですけど?」
困惑しつつも乗る気になっているらしい二人は、初心者なら操縦し易い前列の機体のほうが良いのではないか、と考えているようだったが――
「この機体の開発コードネームは〔迦倶矢姫〕。〔夜叉姫〕をベースとした、シャノンさんとタチアナさんが開発に携わった機体です」
『――えッ!?』
バッ、と勢いよく振り仰いだその決闘機は、紫を基調として赤紫と青紫が彩っている。そのカラーリングはまるで……。
「シャノンさんとタチアナさんは、よく、自分達に薙刀と弓を教えてくれた、幼馴染みの親友であり師匠でもある双子の姉妹の話をしていました。カエデさんとモミジさんは双子ですよね? それに、お二人の事を気にしていたようだったので、不思議な巡り会わせを感じました。それでこの機体を預けたいと思ったんです」
美少女アンドロイドはそう語り、それを聞いて愕然とした姉妹は、揃って唖然呆然といった体で〔迦倶矢姫〕を見上げた。
「そして、酔狂さん。貴方に預けたいのはこの機体です」
そんな二人をそっとしておく事にしたらしいフラウは、酔狂を促して更に〔迦倶矢姫〕の隣の機体の前へ移動し、そのナイトの決闘機を振り仰ぐ。
「この決闘機は、彼が……剣の達人として名を馳せたアルフリードが開発に携わり、こだわり抜いた最高傑作――」
全体的に見ればスマートで引き締まった印象を受けるが、腕や脚は太く力強く、凄まじい膂力と瞬発力を予感させる藍色を基調とした決闘機。和洋折衷な感はあるが、一枚の大きく厚いプレートの装甲ではなく、薄いプレートを少しずつずらして重ね合わせたような洗練された形状の甲冑を纏うその姿は、やはり騎士というより『武者』を彷彿とさせる。
「――開発コードネームは〔百眼の観測者〕です」
その外観から、武人や刀剣に関連する名前だろうと予想していたのだが、全く違った。
酔狂は、ふ~ん、そうなんだ、と思って終わりだったが、ユフィは名前の由来が気になったらしい。素直に質問すると、感情豊かな美少女アンドロイドは、待っていましたと言わんばかりの得意げな笑みを浮かべ、
「百個には届きませんが、機体のあちこちに人の頭より少し小さいサイズの球体が嵌め込まれていますよね? あれを目に見立てているんですけど、実はあれ、全て高出力のレーザー発振器なんです」
機体については各機に搭載されている戦闘支援AIに聞いてもらったほうが早いんですけど、などと言いつつも、フラウは得意げに説明を続け、
「これは、攻撃にも使えますが、距離を詰める際に飛来する砲弾、ミサイルなどあらゆる攻撃を高性能のセンサー群で補足、照準するとほぼ同時に光速で迎撃する、『近距離で一対一』という状況を作り出すための装備なんです」
「まさに、先輩のためにあるような機体ですね!」
そう言って向けられたユフィの笑顔はとても可愛いが、
「ん? 何言ってるんだ? 俺は乗らないぞ」
酔狂のその発言に、ユフィとフラウが、えっ? と戸惑いの声を揃えた。
「ど、どうしてですか?」
「ま、まさか、この機体に何かご不満でも……~ッ!?」
「いや、見た目は格好いいと思う。乗ってないから乗り心地は分からないけど」
「じゃあ、どうしてですか?」
「乗ってみたいし、動かしてみたいし、ビーム……じゃなくてレーザーだっけ? それも撃ってみたい。だけど、これに乗って戦うのは御免だ」
「それは何故ですか?」
酔狂は、問いを重ねてくるフラウを真っ直ぐに見詰めて、
「それは、俺が武芸者だからだ。お前さんから見たら古いタイプの、な。もし戦に参加するのなら、俺は自分の足で戦場に立ちたい」
「決闘機と無人戦闘兵器が入り乱れる戦場に、ですか?」
顔に、信じられない、と書いてあるフラウに向かって、酔狂は、おう、と頷き、
「戦場に出るって事は、当然、討ち死にする事だってあり得る――そうだろ? 最期の瞬間が、得物を抜きもせずシートに座して、なんて御免蒙る」
そう言って踵を返す酔狂だったが、
「先輩!」
前に回り込んできたユフィに引き止められた。
「こればっかりは、可愛い嫁さんがどんなに可愛らしくおねだりしても譲れない」
酔狂がそう明言すると、ユフィは、か、かわい……~ッ!? と面と向かって放たれた褒め言葉にエルフ耳まで真っ赤になったが、高鳴る胸を両手で押さえて数度深呼吸し、自分を落ち着けてから、
「『食べず嫌いは損だぞ』――って、お義父様ならそう仰るはずです」
思わぬ所からの引用に意表を衝かれて、うぬッ!? と怯む酔狂。
「『物は試し』とも言うでしょう? とりあえず乗ってみるのがいいと思います」
「うぬぅ~っ、いや、でもなぁ……~っ」
「それに、――爆発はヤバイんです。先輩だって、異世界にきて分かったんじゃないですか?」
ユフィの言う通り。アニメや実写の映画、ドラマなどではたびたび、レイピアやナイフで、ズブッ、と一突きされただけで死んでしまったり、手榴弾がすぐ近くで炸裂し吹っ飛ばされても程なくふらつきつつも立ち上がったり、建物が崩壊するほどの爆発の中から生還したりするが、それはフィクションだからこそ。
殺意を持った人が殺人を犯した場合、被害者がたいてい滅多刺しにされているのは、そのぐらいやらなければ人間は死なないからで、衝撃波が人体に及ぼす影響は想像を遥かに超えて大きく、そんな事になれば一見傷は見当たらなくとも脳や内臓をやられてまず助からない。
【守護障壁】や【金剛】など身を護るための技術があり、【仙人】の称号を得た今の自分ならたぶん大丈夫だとは思うのだが、確かに、決闘機サイズの敵味方がライフルやミサイルを撃ちまくる戦場で生身はきついだろう。
「あと、『郷に入っては郷に従え』とも言うでしょう? こちらの戦に参加するのなら、こちらの戦場での作法に則るべきなんじゃないですか?」
「うぬぬぬぬぅ……~っ」
決闘機は攻撃するための武器であると同時に身を護る鎧でもある。兎にも角にも、一〇メートルを超える巨大兵器が入り乱れる戦場で、降り注ぐ熱光学兵器や大量破壊兵器の弾雨と荒れ狂う衝撃波の嵐の中を生身でうろつくような危険極まりない真似だけはしてほしくない――その一心で、ユフィの説得は続き……
「奥さんの言う事を聞く、か……」
結局、深々と諦めのため息をついた酔狂は、夫婦円満の秘訣を唱えた。
「楓さんと椛さんに〔迦倶矢姫〕を預けたという事は、複座式なんですよね? この〔アルゴス〕もそうなんですか?」
「はい。〔迦倶矢姫〕は少々特殊ですが、基本的にここにある機体は全てドライバーとオペレーターの二人で運用する事を想定しています」
フラウ曰く、一人で動かす事も可能だが、本来の性能を十全に発揮するにはやはり二人での運用がベスト、との事。
「それなら、私が先輩のオペレーターを務めさせて頂きます」
まぁそれならそうなるだろうなぁ、と思っていた酔狂に対して、フラウは、貴女にも一機預けたかったのですが……、と少し残念そうだったが、結局はユフィの意思を尊重した。
そして、残りのビアンカ、ロビン、アイザックの機体を選ぶためだろう。この場を離れていくフラウの後ろ姿を見送った後、酔狂は、跪く〔アルゴス〕の脚に寄りかかると気重な表情でため息をついた。
「そんなに嫌ですか?」
申し訳ないと思っているのか、心配してくれているのか、眉尻を下げているユフィにそう訊かれた酔狂は、寄りかかっている機体を振り仰ぎ、
「さっきも言ったけど、乗ってみたいし、動かしてみたい。けど、本来の俺は【侍】であり、今は【錬丹術師】であって、決闘機を駆る『エクスドライバー』とやらではないからなぁ~」
それに何より、本当に嫌なのは、本来の目的がこれ以上後回しになってしまう事なのだが……
「……まぁいいか」
ぐだぐだ言っても仕方がないし、何事もなるようにしかならない。
『先生! ユフィさん!』
酔狂が思考を切り替え、腹を決めたちょうどその時、我に返って落ち着いたらしい姉妹が二人の許へ。
『私達は』
「あの機体に……望と優が造った機体に乗ろうと思います」
「そして、二人がやり残した事を代わりにやり遂げようと思います」
どうやら意図的に『遺した』や『遺志』といった言葉を避けているようではあるが、二人は覚悟を決めたよい表情でそう決意を表明した。
それに対して酔狂は、ユフィもまた決然とした表情で頷いたのを見てから、
「相分かった。それなら、俺はこの国のためではなく、志を受け継いだ二人のために微力を尽くすとしよう」
それを聞き、姉妹は喜びと安堵が入り混じった表情を浮かべ、そんな二人に釣られるようにしてユフィも笑みを浮かべる。
「さて、そうと決まれば早速訓練を始めたいところなんだけど……」
「? どうかしたんですか?」
ユフィだけではなく、姉妹も気付いていなかったらしい。
乙女らは酔狂の視線を追って顔をそちらに向け、フラウとクロードが何やらよくない雰囲気で口論している姿を目撃した。ときおり発言するビアンカ、ロビン、アイザックは、クロードを弁護しているようで、ミスティは両者の間でおろおろしている。
「こっちはこっちで始めるか」
揉めているのを眺めていても全然面白くない。
そこで、酔狂が〔アルゴス〕を見上げて操縦席の昇降口を探していると、あっ、と揃った姉妹の声が。それで何とはなしに、チラッ、と目を向けると、フラウやクロード達がこちらにやってくるところで――
「すみません! これからの事について、皆さんの意見を聞かせて下さい」
話し合いならユフィ達に任せておけば良い。酔狂は安心して〔アルゴス〕をよじ登ろうとした――が、
「酔狂先生もお願いします」
流石にそう名前を出されてしまったからには素知らぬ顔をするのも憚られ、ユフィ達と共にとりあえず口論になった理由から聞く事になった。
一通り話を聞いた後、自分の頭でも理解しやすいように整理すると――
クロードは、これまでも何度か言っていたように、皇帝陛下に西の地で眠る脅威について報せなければと訴え、それが存在している証拠として、人類の敵に対抗するために用意された施設の存在を明かし、協力を求めて、軍の精鋭である機操騎士団の中の最精鋭部隊の機士達を乗り手にしてはどうかと提案した。
それに対して、国家の思惑や権力者の利益のためにここにある機体を使われたくないフラウは、どこの国や組織にも属さない私設の武装集団〈ワールウィンド〉として活動する事は決定事項であるとして、皇帝にこの施設の存在を明かす事や、それがどんなものであっても皇帝の命令には絶対に逆らわないような者達を乗り手にする事に猛反対している。
――という事らしい。
そして、いつ西の地に眠る脅威に施された最後の封印が解かれてしまうか分からない状況であるが故に、ビアンカ、ロビン、アイザックは、クロードの意見に賛同していて、ミスティは、どちらかと言うとフラウ寄りのようだが、はっきり自分の意見を言えずにおろおろしている……ように見えるが、
(自分の意見を言えない理由があってやきもきしている……?)
何となく、酔狂はそんな印象を受けた。
――それはさておき。
「先輩はどう思いますか?」
「早く訓練を始めたいと思っています」
「そうじゃなくて、クロードさんとフラウさんの意見についてです」
「どう……って、どうもこうもないだろ」
それはどういう事かと問う視線が集まると、酔狂は嫌そうにしながら、
「だって、この施設もこの決闘機も、フラウのものなんだろ?」
「はい。私が管理者ですから」
「なら、クロード達が選べる選択肢は二つ。アイオーンと戦うためにフラウの助けを『借りる』か『借りない』か、だ。それでお前さん達は『借りる』を選択したんだろ?」
顔を見合わせたクロード達がそれを肯定すると、
「それなら、フラウがダメだって却下した時点で、皇帝にここの存在を明かす事も、機操騎士団の機士達を乗り手にするのもなしになったんだ。どうもこうもないだろ?」
「では、どうやって乗り手を揃えろと?」
「それに、ただ数が揃っていればいいという訳ではないのです。各人が優秀である事も重要ですが、個々の力など高が知れている。力を合わせて戦わなければならないのです」
「だが、連携して戦うには相当の訓練が必要だ。一朝一夕でどうにかなるもんじゃねぇ」
「アイオーンの封印が完全に解かれてしまうまで、もうあまり時間がない。優秀な乗り手を求めて国中を捜し回ったり、一から連携して戦う訓練を行っている時間なんてないんですよ」
クロード、ビアンカ、ロビン、アイザックが口々に言い、それに対して酔狂は、
「お前さん達が言っている事は正しい。けどよ、――なぁ、フラウ。仮に、クロード達が皇帝にここの存在を明かして、乗り手に選ばれた軍人達を連れてきたら、どうする?」
「ここへの立ち入りを禁じます」
その宣言に、クロード達が驚きとも非難ともとれる声を上げ、再考を促そうとしたが、
「アルフリード達に託された私には、この『ファクトリー』と決闘機を管理する責任があります。私がこうして再起動した以上、許可なく立ち入る事は許しませんし、相応しくない者の手に委ねるなどあり得ません。――絶対に」
「という事は、もうやるべき事は決まっていた訳ですね」
他の誰かが口を開くよりも早くそう言ったのはユフィで、
「一つは、皇帝陛下に西の地で目覚めようとしている強大な敵の存在を報せる」
その発言で、酔狂を除く全員が、えッ!? と声を上げたが、
「――ただし、この施設とここにある決闘機の存在は伏せる。いつかは報せる事になるかもしれませんが、今はその時ではないと思います」
「『覆水盆に返らず』――一度でも話しちまったら、もう隠しておく事はできないからな」
「はい。タイミングを選びましょう」
そう言ったユフィが視線で問いかけると、クロードは仲間達と顔を見合わせてから、チラッ、とフラウの様子を窺い、それから首を縦に振った。
「後は、仲間捜しと、決闘機を乗りこなす訓練ですね」
『仲間捜しは』
「名を知られた個人ではなく、仁義に厚い傭兵団や」
「安全と信頼が売りの護衛団なんかを当たるべきかな?」
『と言うか』
「チームでの行動に慣れていて、銃器や近代兵器の扱いに長け、戦闘能力だけは無駄に高い集団なら一つ心当たりがあるのですが……」
「ロボットに乗りたいって言う娘も、構造に興味があるとか整備なら任せてって娘もいると思うんだけど……」
酔狂とユフィは、姉妹がどの集団の事を言っているのかすぐに分かった。
「というか、ひょっとして彼女達なら、中には《MEU》をプレイした経験がある人もいるんじゃ……」
ユフィがふと思い付いた言葉を口にすると、あっ!? と声を揃えた姉妹だったが、その後すぐ言っている最中から気付いていた事を思い出したらしく意気消沈し、
「ですが、流石にフリーデンは……」
「遠過ぎるよね……」
「それに、もし彼女達を呼びに行ってここに戻ってくるだけの時間があったとしても」
「イーストエンドを越えて無事につれてこられるかどうか……」
「――大丈夫だと思うぞ」
酔狂のその発言に、えッ!? と声を揃える乙女達。
「方法はある」
ユフィ、楓、椛は顔を見合わせた。それを言っているのが他の誰かだったなら信じられなかっただろうが、
「先輩がそう言うのなら……じゃあ、あとの問題は、助っ人を引き受けてくれる人がいるかどうかと――」
そう話すユフィの視線を辿るようにして、酔狂、楓、椛は、気付けば蚊帳の外に置かれていたフラウとクロード達のほうに目を向け、
「――管理者であるフラウさんとキングを預かるクロードさんが承知するか、ですね」




