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『 祈願派精霊術師と武芸指南役 』

 《エターナル・スフィア》の術者は、大きく三つのグループに分ける事ができる。


 一つは『呪文派』。発動準備時間が経過するのを待って、【火炎球ファイヤー・ボール】などの呪文キーワードのみを唱えて発動させる。


 一つは『詠唱派』。発動準備開始と同時に『炎よ我に力を……』となくても問題ない雰囲気を出すための文言を詠唱し、完了すると同時に【火炎球ファイヤー・ボール】と呪文キーワードを唱えて発動させる。


 一つは『祈願派』。スキルを発動させるための呪文キーワードをアレンジできる機能を使い、発動準備開始から完了まで、一小節以上の詠唱を呪文キーワードとして術を発動させる。


 詠唱派は途中がどうあれ最後の【呪文キーワード】さえ合っていれば術が発動するのに対して、祈願派は長詠唱を一文字でも間違えば発動しない。故に、ただ不発の確率を高めるだけだと言われていたのだが……。


 ――それはさておき。


 港と市街地をつなぐ太い通り2本ある。1本は人が往来するためのもの。もう1本は貨物を運搬するためのもの。


 ムサシとレナが主に貨物を運搬するための通りを進んで行くと、その先に、ビキニアーマーやボンデージを装備し、不謹慎だとは思うが、息を荒くして玉の汗が肌を伝う疲労困憊な様子がちょっとエロい戦乙女達の姿が。そして――


「――【母なる大地よ、生命の源たる水よ、地に根ざし天を支える大樹よ、傷付き疲れ果ててもなお心折れぬ者達に、今一度、絶望に抗う力を】」


 前方の仲間達を見据えたまま、空中にルーン文字を描くかのような流麗な動作で〔龍を統べる者の杖ドラグーンロッド〕を振るい、麗しき精霊族エルフの美しい声が響く。そして、能力【精霊術】の属性【地】【水】【樹】複合スキルが発動した。


 その場の全員を内側に収める巨大な魔法陣が出現し、豊かな森の幻像が現れ、木々の葉から降り注ぐエメラルドの光の粒が皆に降り注ぐ。すると、瞬く間に全員の傷が癒え、体力が回復し、気持ちが楽になり、【状態異常バッドステータス】が解消され、ベタつく汗やモンスターの返り血まで綺麗に洗い流された。


「すげぇ~……」


 現実とは思えない光景を目の当たりにしたムサシは心の底から感嘆し、ミアが〈エルミタージュ武術館〉の面々に囲まれ感謝の言葉を掛けられているのを眺めていると、


「――あっ、先輩ッ!?」


 こちらの視線に気付いたのか、振り向いて目が合った次の瞬間には泣きそうな顔で走り出し、飛びつかんばかりの勢いで駆け寄ってきた。


「大丈夫ですか!? 怪我とかしてませんか!? 隠さずちゃんと教えて下さいッ!!」

「大丈夫だし、奇跡的に無傷だ。だから隠す必要もない」


 ムサシはそう答えてから、ぽんっ、とミアの頭に手を乗せ、


「ミアも無事そうで良かった。それに、やっぱり綺麗ないい声してるよな。聞いてただけで癒された気分だ」


 微笑むような穏やかな表情でなでなでする。


 はぅっ!? と妙な声を漏らして長い耳の先まで真っ赤になったミアは、顔を俯けて、


「……こ、こんなのずるいです……、言おうと思ってた事、一杯あったのに……」


 何やら葛藤していたようだが、結局、気持ち良さそうに目を細めた。


「ごほんっ、お取り込み中のところまことに申し訳ないとは思うのですが……」


 そんなお約束な咳払いと台詞でミアの癒しに割って入ったのは、パーティリーダーのライア。妖魅の獅子族で、物干し竿の先にドラム缶を付けたような巨大な戦鎚を肩に担ぎ、ビキニアーマー装備でパレオのように獅子の皮を巻いている。


「強力な援軍が現れたところで作戦会議をしましょう。次が来るまであまり時間がない」


 ライアはそう言ってから海のほうを睨み、ムサシもその視線を追って海に目を向けた。


 結界の外、港湾から沖へおよそ1キロの海上。そこに、妖しい輝きを放つ直径10メートルほどの魔法陣が展開されている。


 その中心で、体長はおよそ2メートル、いかにも女という顔つきと身体つきをした1体のギルマンが怪しい動きをしており――その魔法陣から、体長170センチ前後の通常ギルマン――『ギルマン・ソルジャー』が2体と、サメに乗った『ギルマン・ライダー』が飛び出してきてそのまま海に潜った。


 それからも、3~5体のギルマン系モンスターが一定の間隔で飛び出してくる。


 クイーンが眷属を召喚しているのだ。


「海中ではギルマン・シャーマンが他の水棲系モンスターを召喚していて、ある程度数が揃うと一斉に襲い掛かってくるんです」


 ミアが言うには、【召喚】されては倒し、【召喚】されては倒しの鼬ごっこがもう何度も繰り返されている。そして、ギルマンのクイーンやシャーマンは、海のフィールド効果――海の霊気を吸収して回復しているらしく、いくら【召喚】を繰り返してもMPが尽きる様子がないらしい。


「それならクイーンとシャーマンを倒せば良い。けど、それをしないって事は……あいつらを利用して修行してるんだな」

「違いますッ! しないんじゃなくてできないんですッ! 法術系スキルは射程外。接近しようにも、精霊族の翅は思うように動かせず、【飛行術】は無効化されてしまうんです。泳いで近付くなんて論外。今海に入るなんて自殺行為です」


 飛べないのは、まず間違いなくこの結界の効力だ。水棲系モンスターは水中のように空中を移動できる。そして、水中では泳げても飛ぶ事はできない。そういう事なのだろう。


 ゲームの時には、攻撃終わりから次の攻撃または移動の間に妙な間があったし、行動がパターン化されていた。しかし、今は違う。故に、格段に動きが良くなっているギルマンその他のモンスターを相手に水中戦は分が悪いと言うのもわかる。


 だが、分からない事が一つ。


「なんであいつらを利用して修行しないんだ?」


 ミアとライアは、え? と声を揃え、他のメンバーも周りで困惑顔を見合わせている。


「やったらやり返される。善い事も、悪い事も。あいつらはこの都市にいた俺達を滅ぼそうとした。なら当然、俺達に滅ぼされる覚悟ができているはずだ。その上、引き際も弁えないような奴らに遠慮する必要はない。スキルを使って倒せば、〝気〟を感知する修行、〝気〟を制御する修行になる上、エリキシルまで手に入る。良い事尽くめだろ」


 それを聞いた皆の表情は、揃いも揃って『鳩が豆鉄砲を食ったよう』というのか『目から鱗が落ちる』というのか……とにかく、ムサシは思わず吹き出しそうになった。


 その時、響き渡る鋭く吹き鳴らされた指笛の音。聞こえてきたほうに目を向けると、屋根の上、静の隣にいる巴が海のほうを指差していた。


 どうやら休憩は終わりらしい。


 ムサシは海に向かって歩き、振り返って一同を見回した後、道具鞄からMP回復薬〔紺碧の霊薬〕を取り出して、グイッ、と呷る。そして、左から右へ向かって口に含んだ霊薬を霧状に噴き出した。


 称号【道具使いツール・マスター】と〔秘伝極意書〕で取得した特殊能力【アイテム有効活用法】の相乗効果で、〔紺碧の霊薬〕の回復量が増加、有効範囲が拡大し、扇型に広がった青く煌く霧が一同を包み込み、あっと言う間に〝気〟を完全回復させる。


 そして、驚いている一同に向かって、


「実戦に勝る修行はないッ! だが欲を出して戦いを長引かせるつもりもないッ! ガッとやってさっさと終わらせるぞッ!」


 そう宣言したムサシは、これからする事を全員に向かって簡潔に説明し、ライア、ミア、レナに指示を飛ばした。




 仲間の能力を把握しているライアの指揮で、部隊が迅速に再編制される。


 武術系スキルメインの前衛は、先頭横一列の5列縦隊。法術系スキルメインの後衛は、その後ろで得意とする属性ごとに別れスキルの発動準備に入る。


 ムサシは皆の前で抜刀し、道場で年少組の指導を任された時の調子で、


「意識を己の内側に向け〝気〟を感じ取れッ!」

『――はいッ!!』

「〝気〟を制御し体外へ放出する感覚を掴めッ!」

『――はいッ!!』

「敵の事など気にするなッ! ――構えぇッ!!」

『――はいッ!!』


 一定の間隔を空けて横一列に並ぶ先頭の5人がそれぞれ得物を構え、発動準備に入り……その身が揺らめくオーラのような発動光に包まれる。


 そのまま待機し……敵先鋒が海から上がってきた瞬間、


「――打てぇッ!!」

「「「――【裂風剣】ッ!」」」

「――【衝霊砲オーラ・キャノン】ッ!」

「――【断空翔撃】ッ!」


 5人が能力【長剣】【打撃】【斧鎚】のスキルを放ち、束の間の技後硬直が解けるなりすぐそれぞれの列の最後尾に回る。その後、新たな5人が前に出て発動準備を始め、ムサシの合図でスキルを発動させた。


 〝気〟の消費量が多ければ多いほど体内で流動する〝気〟を感知し易い。だが、敵の進攻速度、発動準備時間と技後硬直の長さを考慮して、使用するスキルは対象・複数、攻撃範囲・前方直線か扇型の中伝技に限定し、長篠合戦で武田の騎馬隊を退けた織田の鉄砲隊よろしく、スキルを放っては交替して次が、スキルを放っては交替して次が……立て続けにスキルをモンスターの群れへ叩き込む。


 その後方では、ミアに指揮された法術部隊が、アーチャーやマジシャンなど遠距離攻撃が可能なギルマンに向かって、与ダメージよりもとにかく〝気〟を感知し制御するすべを会得するために、法術系スキルを放ち続ける。


 更にその後方、屋根の上から、〔禍祓いの弓箭〕を覚醒させている静、ダメージは与えられないが1~15秒間必ず敵を【感電】させ行動不能にする魔導銃〔スタンボルト〕を覚醒させている巴、狙撃銃〔終止符を打つものピリオド〕を覚醒させているレナは、海中から飛び出して空中を泳ぐように移動するギルマン・ライダーその他を狙い、地上へ撃ち落す。


 レナは既に〔終止符を打つもの〕を使いこなしているようだった。単発手動装填式なため連射速度は遅いが、時には貫通させて後ろの1体、2体……と確実に1発で1体以上を撃ち抜いている。


 ちなみに、【狙撃の達人ザ・マイルマスター】の称号を持つレナがギルマン・クイーンを狙撃しないのはムサシに止められたからで、ムサシが止めたのは、クイーンには海上にいてもらったほうが良いからだ。


 ギルマン相手に水中戦となれば苦戦は必死。狙撃して仕留められれば良いのだが、仕留め切れず海中に逃げられ、そこで更に侵攻を諦めず眷属を【召喚】し続け……という展開は是非とも避けたい。それ故に、手出し無用と指示したのだ。


 そのムサシはというと、敵はどうでも良い、意識を己の内側に向けろ、体内で流動する〝気〟を感じ取れ……などと指導しつつ、サハギン、突撃魚、砲嵐海栗、鉄拳蝦蛄、ラーヴァクラブ、オオフナムシ……などなどスキルの嵐を掻い潜ってきたモンスター、阻止できず放たれた矢や銛、特殊攻撃、法術系スキルなどをまとめて怒濤の如き霊威を帯びた衝撃波――馬鹿げた威力の旋風斬りで吹き返し押し戻す。


 そして、これが何度目かは知らないが、今回も〈エルミタージュ武術館〉がモンスターの進攻を食い止めた。




 ギルマン・クイーンは戦闘中も、現在も、ポコポコポコポコ眷属を【召喚】し続けており、海中ではシャーマンもまた水棲系モンスターを【召喚】し続け次の攻撃部隊を編成している事だろう。


 対する〈エルミタージュ武術館〉の面々は、非常に効率の悪い戦い方をしていたため〝気〟が尽きて、ムサシ、ミア、御前姉妹、レナを除いた全員が息も絶え絶えと言った有り様。ライアのパーティは全員が意地で立っているものの生まれたての小鹿のように脚が震えており、それ以外は皆へたり込んでいる。


 その姿を情けないとは思わない。むしろ、気絶せずしっかりと意識を保っているだけでも上出来だ。


「……ム、ムサシさん……回復を……」

「しない。理由は〝気〟の総量を増やすため、その苦しみに耐える事も修行の一環だからだ。詳しい事はミアか静か巴に訊いてくれ。――【ミア、静、巴、皆を頼んだ】」


 ライアの頼みを素っ気無く断ったムサシは、〔名刀・ノサダ〕を納刀しつつ、一方的にパーティリーダーのミアを介した【念話】で3人にそう伝えた――直後、その姿が掻き消えた。


 驚愕し困惑する味方をよそに、ムサシはそう見える程の高速で移動すると同時に【隠蔽】を発動させ、ギルマン・クイーンに向かって一直線に――海面を疾走する。


 踏まれた海面は一瞬、〝気〟の干渉を受けた範囲が丸い鏡のような平面になり、足が離れたその瞬間、ただの海面に戻って波でその痕跡が消えてしまう。


 それ故に、ギルマン・クイーンは、最期の瞬間、その直前まで、突き抜ける一陣の風と化して接近する侍の存在に気付けなかった。


 足を止めたムサシは、軽く重心を落として腰に余裕を持たせた居合腰いあいごしで、左手を〔名刀・ノサダ〕の鞘に添え、親指を鍔に掛け――右手を右肩の上に持ち上げ、それに呼応して背後で付かず離れず浮遊していた〔太刀持鞘〕が宙を滑るように移動し、右掌の中に滑り込んできた〔屠龍刀・必滅之法〕の柄を握る。


 その瞬間、戦闘に類する行動をとった事で【隠蔽】が自動的に解除された。


 ギルマン・クイーンは、この時初めて人間ムサシが目の前にいた事に気付き――


「――【フツ】」


 初手は〔屠龍刀・必滅之法〕。抜く手も見せぬ居合一閃。


 愕然とした面持ちのクイーンは斬られた事にまだ気付いていないが、スキルの【キャンセル効果】で、眷属を召喚するために展開されていた魔法陣が木っ端微塵に砕け散る。


 スキルの動作補正システム・アシストによって抜刀、斬撃、納刀を刹那に行なったムサシは、即座に右手を翻し、左手親指で鍔を押し上げ鯉口を切った〔名刀・ノサダ〕を抜刀。先の真上から真下へ一直線の唐竹割りで左右に一刀両断されているクイーンを、抜き放ち様の右薙ぎで上下に両断し、その勢いのまま返しの一刀で袈裟に斬って捨てる。


 屠龍刀の抜刀からここまでにかかった時間は、まさに一瞬。


 これが、〔屠龍刀・必滅之法〕を主武装としながら、常に副武装の〔名刀・ノサダ〕で戦うムサシを対人戦の頂点に押し上げ、闘技場を出入禁止デキンにされ、〝変則二刀使い〟と呼ばれる要因となった独自技術オリジナル・スキル


 七支刀セブンブレイド流刀殺法――変異抜刀・御雷ミカヅチ


 全戦闘系技能中最速と規定されている神髄に至った初伝技【居合い】と二刀を用いた一瞬三斬。法術系、武術系を問わず、相手がスキルを使おうとした瞬間に初手で阻止キャンセルし、仰け反り状態ノック・バックで防御不可能な相手に続く二手目、三手目をクリティカルで連続ヒットさせて【気絶】に追い込む。試合ならTKOテクニカル・ノック・アウト、フィールドでの対PKプレイヤー・キラー戦、対モンスター戦では蹂躙の始まりを意味する脅威の必殺技だ。


 ――それはさておき。


 滑るように後退して間合いを切るムサシ。


 ふと斬られていた事を思い出したかのように、命脈尽きたクイーンが鋭利な切断面を晒してバラバラに海中へ没するのを見届けた後、〝気〟を通された刀身には血の汚れも脂の曇もないが、作法通り地を突くように血振りしてから〔名刀・ノサダ〕を納刀する。


 そして、非表示にしていた三次元レーダーを表示に切り替え、海中の敵の位置を確認しつつ、道具鞄から取り出した〔Ⅱ=Ⅴ遠隔起爆式爆弾〕を次から次へと海へ投げ込み、


「『発破の極意は「適量・適瞬」』って言ってたの、誰だったっけ?」


 結局思い出せないまま、まぁいいか、と右手で握ったリモコンのスイッチを親指で押し込んだ。


 同時に爆発する複数の爆弾。それなりの深さまで沈んでいたため水柱があがる事はなかったが、ドボゴボゴボゴボ……ッ!! と浮上してきた大量の泡が海面を隆起させ……複数の方向から同時に押し寄せた衝撃波に脳を、全身を激しく揺さぶられて気絶した大量の水棲系モンスターが浮かび上がってきた。


「そう言えば、確かこんな漁法があったような……」


 波間にプカプカと漂うモンスターを見てそんな事を思い出したのも束の間、海面を歩いて港のほうへ戻りながら、情け容赦なく手裏剣フォースナイフを打ち込んでいく。


 そして、【召喚】したギルマン・シャーマンを始め、【召喚】された全ての水棲系モンスターは、気絶から覚める事なく全滅した。




「水面に立ったり歩いたりするスキルなんて、《エターナル・スフィア》にはありませんでしたよね?」


 港へ戻ると、終わったのを見て埠頭まで迎えに来ていたミアにそう訊かれ、あぁ、と頷く。


 あれは【気功】の一種。〝気〟の干渉を受けた範囲が丸い鏡のような平面になる。その様子が水面に浮かぶ蓮の葉を彷彿とさせた事から【蓮葉歩】と名付けた。


「修得したいなら、まずは【体内霊力制御】と【練気】をしっかり修めて、水面に浮かぶ葉っぱの上に立つところからだな」


 得物に〝気〟を通しつつ【蓮葉歩】を維持しながら他のスキルを発動させる、といった具合に複数の事を同時並列的に行なうには【体内霊力精密制御】を会得していなければ不可能だが、ただ水面に立ったり歩いたりする程度なら、その二つを会得して【蓮葉歩】を修得すれば可能だ。


「屋根から屋根へ飛ぶように駆け回って、【投擲の達人】で、爆弾を使って、水面を歩いて、【錬丹術師】で……先輩ってもう【侍】じゃなくて、【忍者】とか【仙人】を名乗ったほうがいいんじゃないですか?」


 置いていかれた事を根に持っているミアは、ムサシが【侍】に強いこだわりを持っている事を知っていてあえてそう言い、その嫌そうな顔を見て少し溜飲を下げた。


 ――何はともあれ。


 敵はまだ残っている。


 〈エルミタージュ武術館〉メンバーは、大量の〝気〟を消耗した事による疲労に加え、自分達をジリ貧に追い込んでいた敵勢が、蹂躙というか、虐殺というか……とにかくなすすべもなく一方的に全滅させられる光景を目の当たりにした精神的な疲労ショックでぐったりしていたが、自分達の身ぐらい自分達で守れる、ある程度回復し次第合流する、と主張し、了解したムサシ、ミア、静、大薙刀に持ち替えた巴、レナの臨時パーティは、先行して索敵サーチ撃破デストロイを開始した。


 その後、レナからの【念話】でモンスターによる都市襲撃やムサシの動きを知り、独断専行したもえたんこと鳴沢なるさわもえ率いる鳴沢小隊に続き、クラン〈女子高〉こと〈私立情報之海総合学院付属女子高等学校・フリーデン分校〉の実動部隊が加わり、残党狩りが加速する。


 そして、冒険者ギルドがフリーデンに集めていた戦力がリベルタースに到着した頃には全てが終わっていた。

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