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『 御前姉妹 』

 堅く閉ざされていた金属製のドアが開け放たれ、衛生兵や救急隊員のような役割を担う女性達が緊急避難スペースの内部へ踏み込んでから数分が経過した。


 彼女達によって中から連れ出されたのは、要救助者6名の内――4名。


 救出作戦に参加した者達は否が応にも察してしまい、4人の生存を喜んでいるものの喜びきる事ができず、辺りに沈痛な空気が漂っている。


「……あっ、先輩?」


 邪魔にならないよう脇に退いていたムサシは、出入が絶えたところで緊急避難スペースへ足を踏み入れた。その後に、ミアとレナが続く。


 薄暗い、学校の教室と同じか少し狭いぐらいの空間。そこにいるのは、リタとサローネ、他に初対面の〈エルミタージュ武術館〉の関係者と思しき女性が4人と――要救助者の残り2名だと思われる少女達。


 1人は仰向けに寝かされたままピクリとも動かず、もう1人はそのすぐ隣で力なく座り込んだままその場から動こうとしない。


 ムサシが普段は見せない真剣な表情で近付くと、言葉を掛ける事もできず無力感に苛まれていた6人が気圧されたように脇へ退く。


 ムサシは譲られた道を進み、動かない、動こうとしない、自在族の若い娘達に歩み寄り、


「……ともえ?」


 仰向けに寝かされた少女の青紫色の長い髪と、無数の孔が穿たれ血に染まったメイド服、そして何より、その傍らに置かれている大薙刀を目にして驚きの声を上げた。


「……え?」


 その声に反応し、力なく座り込み最早涙は涸れ果てたと言わんばかりの表情で俯いていた少女がゆっくりと顔を上げる。


 長い髪の色は赤紫、瞳の色は青紫で血塗れの巫女服を身に着けているその娘は、


しずかか?」

「……まさか、ムサシくん……なの?」


 ムサシは、愕然と目を見開く巫女服の少女――『静』の傍らに片膝をつき、視線の高さを近付けて頷いた。


「先輩、お知り合いなんですか?」

「あぁ、《エターナル・スフィア》での修行仲間だ」


 凛とした巫女さんの楚々とした佇まいに憧れて巫女服を愛用していた、おっとりと可愛い系の『静御前』と、素直にメイドさんの可愛らしさに憧れていると言えず『女の侍と書いて「侍女メイド」ッ!!』とメイド服を愛用していた、凛として格好いい系の『巴御前』。


 仮想世界ゲームでは、そのキャラクターネームと常に行動を共にしていたところから〝御前姉妹〟と呼ばれていたハイプレイヤーであり、現実世界リアルでは、学校のクラブでそれぞれ弓道と薙刀の稽古に明け暮れていた双子の姉妹。《エターナル・スフィア》での職種は当然の如く【侍】。巴は服装こそメイドだが静と共に和風の武防具を好んでいた。


 リアルで会った事はない。だが、修行のために、リアルで身に付けた技を実践するためにログインしていたムサシとこの2人、それとやはり目的を同じくするもう1人を加えた4人は、妙に気が合い、定期的に集っては手合わせしてお互いの改善すべき点を指摘し合ったり、修行という名の殺戮に励んだりしていた。


「……巴、……ムサシくんに会えたよ」


 静は、左手で〔ティンクトラの記憶〕を胸に抱き、右手でそっと巴の頭を撫でながら、どこか虚ろな調子で言葉を紡ぐ。


「……あのね、ムサシくん、……巴、すごく格好よかったんだよ。……みんなを守ろうと頑張って……がん…ばって……~っ!」


 涸れたと思っていた涙がまた溢れ、それを拭おうともせず自慢の妹の頭を労るように撫でる静。その姿はあまりにも痛ましく、堪らず顔を背ける者、すすり泣く者、下唇を噛んで嗚咽を堪える者などがいる中、


「話は後で頑張った本人から聞かせてもらうよ」


 そんな悲愴な空気などお構いなしに、ムサシは道具鞄から取り出した魔術的な紋様が刻まれている小瓶を静に差し出した。その中では、ほのかに紅の輝きを帯びた半透明の液体が揺れている。


「……これは?」

「〔万能の霊薬エリクサー〕」


 ムサシはそう答えて――怪訝そうに眉根を寄せた。それは、喜んで受け取るだろうという予想に反して、静が一向に受け取ろうとしないからだ。


 ひょっとして遠慮しているのか? と思いきや、


「先輩、知らないんですか? 《エターナル・スフィア》の甦生アイテムは、この世界では効果がないんです。死者は……甦らないんです……」

「ふ~ん。まぁ、他は知らないけど、こいつは本物だから使ってみな」


 え? とムサシを除くその場の全員が声を揃え、全員の視線がその手にある小瓶に集中する。


 ムサシが、ん、と半ば押し付けるように渡すと、静は戸惑いつつも光を失っていた瞳に一縷の希望の光を灯して小瓶を見詰め……決然と頷いた。


 スポイトになっている蓋を小瓶からはずし、ほのかに紅の輝きを帯びた半透明の液体を巴の躰に垂ら――


「――おいおい、何してるんだ?」


 呆れたようなムサシの言葉に、え? とまたムサシを除くその場の全員が声を揃える。


「え? って、まさか、使い方を知らないのか?」

「使い方?」

「一般人と、いわゆる〝聖痕持ち〟じゃ用法が違うんだよ」


 ムサシは、一同の顔を見回して、やれやれ、とため息をつき、


「そいつで死者を甦らせるには、魂と肉体、この両方が揃っていなければならない。一般人の場合ならそれで良い。肉体に魂がまだ残っていれば復活する。けど、〝聖痕持ち〟の場合、魂と呼べるものはどこにある?」


 静は、はっ、と息を飲み、自らが手にする〔ティンクトラの記憶〕に目を向けた。


「そうだ。だから、魂のない肉体にそいつを何滴垂らしても復活しない」

「じゃ、じゃあ、どうすれば……?」


 ムサシは静から小瓶を受け取り、〔ティンクトラの記憶〕のひびが入った面を上に、頂点を下に向けて、仰向けに寝かされている巴の躰の上で保持するよう指示する。そして、静が、これでいいですか? と尋ねる暇も与えずさっさと〔万能の霊薬〕を一滴、〔ティンクトラの記憶〕に垂らした。


 誰かの口から、あっ、という声が漏れた直後、〔ティンクトラの記憶〕がほのかに発光し、4面の内の1面に入っていたひびが修復される。それから、その光が下に向けられた頂点に収束し、雫のように巴の躰に滴り落ちた――その瞬間、ほのかな光に包まれた躰から無数の銃創だけではなく全ての傷が消え、肉体が完全に修復された。


「もう手を離して良いぞ」


 愕然としていた静はムサシの声で、はっ、と我に返り、言われた通り手を離す。〔ティンクトラの記憶〕は重力に遵って落下し、何の抵抗もなく巴の体内へ沈み込んだ。


『――~~~~ッッッ!?』


 ある者は歓喜の涙を溢れさせ、ある者は驚愕の事態に目を瞠り息を飲む。それは、息絶えていたはずの巴が呼吸を再開したからだ。その場にいる皆に吸気音が聞こえるほど大きく息を吸い込み、ゆっくり長く息を吐く。その後も胸は止まる事なく上下し、この場にはそぐわない穏やかな寝息が巴の様子を窺う皆の耳に届いた。


 ムサシは〔万能の霊薬〕の小瓶を道具鞄にしまい、お腹の上で重ねられていた巴の手をとって左掌を見る。そこにはちゃんと聖痕が戻っていた。


「今日の夜か明日の朝には目を覚ます。だから、今は無理に起さずこのまま寝かせておこう」


 そう言うと、ムサシは巴の躰を軽々と抱き上げ、


「こんな所に長居は無用だ。――あっ、薙刀忘れるなよ」


 歓喜や驚愕を引きずる一同を置き去りにしてさっさと緊急避難スペース出る。


 要救助者6名全員の生存を知った救出部隊の面々は、今度こそ盛大に歓声を上げた。




 ――その後。


 用意されていたストレッチャーに巴を寝かせたムサシは、後を〈エルミタージュ武術館〉のメンバーに任せて指揮官の下へ向かい、依頼の達成を認めてもらって皆と別れ、まず凍結封印されたラードーンを【亜空間収納】で回収した。


 次に、その場より更にエレフセーリア寄りの地点で、目的に応じて使い分けるよう複数のアームが備わっている自律式汎用作業列車――当初『大ボス』と呼称されていた討伐対象の残骸を回収する。


 その際――


「今もこのトンネルがこんなに綺麗な状態で残っているのは、きっとお前さんが人知れず頑張って管理し続けていてくれたおかげなんだよな」


 戦闘用のウォーカーやフライヤーとは違う、純粋な作業用ロボット。だが、立入禁止区域であるトンネル内に侵入した不審者を排除するため必死に戦ったのだろう。


「ありがとう。ご苦労様」


 ムサシがそう言って装甲列車のように堅牢な車体を労るように撫で、人の都合で造られて与えられた役目に尽力した挙句、人の都合で破壊された機械に手を合わせると、


「……前々から思っていたんですけど、先輩って、どうして人の扱いだけが酷くぞんざいなんですか?」


 当然のようについてきたミアが、唐突にそんな事を訊いてきた。


「動物には優しいし、植物の世話は面倒がらずまめにする。物は大切にするし、使い慣れた道具は手入れを欠かさない。人類の敵として立ちはだかり破壊された機械にさえあんなに優しい笑顔を向けるのに……」


「そんな事ないだろ」

「あります。まぁ、子供には優しいですけど……。でも、先輩は、恩を受けたら恩で返すというだけで、それ以外の人付き合いがぞんざい過ぎるんです」


 こうもはっきり断言されてしまうと、そんな気がしないでもないような……


「まぁいいか」

「よくありませんッ!」


 ミアはそう言うが、もういい事にしたので気にしない。


「――ほらっ!」


 見た事かと言わんばかりに睨まれたが気にしない。


 ――それはさておき。


 その次は、フリーデン側の貨物列車専用プラットフォームがあるエリアへ向かい、ロボット兵器メタルの残骸を回収した。


 ラードーンを回収したのは、放置して自然解凍されたらまた猛威を振るうから。


 時間の概念が存在しない魔法の道具鞄〔道具使いの仕事道具〕の亜空間内なかなら、そのまま入れっ放しにしても邪魔になる事はなく、何らかの理由で取り出し解凍しなければ永遠に凍結状態が保たれる。


 それ以外のロボットの残骸を回収したのは、それが今回の依頼の報酬だから。


 仲間ミアが受けた恩は自分が受けた恩も同然。その恩を返すためにこの依頼を受けたのだから報酬など受け取れない。しかし、タダ働きとなると向こうが気にする。そこで、彼女達にとっては価値がなく邪魔でしかない残骸てつくずを報酬として頂戴する事にした。


 本当にそれでいいのかと何度も確認されたが、実の所そう訊きたいのはムサシのほうだった。何故なら、【錬金】の能力アビリティを極めているムサシなら、残骸を分子レベルで分解して元素別のインゴットに再構成する事ができる。【錬金】と【合成】の複合スキルでより希少価値の高い金属や鉱石などを精製しても良いし、そのまま素材として売っても良いし、アイテムを製作して売っても良い。数がかなりあるので、収入はおそらく普通に金銭で支払ってもらった場合の数倍に達するだろう。


 依頼した側は、実質タダで優秀な人材の手を借りられた上に邪魔な残骸を手数料なしで撤去してもらえ、依頼を受けた側はがっぽりと儲かる。無限に収納できる魔法の道具鞄と錬金術様様だ。


 ムサシとミアが、道中で散見された残骸をも全て回収して地上へ出た時にはもう、空は茜色に染まっていた。


 万屋〈七宝〉ホームへ戻り、2人で早めの夕食をとった後、ムサシは〔壺公ここうの壺〕の中の工房へ。そして、ICアイテム・クリエイションや就寝前の稽古など、すべき事をしてから壺の中の世界にある滝で汗を流し、壺の外の自室に戻って就寝した。


 そして、翌日――




「…………?」


 いつも通り夜明け前に目覚め、日課の朝稽古に出かけ、何事もなく稽古を終えて帰途についたムサシは、万屋〈七宝〉の前まで戻った所で怪訝そうに眉根を寄せる。


 それは、赤紫の長い髪を檀紙だんし水引みずひきで束ねた巫女服の乙女と、青紫の長い髪を大きめのリボンでポニーテールにしたメイド服の乙女が、店に向かって正座していたからだ。


「そんなところで何してるんだ?」

『――~~~~ッッッ!?』


 考えても分からなかったので素直に訊いてみると、気配を消した覚えはないのだがメチャクチャ驚かれた。


「し、心臓が止まるかと……~っ」


 胸を押さえた2人は、一卵性の双子である事を感じさせるシンクロ率でゼーハー荒い呼吸を繰り返し、


「というか、いったいいつの間に背後へ……ッ!?」


 巴が戦慄の表情を浮かべてそんな事を言い出したので、ムサシは小首を傾げた。


 話を聴いてみると、何でもムサシが表へ出てくるまで待つつもりで夜明け前からここで座していたらしい。


 そして、ムサシが朝稽古に出発するほうが一足早かったのだと知った2人は、一卵性の双子である事を感じさせるシンクロ率でガックリと項垂れた。


 そんな2人の様子を眺めている内に、自然とムサシの顔に笑みが浮かぶ。


 姉妹のやや幼さを残す面差しは美少女と呼んで差し支えなく、弓と薙刀の稽古で鍛えられた躰は贅肉がないため一見華奢と言っていいほど細いが、女性として必要な分の脂肪があるべき場所にしっかりとついているためプロポーションも良い。何より、内側から滲み出る美しさ、人を惹きつけて止まない〝華〟がある。


 死ぬには早過ぎるし、この世の終わりを迎えたような表情よりも、今のように活き活きとした表情のほうが断然良い。姉妹揃って元気そうでなによりだ。


「夜明け前から修行とは、流石はムサシ殿ッ!」

「うんうんっ! やっぱりムサシくんは他のひと達とは違うね!」


 両手で頬を、パンッ、と張って気持ちを切り換えた巴と静は、期待していた通り、いやそれ以上だと紅潮した顔を見合わせて頷き合う。


 その直後、2人は素早くムサシの影に乗らないよう大きく下がって正座し、神妙な面持ちで姿勢を正して路面に両手をつくと、


「ムサシ殿に救って頂いたこの命ッ! ムサシ殿の為に使いたく存じますッ!」

「どうか我ら姉妹をムサシ様の配下にお加え下さいッ!」

『身命を賭しての我らの願いッ! 何卒なにとぞお聞き届け頂けます様、平に平に、伏してお願い申し上げまするッ!!』


 そう嘆願し、地面に額をこすり付けんばかりに深々と頭を下げた。


「おいおい、2人とも面を上げてくれ」


 ムサシは、時代がかった嘆願に面食らいつつ、2人を見下さないよう左膝をついて自分も姿勢を低くする。そして、そう促しても平伏したまま動かない2人にどう答えたものかと考えて……


「配下は必要ない――」


 バッサリと斬って捨てるような回答に、2人は、ビクッ、と躰を震わせ、


「――けど、共に研鑽を積み、切磋琢磨する友なら大歓迎だ」


 その言葉に、バッ、と勢いよく顔を上げる。すると、そこには爽快な笑みが。


 その笑顔に魅せられて頬を朱に染めた姉妹は、喜んでその申し出を受け入れ――そうになったが寸前で踏み止まった。恐悦至極なれど、それは望んでいる答えではない。


 ムサシを主君と仰ぎ忠義を尽くす事こそを望む【侍】の姉妹は、不服を申し立てるべく口を開き――


「で、話は変わるけど、今日はこれから朝食をとった後、ミアと修行するんだ。――二人もくる?」

『――是非ッ!!』


 願ってもないお誘いに、姉妹は声を揃えて即答した。


「集合するのは二時間後、場所は……どこが良い?」

『ここがいいと思います』

「分かった。じゃあ、また後で」

『あっ、――お待ち下さい!』

「私達は今、〈エルミタージュ武術館〉で厄介になっているのですが、あそこには私達に勝るとも劣らぬ手練れがいるのです」

「彼女達を誘ってもよろしいでしょうか?」


 ムサシは、思わぬ申し出に、ん~……、と少し悩み、結局、ダメだ、と首を振る。


「二人が一目置くほどの使い手なら手合わせしてみたいと思う。けど、今回は許可できない。もし二人だけで出てこられないなら、今の話はなかった事にしてくれ」


 姉妹は神妙な面持ちで頷き、誰にも話さないと誓約する。そして、準備をするためにムサシと別れ――あっ!? と目先の誘惑に負けて主従の誓いを交わすという当初の目的が達成されていない事に気付いたのは、それからしばらく後の事だった。


 ――何はともあれ。


 帰宅したムサシは、ミアが用意してくれた朝食を美味しく頂き、食後にお茶をのんびり飲みながら今日の予定を話す。修行に巴と静が加わる事を知ると、ミアはどこか不服そうな顔をした。が、特に何も言ってこなかったので気にしない事にした。


 そして、約束の2時間後。


 準備を万端に整えてホームを出ると、既に巴と静が店の前で待っていた。


 ムサシとミアに気付き、武道家らしい礼儀正しさで挨拶する2人。ムサシは、そんな彼女らのゲーム時代とは比べ物にならないほど貧弱な装備を見て、やっぱりか……、と内心で唸った。


 服であると同時に鎧でもある袴がスカート状の巫女服と裾が膝丈のメイド服は、ランクと品格が落ちて、作り自体はしっかりしているものの神社や王宮ではなく電気街で見かけそうな代物。静が装備している弓使い用の胸当てを含む左右非対称の小具足にしても、巴が両手足装備している武者風の甲冑にしても、強化カスタマイズしてあるようだが希少級の域を出ない。


 巴が携えている主武装の豪壮な大薙刀――源義経の忠臣・武蔵坊弁慶が振るっていたと云われる得物をモチーフにした古代級の武具〔岩盤融いわとおし〕は、ミアの〔龍を統べる者の杖ドラグーンロッド〕と同じく未覚醒状態で、ガンベルトで右腰に提げられている副武装は、光弾を発射する魔導銃から50AE弾モデルの〔デザートイーグル〕に変わっている。


 静の場合は、主武装である大弓、副武装である小太刀、背負っている矢筒までがかつてのものと異なっていた。


「なぁ、二人共装備が変わってるけど、昔のはどうした?」

『愛着も思い出もあるので』

「売る事も譲る事もできず」

「今も大切に保管しています」


 それを聞いて、ほっ、と胸を撫で下ろしたムサシは、揃って不思議そうに小首を傾げる双子の姉妹とミアを促し、都市の外で見付けた天然の修行場を目指して出発した。


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