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まさかのゲーム世界

「・・・クク、やったぞ、遂に・・・ついに開放したぞ!」

とある男が自分の部屋にあるパソコンの前で狂喜乱舞する。お隣さんに壁ドンされるかもしれないが、今回だけは許してくれ!それだけ嬉しいことなんだ!

男の名前は霧島陽(きりしまはる)、中堅企業の係長であり、歳は30、身長は一般で、体重も普通のとにかく普通である。

しかし、ゲームと、侮辱に対する復讐の執念は強く、ゲームのせいで転職をやり、侮辱を受けたために危うく警察沙汰になるまで戦った経験もある。


そしてそんな彼の二つの悪い点を同時にくすぐったゲームが、この「クリエーション・カントリー」というゲームである。

攻略サイトはおろかゲームレビューもないくらいに少数しか出回ってないのか、中古屋で見つけた時はうさんくさく感じたが、プレイしてから世界が変わった。今では会社の本当に重要な時以外はこれに費やしている。

中身は国政から戦略で、一つの国を富国するも、平和にするも、また全方位宣戦布告で狂犬プレイをするのも可能な自由形ゲームである。

ただし、恵まれない土地にあたると、とことん恵まれない状況になる・・・それが霧島の国の状況だった。


グレイフォルト連合王国

霧島が操作する王様、キリシマ家によって、6代160年をもって続々と同調してくれる周辺国を統治していった、ブラン大陸西部を占める国。

人口約2.8億人でゲーム世界では6位に入り、技術、教育水準が高めで、GDPもそこまで悪くはなかった[ゲーム世界は200カ国人口120億]・・・が、どうしても資源がなく、更に前半期に暗中模索で失敗した経済不調とまさかの共産主義で不調、周辺国に逆らえず、更に周辺国はこの国の利権を欲しがり連合となり「平和的な割譲」により人的、技術を吸い上げていった。

実態は、重工業都市を奪われ、国境付近の資源地帯を奪われ、耕作地帯は焼き払われ、同化と民族浄化により人口は3千万以上をわずか15年で失い、そしてゲーム設定上、先代王が早くに崩御し、霧島操る新たな王も若く、政治の成功率が低く、王権も失墜した。

残りかすとなった国に生き残る道はないかと思われたが、たまたま探索に出してた調査団によって、ゲーム世界でも類を見ない大規模な資源地帯を発見、操作するキリシマ王家の私財を全投入し、世界に、国内の政敵どもに勘付かれる前に既に完成させそして丁度、資源国家での紛争により資源の高騰が起きていた時期に合わせて大幅に安い資源を大量に輸出の攻勢をかけた。

作戦は成功だ。海に面していた港から世界に向けて大量に売り払ったおかげで、周辺連合の資源国家は大暴落と投機損失を起こし、そして自国と王家政府企業は大黒字を出すことに成功、GDPは前年比25%アップは確実で、更に、元からねじ一本から飛行機まで作れる国として育ててきた基盤の芽がわずかにつぼみとなり、技術と工業を取り戻せば世界の最先進国になるだろう。


しかしここで胡坐をかいている暇はない、この瞬間にも連合は優位を取り戻そうとするだろう。最悪なことに、この世界は平和より戦争で領土をぶんどることも容認している世界である。うかうかはしていられない、だが残念ながら負け犬根性がついた議会、そして連合に媚を売っている人間が多いこの国の腐敗はまだ止められていない。

これを一掃できるのが、今回解放した「独裁」コマンドだ。

これは相当な国民信頼度がないと開放出来ない実績で、全ての政治実権が握れるが、代償として失敗すれば大変なことになる。しかし今は私に向けて国民は最大の期待を寄せている。

さて、どんな国にして、連合にはどんなやり返しをしてやろうか・・・。

しかし気になる文章があった。

「独裁は強力なコマンドです。それは貴方の人生をも変えるものです、そして実現した後は「真の自由」が待っています」

というものだが、舞い上がっていた彼にはそんな文章、気にするのも一瞬のうちだった。

そして彼は独裁のコマンドをクリックして・・・意識が途絶えた。



・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「・・・へい・・陛下!」

「うあ?」

あれ・・・寝てた?しかし・・・

「ここどこ?」

「はい?陛下、まだ寝ぼけてらっしゃつのですか、ここは執務室です」

「・・・え?」

陽はあたりを見回す、それが自分の部屋とはかけ離れた装飾が華美な部屋・・・そして執務室というこの男・・・もしかして

「済まないコート、俺、何分気を失ってた?」

「いえ、頼まれました資料を取りに帰ってきましたら寝てましたので・・・約15分かと」

「そうか・・・ありがとう」

これで確信した。彼の名はコート・デルタ、親衛隊所属の忠実無比な側近兼警護の軍曹だ。もう一人いるが、それは後で紹介しよう。

この世界が夢でないと不思議と確信が持てる。つまり・・・俺はこの世界に転生したというのか

「それよりも、陛下、午後より緊急の円卓議会を開くとおっしゃいましたが、いかがして」

「あ・・・ああ、重要な事をね、やりたいんだ」

陽は察する・・・というより今頭の中に情報が入った。まだ独裁は完全に開放されていない。これからが本番なのである。

あの気になった警告文章は、人生をゲーム世界で過ごす、しかも独裁という実績を開放させてから・・・。これでゲームだからと割り切れない、自分の命がかかり、死んだらどうなるか分からない・・・。

それを警告したのだ。

しかし陽はそれを恐れない・・・むしろ、心が躍った。

「コート、それじゃ行くか」

「え、まだ早いのでは・・・」

「祭りは早くやるべきだ。特に楽しいのはね」

製作者が誰だか知らないが、こんなゲームを作るとは、中々いかれている。そして自分を最高に心躍らさせてくれる。

まずは富国、そして強兵を・・・・

後に、その世界において最強の名をほしいままにする独裁者の始まりである。



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