7、朝ごはん。
ロージアの用意してくれた朝食は、柚が元いた世界の食事と変わりはなかった。
熱くスライスし、トーストした食パンにハムエッグが乗っている。
しばらくここにいるのだし、朝食の用意は柚でもできそうだと柚は思った。
「どうかなあ? 口に合う?」
柚の様子を伺いながら、そう聞いてくるロージアに柚は、
「うん。 おいしい。明日から、朝食は私が準備するね。」
そう言うと、ロージアの顔がパアっと華やいだ。
そのロージアの喜んだ笑顔を見て、柚の顔も赤くなる。
「ホントに? ありがとう。必要なものがあったら言って。 でも無理しなくていいから。」
「うんん。ここに居る間は、それくらいさせて。」
柚のその言葉に、ロージアの笑顔が止まった。
「……どうしたの?」
なにか気に障ることを言ってしまったのだろうか?
柚がそう思って、不安そうにロージアを見ると、ロージアの顔が少し赤らんだ気がした。
「その……、ユズさえよければ、……ずっといてくれてもいいんだけど。」
言ってしまったあとで、ロージアはハッとし、我に返った。
突然慌てだすと、
「いや、冗談だよ。大丈夫、ちゃんとユズがユズの国へ帰れるように協力するからっ。」
慌ててそう言い替えた。
柚は柚で、突然のロージアの発言が、何を意味するのか、考える余裕すらなかった。ただ、言い替えられた言葉に、なぜか胸の奥がシクシクとした。