5、大事なものなんです。
ロージアの家は、ログハウス風で、部屋は、柚が寝かされていた一部屋と、ロージアほ仕事部屋のもう一部屋のみだ。
柚が着替えたいと言ったら、ロージアは仕事をするからと、仕事部屋の方へ行ってしまった。
―――やさしいところも、尚とそっくりだなあ。―――
柚はそう思うと、下だけジャージに履き替えた。
そしえ、何かを思い出したかのように、必死の表情をすると、自分のバックを開け、がさごそと中を確認し始めた。
「あったあ――。」
よかった。と、柚はあんどの表情をしてバックからあるものを取り出した。
それは、柚の化粧ポーチだった。
中にはつけまつ毛が、ケースのまま3セットは入ってるはずだった。
これでしばらくは大丈夫。
柚は、そう思いながらきょろきょろと部屋を見渡す。
部屋の四方のうち、両サイドには窓があった。後ろにはロージアの仕事部屋へ通じるドア。
その向かい、正面には2つのドアがあった。
柚が恐る恐るそのドアを開けてみると、1つはトイレ。もう1つは浴室へ繋がる脱衣所だった。
ちゃんと洗面所もあって、柚は、勝手に借りるのはどうかと思ったが、借りてしまった。
化粧をしたまま、つけまつ毛をつけたまま、きっと寝てしまったのだ。
柚はそんなに濃い化粧をしているわけではなかったが、やっぱり顔を洗って、化粧をし直すと気持ちが良かった。
それでも、いろいろ困ったことがあることに、柚は気づいていた。
そして、きゅるきゅるきゅる。っと、お腹が鳴った。
その音に、ここにロージアはいないとわかってはいるけれど、柚は、赤面したのだった。