飴より大きいキャンディ
昨日、あれから学校には戻れなかった。
はあ……学校行くの嫌だな。
私は本屋の中に並ぶ本をじっと見た。
ファッション誌のミルキーチョコレートが目に入る。
あれ? 今月の表紙って凛だったんだ。来月だと思ってた……。
……そろそろ学校行かなきゃ。今何時だろ……。
レジの上にある時計を見て時間を確認した。
うそ。ち、遅刻……。
昨日の今日で遅刻したらそれこそ笑いもの。
い、急がないと。
焦りだけを感じながら、本屋から急いで学校に向かった。
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はあ、よかった。何とか遅刻はしなかった。
……頑張らなきゃ。
教室に重い足を踏み入れた。
「そんでその子がさ! ……あー……」
一瞬、空間が止まったように静まり返った。
やっぱりそうなるよね。
憂鬱になりながら一歩ずつ席向かっていく。
「てかさ、今日‘ネバーエンディング’だっけ」
「え? ああ、凛の出てるドラマ」
「それ。俺凛好きなんだよな、好みど直球。……あんなダサい奴とは違って」
うっ。また言われてる。
……ドラマ……。
…………ドラマ?
「あ、あの」
「え? ……ああ、なに」
「あ……あの。今なんて……」
「今? お前悪口言われてたの気付かねえの」
「そっそれ位私だってわかって……じゃなくて。その前です!」
「はあ? ……ああ。だから今日’ネバーエンディング’だなって」
「……今日……」
……ネバーエンディング……ドラマ……。
今日ドラマ……。
「さ、撮影」
「はあ? 撮影? なに言ってんの。お前まじで――」
どうしよう。忘れてた……。
「お前ら席着けー」
二日連続で早退はさすがに……。
でもそんな事言ってる暇ない。
「すみません! 腹痛と頭痛と歯が痛いので早退します!」
「花ぞ!? お、おお」
先生の声と同時に教室から急いで走った。
どうしよう撮影……遅れちゃう!