第四話『俺の姫君、僕の姫君』
「佐奈、起きないなぁ。もしかしたら薬の量まちがえたかもな。」
「うん。だけど、主人がまちがえたりするのかな。」
「さあね。」
ひそひそひそひそ
また、あの三匹が自分の悪口を言っている。
「おい!俺がまちがえるはずがないだろう!コウ、ライ、ユウ!」
「すいません。」「ごめんなさい。」「すいやせん。」
俺は一喝すると佐奈のもとへ向かった。
佐奈のいる部屋は、この家の一番奥にある少し広い部屋だ。
「まったく、あいつらときたら・・・・・・・」
そうつぶやきながら佐奈の頭をなでる。佐奈の髪はふわふわしていてなでごごちがとてもいい。
「でも・・・・・・・・ほんとに起きるのがおそいなぁ。まっ大丈夫だろうけど。」
大丈夫と自分に言い聞かせる。ほんとの所は不安でしかたないのだけれど。
「早く起きてね・・・・・・・俺の姫君・・・・・」
「はあはあはあ・・・・・。まったく、一夜のアジトはどこなんだ・・・・・・・。」
僕は、城を出てから約1時間以上も、森をさまよっている。けっして迷ってはいないが森は広い。そう簡単には見つからない。
「くそう・・・・・・一夜め。・・・・早く佐奈を見つけなければ。」
そう、早くしなければ。一夜は、この国でも有名な指名手配犯なのだ。金持ちの家に入っては宝石を盗む。しかも、その後時間をもとに戻して証拠を消すのだ。そんなやつならば、『契約せし者』の佐奈をもとの世界に戻すこともできるはずだ。
「早く、急がなければ・・・・・・」
そう言いかけたその時!!
『ヒュン』
目の前を矢が通った。その矢は近くの木に刺さって止まった。その刺さった矢をよく見ると何か手紙が結んである。
「なんだこの手紙……『王子へ。佐奈は俺のアジトにいる。返してほしければこの道をまっすぐ進んだところにあるアジトにこい。一夜。』なんだと!」
一夜め・・・・・・・・。僕は手紙をくちゃくちゃにして丸めると走り出した。
「無事でいてくれ・・・・・・・・・僕の姫君・・。」
「よく来たな。おじけずいて逃げたと思ったよ。」
「んなことあるかよ。一夜、佐奈はどこだ。」
まったく。こいつはいつも俺の作戦に引っかかる。なんで、こんな奴が王子なのかわからない。
「佐奈は奥にいるよ。だけど簡単にはいかせないからね。」
「のぞむところだ!!」
そう、この王子が告げるといきなり拳銃を撃ち始めた。ふっ。弱いこいつなんかにてこずるもんか。
「まだまだだね。王子ちゃん。」
「くそう!」
王子は感嘆の声を漏らしている。しかしこいつ、昔よりも腕が上がっている。油断はできない。俺はおもいっきり弓をいると矢を放った。
「くっ。」
もう少しの所でかわされてしまった。
(俺の姫君はわたさねぇ!!!)
ちょうどそのころ。私はふわふわのベットではなく・・・・・・・・普通の布団に寝ていた。
「う~ん。あれ・・・・ここどこだろ。」
辺りを見渡しても知らないところだと分かった。
「あっ!佐奈が起きた!」
「よかったね。」
「うん。」
聞いたことのない声に驚いたがここは落ち着いて聞いてみた方がよさそうだ。
「あの~。貴方達はいったい・・・・・・・・。」
「俺たちは一夜の子分の狼さ。俺がユウで・・・・・・」
「俺がコウ!」
「俺がライ!」
ああ。一回耳鼻科へ行こう。狼がしゃべるなんてありえな・・・・・・
「えっ!狼!」
「そうだよ!」
うそ~ん!・・・・・・おちつけ・・・・。ここは異世界だ。ありえる。
「それで、ここはどこなの?」
「ここは一夜のアジトだよ。佐奈はさらわれたんだ。」
またまたうそ~ん!
「それで、今一夜は?」
「一夜は輝って王子と戦ってるよ。」
「はあ?なんで戦ってるの!」
「あれ?分かんないんだまあいいや。でも、このままだとやばいよ。」
「・・・・・・・・・・分かった。止めに行く。」
「さっすが!」
そして、私は二人を止めるために二人のもとへ向かった。
(どうか、無事でいてください。)
どうも、ラッキーラインです。最新、遅れました。すいません。それから前の、後書きで予告していた番外編ですが先に延ばします。本当にすいません。
ではまた!




