第一話『四次元に迷いこんだ子羊』
「契約を誓いし者よ……そなたが13歳になるとき……必ずこの地に戻るって来ることを誓うか?」
「はい………誓います。」
ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリ〜〜〜〜
目覚ましが鳴っている。いつもの朝だ。
「んー。はあ。また同じ夢。なんなんだろう。」
私、佐奈は最近同じ夢ばかりを見ている中学生だ。
「もうっ!ほんといやっ!『契約を誓いし者よ』ってなんの契約よ!」
もちろん、契約なんかした覚えはない。だから不思議なのだ。
「しかも、なんで13歳なの!はあ、よりによって今日は………」
そう、今日は13歳の誕生日なのだ。
「佐奈〜。朝ごはんよ〜。早く食べないと遅刻するわよ〜。」
「はーい。」
(はあ……………。いやな予感がする…。)
「行ってきます。」
「いってらっしゃ〜い!」
こつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつ……………………
靴の音ばかりがこだまする。
「はあ……………。」
私はさっきからため息ばかりついている。
(あぁ。こんなに誕生日がいやになったことなんて一度もないよ……。ん?なんだあれ?)
私が見つけたのは……。四角い箱。立方体で一辺が1メートルくらいの白い箱。フタが開いている…………。
(なんだ。何も入ってないじゃん。よかった。)
私は何も入っていないことを確認すると、また歩き出した。が、その時見事につるっと滑って箱のなかへ。
「きゃあぁぁぁぁ……。」
その声もむなしく私は頭から箱に突っ込んだ。
(やばい。頭打つ!)
そう思ったが案の定頭はぶつからずそのまま、真っ逆さまに落ちて行った。
ぼふっ
私は柔らかいベットへ落ちた。
「いったぁ。てかここどこ。」
そう。私が落ちたところはまったく知らない場所だった。壁は真っ白で何となくお姫様の部屋のような感じだ。
「はあ。ほんとここどこだろ。」
私がつぶやいたその時だった。
「佐奈。ようこそ。」
と後ろから声がしたのだ。
「あなたさだれ!」
恐る恐る振り向くとそこに立っていたのは夢に出てきた人だったのだ。
「僕の名前は輝。ここの一応王子さ。」
その、王子と名乗る輝は私と同じくらいの身長で顔は結構イケメンの男のだ。
「ここのって………、だいたいここはどこ?私はなぜここへ落ちたの?しかも、どうしてあなたは私の名前を知っているの?」
「まあまあ落ちついて。じゃあまずここはどこかということから説明するよ。
ここは、簡単に言えば四次元の世界。ここに住んでいる者達は全員時間が操れるってわけだよ。」
「へぇ。だけど、それだけじゃ私が来たわけと繋がらないわよ。」
「まあ、続きを聞いていれば分かるよ。
それで、全員時間が操れるから当然悪いことをするやつもいるんだ。でもある人がいるだけでそういう悪いことができなくなるんだ。で、そのある人っていうのが貴女、佐奈なんだ。」
「わっ私?!」
思わず声が裏がえる。
「まさかそんなはずないじゃん。それになんで私なの?!」
「それは、佐奈が幼い頃にここへ来て契約をかわしたからだよ。右手をかしてごらん。」
私は言われた通り輝の方に右手を出した。
「じゃあ。今から契約のあかしを見せるよ。」
そう、一言言うと輝は小型のライトを私の右手に当てた。
「あっ……………。なにこの模様?!」
「この模様はこの世界の紋様の様なものだよ。」
「うそ………………。」
「いいんだよ心配しなくても。この模様はライトを当てなければ見えないから。」
そう言って輝はライトを消した。
「佐奈。貴女は何もしなくてもいいんだ。この世界にいるだけでいい。そうすれば悪いやつらは何もできないんだ。」
「でも、お母さんが心配するし………。帰んないと。」
「それは大丈夫。こちらの一年は向こうの一秒だから。」
「でも………………。」
「お願いだ!この通り!たのむ!」
輝は私に土下座をしてお願いしてきた。
迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う迷う…。
何回も何回もぐるぐると『迷う』という言葉がめぐる。
向こうにはお母さん、学校。
こちらには輝、国民。
「……………。わかった。とりあえず三日だけいてそれから先は私が決める。」
「ありがとうございます!寝泊まりはこの部屋を使ってください。あと、この世界を自由に散歩していいよ。じゃあ!」
(まあ、仕方ないか。さあてとまずはこのお城から探索しよう。)
私はそう思いまずこの部屋から出ることにした。
『ギギギギギギギギギ』
木の扉を開けるとそこには長い長い廊下があった。
「うっわ〜!長い廊下!さすがお城!でも、どこに行こう……。あっ!あそこにメイドさんが!聞いてこよう。」
私はたまたま通りかかったメイドさんに聞いてみることにした。
「あの〜。このお城に面白いところありますか?」
私が恐る恐る聞いてみるとメイドさんはにっこり笑って
「図書室に行ってみてはどうでしょう?」
と答えてくれた。
「ありがとうございます。」
私は一言お礼を言うと図書室へ向かった。
「えーと、まずここを右にまがって……。」
私はさっきのメイドさんがくれた地図を見ながら図書室を探していた。
「…………えっと、確かこの辺りなんだけど……あったっ!」
『ギギギギギギギギー』
重い扉を開けるとそこには沢山の本棚が並んでいた。
「すごい……………。」
そう、すごいのだ。私が通っている学校の図書室よりも、町の図書館よりも、もっともっと広い。
(流石お城!規模がちがう!)本好きの私にはとてもうれしい所だ。
「何を読もうかな〜。」
奥の方には推理小説、手前の方にはファンタジーもの。どちらも好きだがファンタジーの方がどちらかというと好きだ。
「佐奈。図書室はどう?広いだろ。」
いきなり声をかけられ少し驚いたがすぐに声の主はわかった。
「うん。まあね。……それよりどうして私がここにいるってわかったの?」
そう聞くと、輝はにっこりと爽やかな笑顔を浮かべてこう答えた。
「野生の感かな?」
「んなわけないだろ〜!」
私は声が枯れるくらい大きな声で怒鳴った
どうも、こんにちは、または初めまして。ラッキーラインです。この小説を読んで下さってありがとうございます。私はもう一つ連載を書いています。しかし、なかなか読んでもらえていません。もしよろしければそちらもどうぞ!
では、また次回!




