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こちら宮城県警 転生者対策課!  作者: 阿野 良教
たどり着け!転生者対策課!

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四十一話 狙撃手は早めに潰すに限るし

 太陽は焦燥感に駆られていた。今現在の戦局を左右する重要な状況に置かれていることを認識していたからだ。相手は正確無比にこちらの頭脳を狙ってきた。咄嗟にノレンが庇わなければ、正一郎は死んでいただろう、それだけの腕と判断力があるということだ。そんな相手を野放しにすることは考えられない。それにこの状況下で狙撃手を倒せるのは太陽だけ、ならば自ずと行動に移るのは自然な事であった。


 狙撃手との距離はおおよそ1キロ。太陽の移動能力からすれば物の数十秒もかからず到着する距離である。それを妨げるのは相手の偏差すら読んだ射撃。まるでこちらがどのように動くかを察して撃っているかのような正確さにどんどん太陽の体は傷ついていった。


 太陽は相手がとんでもない動体視力の持ち主か、はたまたこちらの思考を読めるかのどちらかに絞り行動に移す。


「動体視力がメインならっ!」


 太陽は空高く舞い上がり、ビルなどの目標物のない上空へと到達した。確かにこれなら相対的な目印となる建物がなく、動体視力頼みで撃っているとすれば狙撃は難しくなるであろう。太陽は更にジグザグに動くことで目標を絞らせまいと狙撃手の元へ飛ぶ。太陽の目論見通り目印が無くなったからか、弾幕の密度こそ若干上がりはしたが命中精度は極端に下がった。


「当たりさえしなければぁ!!」


 渾身の叫びと共に、遂に目標へとたどり着いた太陽。その場で狙撃をしていたのは、としばもいかないような少女であった。


「はい、ざーんねんっ」


 少女は狙撃銃をあっさり手放すと、手元に持っていたグレネードランチャーを撃つ。中から出てきたのは対象をからめとるネット。しかしそれは太陽に当たる前に宙に浮いた。


「残念なのはお前の方だ」


 太陽の浮遊能力は本人以外にも作用する。それは有機物、無機物を問わない。太陽の能力を甘く見ていた狙撃手、イヴは自身の放ったネットが自分を捕縛しようとしたのを見て回避行動をとったが、その身体すらも浮かされ簡単に捕縛された。


「えーっ!ちょっとチートが過ぎるんですけど!」

「空中で僕を捕えられなかった時点で、キミの負けだ」


 ネットの中でもがくイヴを見ながら、太陽は自身に回復魔法を施す。実際の所右ひざや左肩を打ち抜かれ、満身創痍であったのだ。


「後は、ノレンさんを回復させなきゃ……」


 自分の回復を粗方終えた太陽は、逃げられないようイヴを抱えて空を飛ぶ。二人分の重さで最高速度は出せないが、出来る限りのスピードでノレンの元へと急いだ。






 佳境を迎えていたのは、何も太陽だけではない。ゴライアスとの戦闘を行っていた由美もまた、終盤を迎えていた。


「いい加減っ、倒れろぉ!」


 由美の一撃がゴライアスの顎を捕える、しかしゴライアスはよろけるのみで致命打にはなっていない。


「いいなぁ宝来由美!お前いいぞ!出会う場所が違えば俺の女にしてやったところだ!」

「生憎先約がいるんでなっ!!」


 別に正一郎は約束なんか交わした覚えはないだろうが、しかし由美にとっては大事な支柱だった。自身の攻撃が有効打になっていないとみるや、今度は間接から破壊すべくゴライアスの膝を狙う。意図に気が付いたゴライアスは咄嗟に膝で攻撃が完全に当たる前に迎撃し、致命傷を避けた。


 その上がった膝を駆け上がるように由美は登り、ゴライアスの脳天へと渾身の二―キックを放った。槍を握っているため反応が遅れたゴライアスは、まともに二―キックを食らい地面へ片膝をつく。由美は攻撃の遠心力そのままに、同じ所へ致命傷となりかねないブローを打ち込む。


「っあ゛ぁ、つくづく、いい女だぁ……」


 不沈艦とも思われたゴライアスは、遂にその身を地面に横たわらせた。どうやら気絶したらしい。ここまでして気絶までしか持って行けなかった由美は、自身の力不足を感じながらも正一郎援護の為もう一つの戦場へ足を向ける。


「死なないでよね、皆川くんっ」







 混戦模様を呈してきた最後の戦場は、ダンクの特異な間に翻弄されていた。タクティカルバトンでの攻撃は効果の薄いところに誘導され、確実に効果のある射撃は全て躱される。そして少しでも間が空けば、即座に回復されてしまうのだ。転生者ではない正一郎と麗は、このコンボに翻弄されていた。


「クッソ!面倒だな!」

「皆川、何か打開方法はない?」


 麗からの問いにんなもんあったらとっくに試してるわと悪態を付きたくなった正一郎だが、今一度冷静に現状を推理する。


 相手は自身のことを裏方と言っていた。つまり本来荒ごとには向かない性格のはずである。加えて攻撃手段は拳銃で、しかも精度自体はそこまで高いものでもない。ということは、交渉のテーブルに乗せることも可能ではないだろうか。


「……おいアンタ、ダンクとか呼ばれてたな。ここは紳士らしく、話し合いで事を進めないか?」


 ダンクは少し考えるそぶりをして、やがて結論が出たように正一郎へ向き直る。


「貴方にこの状況を覆す手札があるとは思えませんが、いいでしょう」


 まず第一関門は突破した。ノレンほど交渉はうまくないが、なんとかして見せると正一郎は意気込み、せめて時間稼ぎでもと話し合いを始めるのであった。

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