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こちら宮城県警 転生者対策課!  作者: 阿野 良教
第一章 結成!転生者対策課!

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三話 現場は混迷を極めるし 

 正一郎より一足もふた足も速く現場に到着したノレンは、状況をサッと確認する。


 逃げ惑う人々、避難を促す近隣鋼板の警官、広場の中心でバリバリ電気を流す男、敵と味方がシンプルにわかるいい状況だった。建物との関係上電気を流す男の後ろが壁なのもいい。なんの気兼ねもなく拳銃を撃てるからだ。電気を垂れ流す男は何かぶつぶつ言っているが、この女には実銃を撃てるいい機会程度にしか思えていなかった。


「無傷は無理そうだし、まぁ手足の一、二本は覚悟してもらうか」


 ノレンは拳銃を構え、威嚇のための空砲を抜いて、いきなり実弾を発射した。威嚇射撃も説得も何もしない、現代日本ではありえない最悪の行動である。


「ぎゃあっ!!」


 拳銃は的確に男の右肩に当たった。正確な射撃であり、通常なら激痛から腕はおろか体を動かすのも難しい状況であるが


「このアマぁ!!!」


 ノレンを認識した男は動いた。だけでなく拳銃で撃たれた右手を使い電撃を飛ばしてきたのである。


「あぶねっ!」


 常人とは思えない回避能力で雷を避けたノレンは、崩れた体制ながらも引き金を引く。今度は左足、脛のところに命中する。またも男は悲鳴を上げ、今度は膝をついた。


「天才ガンマンと呼ばれたノレン様にかなう相手じゃないってわけよ」


 男の体制が崩れた隙に体勢を立て直すノレン。ちなみに天才ガンマンなどと呼ばれたことはこれまで一度もない。


 しかし男はなおも立ち上がる。まるで攻撃が通じていないかのように。


「どうなってんだお前、ゾンビか?」

「はっ、教える義理はねぇ、なっ!」


 ノレンの問いに男が答えた刹那、紫電と共に男はノレンの目の前に現れた。ノレンは直感に従い膝の力を抜き、中腰の体制で拳銃を撃つ。電撃のような速度の男の左こぶしが宙を切り、腹部に銃弾が突き刺さる。


「ぐほっ……テメェ、何もんだ?ただの警官じゃねぇだろ」


「お前みたいなやつをとっ捕まえるために設立された部署の敏腕刑事(デカ)だよ馬鹿野郎」


 事実、彼女の階級は巡査であるが、この場においてそんなことはあまり重要ではなかった。目を見張るべきは、ノレンの戦闘技術である。どこでどんな経験を積んだらこんな芸当が可能になるのか、それは本人のみぞ知ることだ。


「さて、お前さんにニューナンブ(こいつ)は効かないことが分かった。殴られるくらいのダメージは入っても確定で拘束するには威力が足りねぇ」


 ノレンはにやりと笑って拳銃を仕舞うと、懐から明らかにごつい拳銃を取り出した。


「ならこいつはどうかなぁ?備品管理室から拝借してきた40口径マグナムだ」


 たじろぐ男にノレンはクックックと笑いながら銃口を向け


「何やってんだお前はぁ!?」


 ゴチン、とノレンの頭にげんこつが落ちた。正一郎である。


「どうやって来たか知らんが俺より早く着いてると思ったら勝手にドンパチ始めやがって、テメェ後で始末書だからな」


 うぐぅと呻くノレンを尻目に罰を言い渡し、あっけにとられてる男に正一郎は向き直る。


「んで、アンタ名前と職業は?なんでこんなことしたの」


 きわめて普通の警察みたいなことが始まり、男は更に困り顔になったが、一応話始める。


「……俺はよ、この世界に刺激が足りねぇと思ってんだ。今まで刺激的な世界に生きていたのに、魔王だか何だかが倒されたからって急に何もない世界に戻されて生きていけって、そりゃあねぇよな。だからよぉ!俺がこの世界の魔王になってやんだ!そうすりゃ」


拘束(バインド)


 話に熱が入ってきた男を、光の鎖が縛る。咄嗟に正一郎が周りを見渡すと、男の後ろに誰かいた。まるで伝説の勇者のような恰好をしていて、顔はよく見えない。声も変成器を使ったかのように男か女か分からないようになっている。


「魔王は、狩る」


 そういって勇者は剣を掲げ、銃弾がその剣をはじく。


「その獲物はオレんだ」


 ノレンの射撃である。ちゃっかり40口径の方を使っている。始末書が増えた。


「拘束してくれたことは感謝するが、その後は明らかに過剰だ。アンタも拘束するぞ」


 正一郎が男をかばうように前に出たが、実際拘束のやり方は分からない。なんせ拳銃が効かなかった奴を一方的に拘束する奴だ。その上鎧を着ているにもかかわらず誰に気づかれることもなく動くことのできる隠密性に、手には明らかに強そうな剣を持っている。どうすれば拘束まで持っていけるか正一郎が思案していると


「……!」


 勇者が何かに気が付いたようにたじろいで、そして消えた。テレポートなのか何なのかは全く分からないが、この場には拘束された男と、拳銃を構えたまま周りを見渡すノレン、そして何もわかっていない正一郎が残された。


「……とりあえず、あの勇者みたいなやつがまた襲ってくるかもしれんし、いったん警察署(うち)で保護されるか?」

「……オナシャス」


 男は素直に正一郎に従い、近くの交番でパトカーを借りて警察署に連行されるのであった。


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