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こちら宮城県警 転生者対策課!  作者: 阿野 良教
それいけ!転生者対策課!

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二十二話 ヒーローは引けない戦いがあるし

 太陽の突撃は、彼の持ちうる中で結構な大技であった。自身を砲弾として使っているだけあってかなりの威力がある上に転生者の体の硬さをフルに使うため、高速道路でバイクが突っ込む交通事故並みの威力があるのだ。その上、太陽は大変怒っていた。それは仲間が攻撃されたという理由でも、女子風呂をのぞき込む変態だったという理由でもなく


「動けない人に攻撃をするなんて、そんなのヒーローじゃない!」


 自分があこがれた対象であるブライトナイトが、こんな卑劣な攻撃をするなんて思ってもいなかったのだ。太陽が考えるヒーロー像は至ってシンプルで、品行方正完全無欠である。そんなものいる訳がないと言い切ってしまうことは簡単だが、それでもと異世界で自身を貫いたのが太陽である。元の世界に戻ってヒーローをしていなかったのは、特撮(もっと憧れの存在)があったから。そんな憧れを自らの体で体現していたように見えたブライトナイトにも憧れを持つのは太陽からすれば至極当然であったのだが、それを打ち砕かれた時の彼の失望は、大きい。

 太陽に突撃され、壁を崩しながら吹っ飛んだブライトナイトが、自身を否定する太陽を睨みつけ立ち上がる。


「ヒーローではないだと?貴様、生きて帰れると思うなよ!」


 そのまま飛び込むように殴りかかってきたブライトナイトの拳を、太陽が受け止めた。正確に言えば、受け止めるように浮遊能力をブライトナイトに発生させて停止させたため、拳は太陽にぶつかりすらしなかった。


「来い!ここからは僕が相手だ!」


 今度は太陽がこぶしを振るう。身体強化を乗せて硬くなったその拳が当たる寸前、太陽は自身を120キロまで加速させる。急激な太陽の加速にブライトナイトは防御が間に合わずまともに鳩尾へ拳を食らい、よろけて数歩後ろに下がった。太陽は次に肘を突き出し、同じく120キロまで加速してブライトナイトの顎を的確に打ち抜く。


 太陽の攻撃方法は単純かつ凶悪で、自身を即座に時速120キロまで加速し、相手に当てるというものである。そしてその加速は太陽の任意で行われる為、相手からすれば当たらない攻撃、防御可能な攻撃が急速に伸びて当たるのだ。当然急停止も問題なく行えるため、予め行動を読んで攻撃を置いておいたり、大ぶりなものなど太陽の反応可能な攻撃は当たらない上、規定重量を超えていなければ自身と相手を同時に浮かすことも可能なため、相手が浮遊の能力や遠距離の攻撃でも持っていない限り攻撃は掠りすらしない。


 端的に言ってしまえば、子供が人形で行う戦いごっこを人間でやっているだけなのだが、それ故に勝ち負けは太陽次第と言ってもいいだろう。

 攻撃の妙に気が付けないブライトナイトはやたらめったらに攻撃を繰り出すが、その全てが当たらない。逆に異世界で仕込まれた太陽の攻撃は、的確に人体の急所を打ち抜いていく。それは一方的な蹂躙と言っても過言ではないだろう。



「くっ、こ、ここで決着をつけるのは惜しい!ヒーローは見ているものがいてこそなのだ!また会おう!」


 不利を悟ったブライトナイトが逃げの一手を打つが、それをはいそうですかと見逃す太陽ではない。すぐさまブライトナイトを浮遊の力で持ち上げ、そのまま自身の前まで飛ばす。


「逃がすわけないだろう卑怯者」


 弱い者いじめ、敵前逃亡、挙句の果てにまだ自らをヒーローとのたまう精神性。ことごとく太陽の地雷であった。太陽はブライトナイトと共に宙に浮かび、屋根をぶち抜いて仙台市上空まで飛び上がる。そして空中で動けないブライトナイトに対して時速120キロかかと落としを敢行、勢いそのままに地面まで加速をつけながら落ちていく。これが太陽の持つ必殺技


隕石落とし(メテオストライク)!!!」


 である。




 激しい衝撃と共に土煙が巻き起こる。やっと着替えの終わり拳銃を携え乗り込んできたノレンと、気絶から目覚め地面からやっと抜け出した由美が見たのは、屋根から射しこむ光と太陽のみであった。


「……おい、あの変態はどこ行った?」


 ノレンの声がむなしく響く。隕石落とし(メテオストライク)の威力に消し飛んだという線は考えにくい。あくまでも120キロ急加速からの引力による自由落下でしかないため、転生者であるブライトナイトなら死んでも体の形はくらいは残るだろう。つまり、あの攻撃を受けてまだ動け、尚且つ逃げおおせるだけの防御力を有するということになる。


「体だけはいっちょ前に頑丈ってこと……かっ!?」


 怒りがやっと収まり、冷静に思考できるようになった太陽が、由美の豊満な()()を見て硬直したのは言うまでもない。

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