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古代の魔女  作者: 八草月
ジャポーネ編

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第6話 賢者、弟子を鍛える。

帝国暦1400年10月

―ジャポーネ領アマーサキ郊外―


「アイ、どんな魔法が見たい?」と、私が聞くとアイは「古代魔法が見てみたいです。」と返してきた。「えっ…」私は一瞬思考が止まった。「アイ、本当に古代魔法が見てみたいのか?」と聞くとアイは「はい!私は今まで英雄記に出てくる古代魔法に憧れていました。だから、古代魔法を見せてください。」と、懇願された。正直言ってここで古代魔法なんか使おうものなら辺り一面が焼け野原になる。しかし、弟子の憧れを叶えてやるのが師匠である私の役目ではないのだろうか。と思った。「可愛い、弟子のためだ。仕方ない、見せてやろう。しかし、条件つきだ…」と言いかけたところにコトネが「ちょっと待ったー。アオイ、本当に古代魔法を使う気なん?あんなん使ったら私達の目の前に広がっている景色が全部焼け野原になる、そんなん私が許さへん。」と間に入ってきた。「コトネ、話を最後まで聞け。そんな事は私が一番分かっている。だから、闇魔法で異空間を作ってその中でやろうと言おうと思っていたのに」と言うと「えっ、そうやったん。ごめんな〜。それやったら別に構わへんわ。」と、領主であるコトネから出たところで私は、空間魔法である『ダークルーム』を使い異空間を作り上げた。そして、三人でその中に入った。「アイ、コトネ、準備は良い?」と確認すると、「いつでも大丈夫」と返事が来た。私は全身に力を込めて詠唱を始める。「聖なる神、そして精霊たちよ。我が求めに応じ、我に強大なる力をお与えくださいませ。」詠唱と同時にたくさんの魔法陣と中央に一際大きな魔法陣が少しずつ出来上がる。すべての魔法陣が出来上がると、その中から大量の雪がセットされる。そして、「あぁ、我が髪はまるで白銀の雪のよう、我に仇なす者達は全て白銀に染まる。さぁ、白銀に染まりなさい。ヴァイスリヒト」その言葉と同時に魔法陣から大量の雪が溢れだし、一瞬で辺りは銀景色と化した。

後ろが騒がしいと思って見てみるとアイが雪を触ろうとしていた。すかさずアイに浮遊魔法をかけ、浮かせた。「あぁ、その雪、触らない方が良いよ。強力な毒が入っているから、触った瞬間、溶けるよ。」アイとコトネの雪を見る表情が一気に変わった。「さーてと、どうだった?アイ、コトネ、私の古代魔法は。」

「凄かったです。何より美しかった。まるで雪の中で女神が踊っているようだったです。」「そうか、そうか。まだ、本調子じゃなくて全盛期の三分の一程度しか力を出せなかったんだけど、女神か…それは神を信じる私にはとても恐れ多い言葉だな。まあ、取りあえず今日はここまでで明日からは本格的に修行を始めていくよ。目標は一カ月で弱体化魔法をかけた私に一撃でも与えること。」と、言うとアイが不思議そうな表情で「ちなみにその弱体化魔法ってどれくらいの強さのものなんですか?」と聞いてきた。「そうだな。一般人にかけたら瀕死状態になるくらいかな。まあ、一般人だと、瀕死状態になるけど耐性のある私にはあんまり効かないから普段の十分いや、二十分の一くらいかな。」と言っておいた。何故か知らないがアイ達は驚きと絶望に満ちた顔をしていた。


翌日、私達は昨日私が古代魔法を使ったところに来ていた。「さて、早速訓練をしていくぞ。アイの適正魔法は闇属性魔法だったな。まずは、脱力して全身の力を抜け。そうしたら僅かに自分の中に何か、光っている物を感じるだろう。それを手に行くように調整しろ。」5回、10回とアイは挑戦する。しかし、魔力は全然移動しない。「う〜ん、う〜ん」とアイは頑張っているがこれでは埒が明かない。本当は自力で頑張ってほしかったが仕方がないか。と思いながら私は彼女の体に触れた。「少し、失礼。」そう言い、彼女の魔力を手の方に移動させる。「よし、これで魔力が手まで来た。そしたら、その魔力を目の前の木に打つようにイメージするんだ。落ち着いて。」

「イメージ、イメージ。目の前の、木に向かって、打つ!」

ヒューン。ドーン。見事、アイの手から紫色をした半円状の物が飛んでいった。

「おめでとう、アイ。それは『ダークブレイド』という初級魔法だ。」アイは驚きと、喜びが混ざった表情をしていた。「私、魔法、使えたんですか?本当に魔法使えたんですか。」と理解が追いついていないアイに「あぁ、お前は魔法が使えたんだ。」と言った。その後、アイにはダークブレイドの練習を。コトネには光魔法の練習をさせ、自身は水魔法の練習をしていたら、すっかり空は真っ赤に染まっていた。「さぁ、そろそろ帰ろう」と私は言った。その時、「キャーー」アイの悲鳴が鳴り響いた。アイの方を見るとそこにはアイに刃を突きつけている男達の姿があった。


とある賢者のメモ

古代魔法…勇者が魔王を討伐するために作った魔法。火、水、風、土、闇、光、の要素が複雑に絡み合った非常に高度な魔法のことをまとめて古代魔法という。勇者は魔王討伐後、古代魔法を広めようとしたが非常に高度な技のため誰一人使えなかった。人間達は自らの恥を隠すため勇者は教えなかったと歴史を変えた。それ以来、勇者は表社会に出ることはなかった。

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