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古代の魔女  作者: 八草月
最終章

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第49話 アイの暴走2

帝国暦1401年

―独立都市センテリア センテリア城―

ヒールのお陰で私達はようやく立ち上がる事ができた。

「シズク、大丈夫か」

「はい、お姉様のヒールのお陰で何とか…。」

「取りあえずこの部屋から脱出するぞ。」

どこか、この部屋から出られそうな場所は…。辺りをみわたすと壁に大きな穴が空いている場所があった。

「シズク、あそこから出るぞ。」

私達はその穴から部屋を出ることができた。

「シズク、一体何が起こっているんだ。」

「わかりません。気づいた時には壁に衝突していて、周りは火で埋め尽くされていましたので…。」

「そうか…。」

恐らくアイが魔力暴走を起こしたのだろう。元凶のアイさえ何とかできばいい。

そう思った私は衝動的に城の中へ入っていった。

「お、お姉様。どこへ行かれるのですか。危険です。」

そんなシズクの制止を無視して私は中へ入っていった。

見渡す限りの地獄。こんな中でアイを探すのは正直骨が折れるがこんな地獄のような状態に私の故郷であるセンシティをするわけにはいかない。進め。

私はそう自分に言い聞かせて先に進む。

奥へと進むと何やら怯えた声が聞こえてきた。

私はその声がする場所に向かう。

そこにはブラウンが角が生えているアイに拷問を受け、見るも無惨な姿になっていた。

「アイ、やめろ。」

「…アオイ、様。止めようとしても無駄です。私にはこいつを殺す義務がある。私の故郷を侵略し、両親を殺したこいつに生きる価値なんてないんです。」

「分かる。分かるよ。けどなアイ、そいつを殺したらお前はきっと後悔する。」

「ハハ。笑わせないでくださいよ。私はこいつに人生を壊されたんです。両親を殺されたんです。故郷を火の海に変えられたんです。私から全てを奪ったんです。こいつを殺して私が後悔するわけがない。後悔なんてするわけがないんですよ。」

「私だってそうだった。愛する者を傷つけられ、殺された時、私は復讐に燃えたよ。たくさんの人を殺した。その度に私は後悔した。私の魔法で自分の記憶を消したくなった時も何度もあった。死にたくなる時もあった。よく引きこもって何十年も外部との連絡を絶った。けど、その度に私を外部に無理矢理出してくれた人がいたんだ。そんな人がいたから私は今、この場に立っている。だからなアイお前も…。」

「もう良いです。私の復讐を邪魔するというならアオイ様でも容赦しません。」

アイの雰囲気が一気に変わった。激しい悪寒に襲われるような、本能が危険だと判断するようなそんなとんでもない雰囲気を出した。

「私を止めたいなら本気でかかってきてください。アオイ様。」

「望み通り、最初からフルスロットルで行かせて貰うぞ。」

地を思いっきり蹴り、一気にシズクとの距離をゼロまで詰める…はずだった。

「あれれ〜。アオイ様。ぜ〜んぜん届いていませんよ。私はここにいるんです。もっと詰めてきてくださいよ。」

私が距離を詰めようとするとそれと同じぶんだけアイも距離を取る。近づこうとしてもまったく距離が縮まらない。

チッ。

近距離戦は無理か。ならば、私の本領で戦おう。

「古代魔法、死者の断罪。」

私の目の前に何重にも重なる魔法陣が出来上がる。そして、魔法陣の真ん中に白い光が落ちる。その光から大量の亡霊が出てきてはアイに襲いかかる。

「新しい魔法ですか…。厄介ですがただ数が多いだけの烏合の衆。これしき私の手にかかれば一瞬で終わりますよ。」

短剣で亡霊達を次々と斬りながら余裕の笑みを浮かべる。

まずいな…。魔力はなくなるが一気に畳み掛けるべきか。

「古代魔法、重列仕様。死者の断罪&天使の微笑み。」

死者の断罪によって出てくる亡霊達に基礎能力5倍だ。これでさすがに…。

「ふむふむ。確かにさっきよりは手応えがありますがこれしき、あの神に比べれば…。」

神?今、神と言ったか。

「アイ、お前、神と戦ったことがあるのか。」

「はい、ありますよ。6000年前に。」

6000年前。神。魔力暴走。アイに生えている角。この明らかにおかしい雰囲気。

まさか…。

「おいお前。アイから出ていけ。」

「何を言っている。私はアイだ。」

「口調がおかしいぞ。焦っているな。」

「逆に聞くが私がアイではなければ何だというのだ。」

「魔。お前は女神の日記に出てくる"魔"だろ。バカだよな、お前。自分から6000年前に神と戦ったとか言うとか、そんなの自分はアイではありせん。私は"魔"です。って言っているようなものだろ。」

「別にバレるのは一切構わなかったんだ。どうせいつかバレていただろうからな。」

「つまり、お前は自分が魔だという事を認めるのか。」

「この期に及んで魔じゃないと言う方が無理があるだろう。」

「そうか…。お前が魔だというのなら一つだけ聞く。なぜお前は私に干渉してきた。」

「干渉?」

「とぼけるな。わかっているだよ。お前がお姉様やベンに乗り移って私にちょっかいかけてきていたことくらい。言え!」

私は辺りに響き渡る怒号を発した。

「私がお前に干渉した理由はなお前の魂が最高に食べ応えのありそうな美味そうな魂だからだ。」

私の方を見てジュルリと鳴らす。

「他には。」

「お前の力を使えば、われは憎き神々に復讐ができるからな。」

「私の力を使い神々に復讐、か…。随分とふざけたことを言うのだな、お前。私が世界で最も尊敬してならない神々に復讐をな。ふざけるなよ!貴様の喉元を今すぐにでも刈り取ってくれるわ。覚悟しろ。」

私は魔力切れギリギリでだいぶ動きにくい体を無理矢理動かし、再び地を思いっきり蹴った。

とある王族のメモ

お姉様はとんでもない量の魔力を持っていますがその反面、一度魔力切れを起こすと魔力切れ状態から回復するまでに数日間要してしまうという弱点があります。

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