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古代の魔女  作者: 八草月
最終章

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第47話 賢者の決意

帝国暦1401年

―フランティア王国パリース城中庭―

「シズク、恐らくその神は"魔"だ。」

私の言葉をシズクは…魔?とオウム返しに返してきた。

「そう魔だ。」

私はもう一度頷く。

「魔って何ですか?ユヅキお姉様は神と言ったのですよ。その魔っていうのは神なんですか?」

さっきまで厳しかったシズクの顔が一気に緩くなる。

「魔は神ではない。けど、魔も神も地上に降りてきたら人間と同じ様に体を持つ。それに魔も神が使う技、一般的に加護と呼ばれる物に近い物を使える。」

私は魔に関する説明をする。

「それじゃあ、ユヅキお姉様はその魔と神を勘違いして魔のことを神と言ったと言うことですか?」

「そうだと思う。」

シズクの質問に私は肯定する。

「そこまで知っているということはお姉様はその魔という存在に会ったことがあるのですよね。」

シズクが顔を近づけてくる。

「いいや、私、というか今生きている者は誰一人として会ったことがないだろう。」

私はシズクの顔を押しのけながら答える。

「なぜですか?」

「魔は遥か昔、まだセンテリア皇国があった時代にセンテリア城の書庫にあった女神の日記に登場する存在だ。女神の日記が書かれたのは今から約4000年近く前だ。そんな昔に生きていた人が今も生きている訳ないだろ。」

当然だろうと断言口調で言う。

「確かに。それじゃあその女神の日記の中では魔はどんな存在だと書かれてあるんですか。」

納得したのか首の縦に振ったシズクが聞いてくる。

「魔は人々の憎しみや妬みなどの負の感情が蓄積する事によって生まれる存在で一般人にはその姿すら見えないらしい。それで魔は人の負の感情を操作して人を操ることができるらしい。」

正直言ってあまり正確な情報は言いたくないのだが仕方ないだろう。

「人を操る!?」

シズクが驚くのも仕方ない。精神干渉系ができる者は稀なのだ。

「それこそユヅキお姉様やベンが生き返ったかのように動いていたのはそれが原因だろう。」

「お姉様、死んだ者には感情は無いのではないでしょうか。」

「そのことについては良く分からないが恐らく死んだ後の魂に干渉しているのではないかと私は考えている。」

「死んだ後の魂に?そんな事、可能なのでしょうか。」

「普通の精神干渉系魔法では無理だろう。けど、魔は恐らく魔法ではない物を使っているんだと思う。それに元々魔は実体を持たないただの負の感情だ。だから、魂に干渉する事も可能なのではないかと思っている。」

「他に魔に関する情報はないんですか。」

「すまない。何しろ何千年も前の物だから情報がほとんどない。」

「魔については分かりました。それじゃあ使命というのは何なんですか。」

「たぶん、それは世界を破壊することだと思う。」

「はっ、破壊!?」

「あぁ。王城にあった女神の日記は特殊で一般的に出回っていた女神の日記ではない女神様、直筆の物なんだ。だから一般的に出回っている女神の日記には書いてなかった事もたくさん書いてある。その中の一つに我らの一族はもしも、この世界が破滅へ向かっているのであれば世界をより良い方向に変えるため、世界を滅ぼす義務を有する。義務執行のため、破壊のペンダントを残す。と書いてあるんだ。」

「つまり、ユヅキお姉様はこの世界が破滅へ向かっているというのですか。」

「分からない。けど、私が思うのは魔が今後、この世界を破滅へと導いていく。だから、魔を倒すために、魔に侵食されたこの世界を滅ぼせ。と言っているのではないかと思っている。もしもそういう意味でお姉様が言っているのだとしたら、私は一族の誇りに賭けて、この世界を滅ぼさなければいけない。」

「けど…。」

「な〜んてな。女神様の文の最後には必ずペンダントを使用すること。って書いてある。当のペンダントはお姉様が私を救うために2千年前に使ってしまった。だから、私は世界を滅ぼす義務はない。安心しろ。」

「本当にお姉様は世界を滅ぼさないのですよね。」

なぜか涙目になりながらシズクが聞いてくる。

「あぁ。私には世界を滅ぼす義務はないからな。」

私は澄ました顔で答えた。

「良かった…、本当に良かった。」

安心したのか涙を拭き取っているシズクがどこか愛らしく思った。

けど、不思議だ。お姉様も私にそんな義務がないことくらい知っているはずだ。それじゃあ何で…。やはり、あの夢で見た地に行く必要があるようだ。

「ところでシズク、3体の石像がある街を知っているか?」

「3体の石像…、それなら確かお姉様の故郷にありますよ。」

故郷といったら…。

「故郷?それはセンシティのことか。」

私は恐る恐る聞いてみる。

「センシティ以外にどこがあるですか。」

「そうか…、センシティか…、お姉様はセンシティに来いと言っていたのか。」

複雑な気持ちになりながら小声でぽつりと呟く。

「お姉様、どうかしたのですか?」

シズクの心配の声をよそに私は決意を固めた。

「シズク、私は明日にもセンシティに行く。」

そう断言すると何気なくシズクが

「それじゃあ私も行きます。」

と言い出した。

「何を言っているんだ。新体制に移行して大変な時期に王が国を抜け出すわけにはいかないだろう。」

私の言葉に反論するように

「そんなの関係ありせん。私も行くんです。」

と答える。

「ダメだ。王の仕事をしていろ。」

私の言葉に少し考えた後こう言い出した。

「王の仕事をしていればいいんですよね。」

シズクは、それなら。と言い、胸元から紙を取り出して何か書き始めた。

「何を書いているんだ?」

「センシティの長宛の手紙です。」

「手紙…?」

シズクの言葉を聞き返す。

「はい。明々後日にあいさつに伺いますのでよろしくお願いします。っていう手紙です。」

シズクが平然とした口調で答える。

「まさかお前、センシティの長にあいさつに行くついでなら私に付いて行っても良いと思っているのか。」

驚きが混じった声で聞く。

「そりゃ〜。他国にあいさつに行くのは国王としての仕事ですので何も問題ありませんよね。もっとも、"たまたま"お姉様達と同じ時間にパリースを出て、"たまたま"同じ行き先にむかうだけですので何も問題ありませんよね。」

めんどくさくなった私は適当にあしらう。

「分かった。ついてきたければ勝手についてこい。」

最初からシズクがついてくるとは思っていたがまさか私についてくるためにセンシティの長に会うのは予想外だった。今のセンシティの長はどんな人なのだろう…。

私は星々を見ながらセンシティの長の顔を想像した。

とある王族のメモ

パリースからセンシティまでは運がければ片道で2〜3日程で行けるが、運が悪いと土砂崩れのせいで道が塞がれ、1週間以上かかることもある。

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