第42話 妹の家出
帝国暦1401年
―フランティア王国パリース城―
うっう〜ん。何か温かい物が横にあるような…。そう思った私は私はその温かい物をギュッと抱きしめる。
キャッ!
誰かの悲鳴が聞こえたような気がしたが気のせいだろうと思いその温かい物を抱きしめる力を強くする。
そして再び眠りにつく。
次に目が覚めたのはパリンという何かが割れたような音がした時だった。
うっう〜ん。と目を少し開ける。
すると誰かの頭が目の前にあった。
うわっと驚きながら私は抱き締めていたものを突き離してベッドからバッと起きる。
ドーンとその抱きしめていだものはベッドから落ちていった。
すると目の前にコップを落として唖然としているアイがいた。
「どうしたんだ、アイ」
私がベッドの上から声をかけるとアイは頭に?を浮かべたような顔で「アオイ様」と言い、下を指さした。
私はその指先に目線を向ける。
するとそこにはシズクがいったーいと呻きながら悶え苦しんでいた。
「シズク、どうしたんだ!」
私はすぐにシズクに駆け寄りシズクをベッドに寝かせようとシズクの体に触れようとした。
そんな私の手をシズクはパチンと弾き飛ばし、「お姉様、ひどいです!」と言い、右腕に左腕をあてながら怒って何処かへ行ってしまった。
「アイ、どうしてシズクはあんなに怒っているだ?」
私は落としたコップの破片を集めているアイに聞く。
「シズク様をベッドから突き落としたからですよ。」
アイは破片を集めながら、当然だという顔をしながら言う。
「もしかして私がさっきまで抱きしめていたのってシズクだったのか?」
「気づいていなかったんですか。」
アイが何処か引きつった顔で言ってくる。
「ちょっとシズクに謝ってくる。」
私はそう言い残し、その部屋を後にした。
そして、私は玉座の間へ向かった。
しかしそこにはシズクがいなかった。
私はシズクが居そうな場所を虱潰しに探していった。
それでもシズクはどこにもいない。
私はアイを呼び寄せた。
「アイ、さっき衛兵に聞いた情報によるとシズクは2時間くらい前に城の外へ出ていったらしい。」
「それは本当ですか。」
アイが私の顔を覗き込んでくる。
「あぁ、近衛兵複数人の証明だから間違いないはずだ。」
私はアイの目を見て断言する。するとアイは何やら慌ただした。
「だとしたら大変ですよ。もうすぐ夜です。それも今夜は新月です。新月の夜はいつもよりも暗いから犯罪が増えるんです。それにシズク様は明らかに貴族っぽい格好をしているはずです。いつもよりも犯罪が増える新月の夜に貴族の若い女性が一人で外出…。それでもしもシズク様が犯罪に巻き込まれなんてしたら…。考えたくもありません。」
顔を真っ青にさせたアイが言う。
「アイ、すぐにシズクを探しに行くぞ。」
私は突発的にアイの手を強く掴み城の外へと走り出した。
とある王族のメモ
シズクは光魔法の名手で大抵の光魔法は使用できる。しかし、光魔法は攻撃系の物が非常に少ないため、主に攻撃系魔法の補佐として活躍する。




