第20話 賢者、決断する
帝国暦1400年
―フランティア王国首都パリース―
アイからの説教が終わった後、私はシズクの部屋に向かった。トントンと扉をノックし、「シズク、入っても良いか?」と扉越しに聞くと「どうぞ、お入りください」というシズクの声が聞こえた。ガチャッと扉を開けシズクの部屋に入る。そして、シズクの前にあるソファーに腰を掛ける。「シズク、夜遅くすまない。アイがいる場では姉妹間の雑談もあまりできなかったからな。シズク、私が居なかった300年間の間に何があった?今のお前はあまりにもお前らしくない、暗い顔をしている。何か悩みがあるなら姉である私が聞いてやる。何でも言ってみろ。」とシズクの目を見て心配そうに言うと「お姉様、今から私が言うことを聞いて私に失望しないと、見捨てないと、約束してくれますか?」と真剣な眼差しで聞いてくるシズクに「あぁ、約束する。私はお前のお姉ちゃんだ。それにお前は、私にとって最後の家族だ。そんなお前の事を見捨てられる訳ないだろ。」と子どもに言うように優しく言う。「お姉様、ありがとうございます。お姉様のその言葉を聞けて安心しました。」と言い、シズクは覚悟を決めた顔でしゃべりだした。「率直に言います。お姉様、私はこの王座から退きたいのです。」と予想外だが、面白いことを言ってきたので「フ〜ン。なぜ王座から退きたいのだ?それに退きたいのなら適当な大貴族から養子を取って王にすれば良いではないか。」と聞く。「まずは私が王座から退きたい理由からご説明いたしましょう。私が王座から退きたい理由は私が王座に居座り続けている状態ではこの国は何にも変わりません。それどころか、ここ最近は少しずつ経済が落ち込んでいます。私にはこの状態を改善するだけの力がありません。それに元々、王の権力があまり強くなかったこの国では私が王になってから王の権力がもっと低くなっていて、大抵の事は全て貴族が行っています。そんな中で大貴族を王にしたら貴族の権力がますます強まり、この国は衰退の一途を辿り下手したら私達の故郷のようになるかもしれません。そんな事は絶対に避けなければいけません。だからこそ、私が王座から退き、貴族出身ではない者に王になっていただきたいのです。しかし、そんな事を貴族達が許すはずもなく、最近では私の権力を更に奪い、お飾りの王として都合良く操ろうと企んでいる貴族達も多くおります。こんな絶望的な状態で王座を譲りたいと言っている事自体、全て私の甘えです。私の願いなど叶わず、私は貴族達の操り人形にされてしまうのです。お姉様でもどうにもできません。」と全てを諦めたかのような「いいや、まだ希望はある。シズク、王は腐っても王だ。それに今の現状。まだやりようはある。お姉ちゃんを信じろ、シズク。」とシズクの両手を握り、希望に満ちた目で言った。
とある本の一節
今、大陸にある3つの大国は元々1つの国から分裂した国家だという資料が見つかったが信憑性は今ひとつかける。




