第2話 アリタ・アオイ(有田葵)
帝国暦1400年8月
―古代の魔女の家―
「さて、今からお前は私の弟子。つまり私について知る権利がある。何か聞きたいことはある?」
「それなら1つ気になっていたことがあります。賢者様の本名って何なんですか。町で聞き込んでも皆、知らないの一点張りで分からなかったんですよ。」
と不思議そうな表情をしている。
「フフフ。町の者が私の本名を知らなくても無理はないと思う。私はあまり町には行かないのでね。それは一旦置いといて、私の本名だったね。私の本名はアオイ。アリタ・アオイ(有田葵)だよ。」
「アリタ・アオイ。それが賢者様の本名なんですね。じゃあ今日からアオイ様って呼んでも良いですか。」
「それは、少し恥ずかしいけどアイがその名で言いたいのであれば…」
「それじゃあ、賢者様改めアオイ様にお願いがあります。もう一つだけ質問しても良いですか」
「別に良いけど何?」
「アオイ様の適正魔法って何ですか。」
この世界の魔法(魔術)について説明しておこう!まずこの世界には適正魔法というものがあり、これは、世界の基本魔術(火・水・風・土)4つと光と闇、それから極稀に持っている人がいるユニークスキルの内、全員が1つ持っている物であり、適正魔法以外の魔法は使えないのがこの世界の常識である。
「私の適正魔法は全てだよ。厳密にはユニークスキルと水が適正魔法になるんだけど、私にとっての適正魔法は詠唱がいらなくて少し使いやすい程度の物だから、普段、あまり気にしないな」
「あの〜、お話中、失礼するんですけど一応確認しておきますが、全ての魔法が使えるのは異常ですよね。それも詠唱なしで。」
「あぁ、異常だね。おそらく世界でも私だけだと思うよ」
「ですよね。ちなみに詠唱がいらないというのはどういうことなのでしょうか。」
「そのままの意味で、普段使う魔法程度であれば詠唱なしでいける。それこそ古代魔法レベルになると少しの詠唱は必要だけどね。」
「古代魔法!?古代魔法ってあのおとぎ話で英雄が使う、あの古代魔法ですか!本当に存在したんですか!」
「あぁ、存在はするよ。けど、古代魔法は消費する魔術量が桁違いに多く、非常に複雑だから精霊への捧げ物が必要な訳。それが詠唱という訳なんだけど、君もいつかは使えるようになるよ。きっと。」
「いや、私には古代魔法は無理ですよ。そもそも、私、今まで魔法使ったことないし。」
「つまり自分の適正魔法が分からないという訳だね。それじゃあ、明日は教会に行って適正魔法を調べようか。そのために今日はもう、寝な。」
「寝る前に一つ質問をします。アオイ様は私の適正魔法が分からないんですか?」
「ある程度は分かるけどしっかりと断言できるほどじゃないからね。さて、話がそれだけだったら、今日は明日に向けてしっかりと睡眠をするべきさ。私のベットを使って良いよ。」
「アオイ様はどこで寝るんですか?」
「そもそも今日は地下室で研究に没頭する予定だったし…」
「だめですよ。そんなの健康に悪い。アオイ様も一緒に寝るんです。さあ早くこちらへ来てください。」
「いや、マジで要らないんだけど」
「だめです。一緒に寝るんです。」
そう言い、アイは私を、無理矢理布団に連れ込んだ。
とある本の一節
古代魔法…謎多き魔法。英雄記によると遥か昔、勇者が魔王を倒した時に使用したという。しかし、勇者が悪用されるのを恐れ誰にも教えなかったため、現在では幻の魔法と言われる。英雄記自体、信憑性のない創作物である可能性が高いため、そもそも存在しないという説が濃厚。




