第10話 賢者、神に誓う
帝国暦1400年 11月
―ジャポーネ領アマーサキ―
神は言う。「あなたがそこまでの覚悟ならば、私が止めることはありません。さぁ、誓いの言葉を言いなさい。」と。私は一文字一文字を丁寧に言う。「神、アイノハラノミコト様に私は誓う。私はアイを、大切な弟子を、如何なる場合でも守る。それがたとえ、この命が失われことになろうとも。」
神が天界に帰った後、アイは私に泣きながら言った。「アオイ様はなぜ、私を守ると言ったのですか。私は、アオイ様がいなくなって私だけが生き残る何て、嫌です。せめて、誓う前に、私に一言、言ってくださいよ。アオイ様。」朝日に照らされて、橙色の涙を流しているアイに私は言った。「アイの意見を聞かずに、勝手に誓ってしまい、すまなかった。けど、これが私の存在意義なんだ。私は今までの人生の中で誰も救えなかった。むしろ、たくさんの人を犠牲にして生きてきた。さっきまで、私は死に場所を求めていた。そして、やっと見つけた死に場所。それは、もしお前に厄災が降りかかったら、私の命に変えてお前を守る。それが、私の出した答えだ。」私が言い終わると、アイは私に聞こえる位の小声で言った。「アオイ様は他者を信頼しすぎなんですよ。けど、そういうところ、私は好きですよ。」その言葉を聞き、私の決心はさらに強固なものになった。
―4時間後―
誓いを終えた私達は、アマーサキ郊外に魔法の練習をしてきていた。「そこはもう少し力を込めろ。」「バカ、込めすぎ。もう少しで爆発するところだった。」
「ごめんなさ〜い。次からは気をつけま〜す。」舐めた口調のアイの言葉が帰ってきた。普段なら火の玉の一つ位投げつけているところだか、今回は投げないでおいた。日を追うことに強くなるアイへの思いが邪魔したからだ。とはいえ、アイにやられっぱなしというのも気に食わない。後で何かやってやろう、と思いながらアイを見ていた。そして一つ気付いた事がある。それは、あれ、コトネどこに行った?ということである。答えはすぐに出てきた。家だ。神に誓った後、私達はコトネのことを忘れ、ここへ来た。つまり、コトネからしたら、朝起きたら、私達がおらず、いずれ帰ってくると思っていたのに全然帰ってこない。仲間外れにされた。そう思っているはずだ。すぐにアイを呼び戻し、家へ帰った。そこには玄関の前で正座をし、カンカンに怒っているコトネの姿があった。
「どういうことなん、これは。」それがコトネが最初に発した一言だった。「コトネ、本当にすまなかった。私がコトネのことを忘れてアイの訓練に行ってしまったこと、深くお詫いたします。」と土下座しながら、謝罪すると、アイも「コトネ様。本当にすいませんでした。私はコトネ様を忘れ、アオイ様と訓練に行ってしまいました。今後は、この様なことは起こらないようにしますので、どうかお許しください。」と土下座しだした。コトネは、私達の目を凝視して「今後はこんな事しないって約束するん?約束するんやったら、今回の事は水に流したるわ。」と言った。私とアイは即座に「約束します。」と声を合わせて言った。「今回は、信じたるわ。けど、一つだけ条件がある。それは、私を温泉に連れて行くことや。」
とある王族のメモ
ジャポーネ…創立は帝国暦1100年と比較的新しい国家。たくさんの都市が合わさって出来た連合国家。首都は元ヤマート国領キョート。周囲を山と海に囲まれているため大陸の文化が入ってこず、独自の文化が発達している。また、活火山が多いため、温泉が多い。言語はジャポーネ語。




