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第34話 巨人の猛攻

 バルボがランクアップして、更に奥へと進む白蛇一行。

 しばし強敵も出てくる中、いよいよリュウイチは及び腰になっていた。


 「ううう、もうそろそろ帰らないー?」

 「何よ、ビビってさ、アンタまだランクアップもしていないじゃない」

 「いやそもそもさ、ランクアップはそんな一朝一夕じゃできないから」


 勝ち気なフレイアと違い、ビビリのリュウイチでは戦いの貢献度も違う。

 バルボほど勇敢ではなく、レギのような多彩な技能もないのだ。


 「魔物だ、次がきただ」


 正面から接近していたのは、岩石の巨人【ゴーレム】が迫ってくる。


 「うわ、強そう」

 「野生のゴーレム、ん、格好良い」

 「突っ込むだ!」


 バルボは一気呵成と踏み込んだ。

 その踏み込みは圧倒的に素早い、今までのバルボとは比べ物にならない程に。

 《強靭肉体》の恩恵でただレベルアップ以上に能力値が上昇しているのだ。

 そのままバルボはゴーレムを鉄の斧で一閃、ゴーレムは斜めに切り裂かれると砂に変わった。


 「うへぇバルボ強えー、ますます俺の立場無いじゃん」

 「そ、そんなことないだ、リュウイチ様は頭も良いし、空だって飛べるだ!」

 「飛べない白蛇はタダの蛇さ」


 なんて自虐する始末。

 怖いから帰りたい、でも強さに憧れがあり、バルボに劣等感を抱いてしまう。

 フレイアとレギもどんどんレベルを上げており、才覚を広げているし、白蛇はずっと弱いまま。

 本当にこれでいいのか、そりゃ良い筈がない。

 強くならなきゃなにも守れない、聖女アイの言葉が嫌でも思い出される。


 あるヒーローの叔父が言っていた言葉がある。

 ――大いなる力には大いなる責任が伴う。

 ヒーローになりたい訳じゃない、でも責任はその通りだと思う。

 力無き正義は無力であり、正義無き力は暴力という。

 白蛇は己を見つめるほど、そのちっぽけさに憂鬱になった。


 「ところでレギ、この辺りはダンジョンではどれ位だと思う?」

 「んー、多分中盤くらい?」

 「だとすると、見かけ以上に広いだな」


 三人はまだまだ戦い足りないようだ。

 実際バルボがランクアップしたこともあり、まだ戦いには余裕がある。

 レベルが元々低かったフレイアやレギなんて、戦いながらレベル上がって強くなっているんだから、想定よりも余裕があると言えるだろう。

 実際さっきのゴーレムは☆☆☆☆(ほしよっつ)の魔物だったが、文字通り瞬殺であった。

 ミミックのような例外を除いて、この階層に敵はいないのかも知れない。


 「……ちょっと待って」


 突然フレイアは長耳を震わせて警戒する。

 一行は足を止めると。


 「前方そんなに遠くない場所に、なにか音がする」

 「音……ッ!?」


 リュウイチは【熱源探知(サーモスキャン)】にて、巨大な熱源を確認した。

 巨人、それも先程のゴーレムどころじゃない。

 推定身長十メートルの巨人だ。


 「こいつはやばいんじゃないか……?」

 「ん、一応警戒しておく」

 「オラが先頭で行く、リュウイチ様は後ろで警戒してくれ」

 「うぅ……怖いなぁ」


 一行は真っ直ぐ通路を進むと、やがてかなり天井まで高さのある大部屋が見えてきた。

 部屋は円形、広さはまるで村一つが入るんしゃないかって広さ。

 そして部屋の中央には、青肌で筋骨たくましい巨人が立っていた。

 白蛇はゴクリと喉を鳴らすと、《ステータスオープン》と呟く。


 【 種族 】 ゴライアス

 【 レベル 】 80/99

 【 ランク 】 ☆☆☆☆☆☆☆

 【 攻撃力 】 598

 【 防御力 】 472

 【 魔法力 】 223

 【 魔防力 】 581

 【 敏捷力 】 125

 【 スキル 】 再生力 大咆哮(ハウリング) 守護者 毒完全無効


 「な……!?」


 圧倒的な能力値、白蛇は愕然とする。

 ☆☆☆☆☆☆☆(ほしななつ)はあのベヒーモスと同じランクだ。

 総合能力ではベヒーモスより劣るようだが、そもそもスキルがまるで違う。

 ここまで出てきても最高のランクはミミックの☆☆☆☆☆(ほしいつつ)だった、なのに二つも格上だなんて!


 「デカいわね……こりゃ」

 「逃げよう皆! 無理したって意味ないって!」


 白蛇は大慌てでフレイアの腕を引っ張った。

 だがゴライアスはギョロリと白蛇を睨むと、突然大声で叫んだ。


 「コオオオオオオオオオッッ!!!」

 「う、うわあああっ!?」


 《大咆哮》、強力な音波は衝撃波となって一行を吹き飛ばす。

 逃さない、この部屋に入った限り、まるでそう告げるようにズシン、ズシンとゴライアスが迫ってくる。

 白蛇は顔を青ざめてガタガタ震え上がる。

 だめだ、かないっこない。

 ベヒーモスの時と同じだ、根源的な恐怖に動けない!


 「く、ぅ、皆無事?」

 「ん、レギは問題ない」

 「オラもだ」


 フレイアは頭を振ると、ゴライアスを睨んだ。

 レギ、バルボも戦意を失ってはいない。

 怯えているのは白蛇だけだ。

 ここでも、まだ臆病にかまけるのか。

 それでも白蛇は動けない。


 「仕掛けるわよ!」


 フレイアは光の矢を番え、ゴライアスに連続で射掛ける。

 ゴライアスは避けることなく、光の矢が胸元に突き刺さるが、まるで効いていなかった。


 「チッ! これじゃ豆鉄砲と同じじゃない!」

 「おおおりゃあああ!」


 バルボは烈帛(れっぱく)と共に、斧を振り下ろした。

 凄まじい威力の斬撃に、ゴライアスはたたらを踏む……だが。


 「ゴラァ!」

 「ぐふ!?」


 ゴライアスが腕を振り払うと、それだけでバルボがダンプカーに轢かれたような衝撃で床を跳ねた。

 痛烈な一撃、バルボは一撃で気絶してしまう。


 「そんな……ば、バルボが一撃で……」

 「まだ死んでいないでしょ!」

 「ん、魔法戦でいく、《ラーバストーム》!」


 レギの強力な炎魔法は、マグマの嵐を顕現させゴライアスを襲った。

 ゴライアスは全身を焼かれて、苦しむ。

 だが、それだけでゴライアスは仕留められない。

 ゴライアスは足を振り上げると、レギに向かって振り下ろした。


 ズガァァァァァン!!


 「ンアー!?」


 地面を砕く凶悪な一撃、レギはなんとか回避するが、吹き飛んだ瓦礫を直撃でもらい、射出されたみたいに吹っ飛ぶ。


 「……っ、はぁ、はぁ!」

 「まずいレギが! このぉ!」


 フレイアも古代魔法の準備に入る。

 空中に魔法陣を描き、必殺の魔法を構築する。


 「ゴアアア!」


 しかし、それをゴライアスは許してくれなかった。

 再び《大咆哮》がフレイアを吹き飛ばす。


 「きゃああああ!? あぐ!?」

 「ふ、フレイア?」


 ふらふらのレギが顔を上げる。

 吹き飛ばされたフレイアは壁に激突し、血を吐いた。

 そのままフレイアは気を失ったのか、倒れてしまう。

 まずい、バルボとフレイアが気絶、レギは意識朦朧(グロッキー)だ。

 万全なのはもはや白蛇のみ。


 「ラァァァァ!」


 ゴライアスは天井へと吼える。

 そして、無慈悲で凶悪な視線を白蛇へと向けた。

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