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アルノーの模範剣技、剣舞  SS

お疲れ様です。


これが書きたかったSSなんでした。

リベルタンゴかけながら描いてます。

アルノーとルネにぜひ、足が絡まりそうなアルゼンチンタンゴ踊ってもらいたい。

結婚して暫くして、皇配ルネは近衛団(グルド・ロワール)を作った。


 元々、ルブラ連合帝国には第一から第三騎士団まであったのだが、近衛団は皇帝アルノーの本当に身近な護衛として、少人数で編成されていた。

 特に皇宮警護の第一騎士団から文句が出るかもと思ったが、アルノー個人専門警護は今まで無かったし、アルノーの行動範囲が広すぎたので、どうせ一緒にいるなら是非警護をお願いしますと歓迎された。

 ルネは人柄も良かったし、剣術の腕が抜きん出ていた。

 近衛団員は全員がリュスタール西帝国遊牧民潜入時代の仲間たちだったので、遊牧民の剣技も身に付けていた。近衛団発足の挨拶として、騎士団とアルノーの前で遊牧民の剣技と剣舞の披露をすることになった。


 広い練武場に二百人近い騎士団と皇帝アルノーが見守る中、模範剣技。まず、ルネが前に出て型を披露。一度全部通して披露したところで、残り四人と揃えて一通り。次は少しずつずらして一通り。左右に別れて振りも左右逆にして一通り。片刃の太い剣は少し湾曲していて、持ち手に大きな房が付いている。ルネもそうだが、全員体が鍛えられていて大きい。腕も肩もその大きさじゃないと太い剣を振り回せないんじゃないか?

 大きな銅鑼の音がして、そこからは剣舞。音楽は打楽器のみ。全部爺がやってる。器用。パーカッション爺。

 模範剣技よりもう少し滑らかな動き。剣ももう少し細身の剣を使う。両手に持ち、舞うと思えば、数人で剣を投げ分けて踊る。最後は諸肌脱ぎで回転、回転、回転、ジャンプ、ポーズ。


 わぁっと声が上がり、全員立ち上がり拍手。アルノーはただただ、ルネ、かっこいいと見惚れた。


 その晩、アルノーが自分も体を鍛えたいといった。ルネのようには筋肉がつかないのは分かっている。ただ、このままよりは、鍛えた方が健康的なんでは? と。

「そうですね、皇帝が走り込むわけにはいきませんから、アルも今日の剣技と剣舞で鍛えるのもいいかもしれないです」

 そして、振りの一つ一つ動きとポイントをルネはアルノーに説明した。

「動きの一つ一つで使う筋肉を意識して、止める時に力を込めたり、捻りを入れるのもいいです。筋肉はあった方が守りになりますからね」


 アルノーは几帳面で記憶力がよく、実は運動も良くできたので、一度で振りもポイントも覚えた。ルネが毎日練武場で鍛えている間、アルノーは部屋で特訓をしていた。

「アル、筋肉ついてきたじゃないですか」

 一月程すると、ルネが声をかけた。体質的にガッツリと筋肉は付かないが、白磁の肌の下にうっすら筋肉が見えるようになった。

「せっかくですから、披露しませんか? 今年の新兵入団式で。皇帝の剣舞とか奮い立つでしょう?」


 当日。白いラップチュニックブラウス(脱ぎやすい前合わせの)にゆったりした紺のパンツ。長い髪は紺色の紐で後ろに結いてアルノーは準備していた。

 披露した模範剣技の一巡目で、ルネはアルノーの筋肉を確認しただけで、実際の剣技のチェックをして来なかった事を後悔した。アルノーの剣技が色っぽすぎた。

 剣技がどうして色っぽくなるのか予想も付かなかった。


 多分癖で、タメがある。味というか、色気というか。普通は次の構えに入るために前の型では省略するところを、生来の几帳面のせいで、限界まで伸ばした手足から次の型に移行するので、少し遅れる。目線が残った指先を追う。なんだこれ、相手に戦意を喪失させて違う気を起こさせる剣舞なんじゃないか?


 途中でルネが後ろに並んで踊り出すと、さらに踊りの癖がハッキリした。たまにルネを見て微笑むので、色気も加速……。騎士団の方も、これ俺たちが見ていいもんなのか?とざわつき始めている。ルネがアルノーの背後から『撤収』の合図を送る。騎士団は見事に一気に撤収……一列目の新兵たちを残して。頬を染めて、口を開けてアルノーを見ていた新兵たちは袖を引かれて退場した。


 剣舞の最後にブラウスを諸肌脱ぎにしたアルノーは誰もいなくなったのに気がついた。


「あれ?もう終わったと思ったのかな? みんな」

 アルノーの真っ直ぐサラサラな髪の紐が外れて髪がバラけたのを見て、ルネがため息をついて自分の上着をアルノーにかけた。


「絶対、もう皆の前で剣舞とか披露したらダメですよ。あ〜失敗した」

「え? 下手くそすぎた?」

 アルノーはがっかりした顔をした。


「そんなことないです。とても素晴らしいです。ただ、あり得ないくらい色気が出ていて、皆当てられてましたよ」

「模範剣技で色気とかあるわけないでしょ」

 アルノーは冗談だと思った。下手だからって、そんなこと言うなんて。

 ルネはアルノーを後ろから抱いて言った。

「俺だってそんなの初めて見ましたよ。アルは綺麗なんだから、俺以外に見せちゃダメなんです。全員出た後で良かった。諸肌脱ぎとかあり得なかった」


 白磁の肌、真っ直ぐでサラサラの黒髪、ヴァイオレットアイズ、体毛もほとんど無い。こんな宝物は、俺だけのものだ。アルノーは美人の自覚ないから、ほんと、気を付けないとなぁ。ルネはアルノーの肩越しに口付けた。




 ※アルノーの侍女のうちの一人、オデリーは自他共に認めるアルノー強火担。アルノーの前では猫かぶっている。着替えや髪のセットを担当し、他の侍女には『お耽美担当』と呼ばれている。髪の結び目の解けるタイミングすら自由自在。ルネには強火担がバレているが、有能なので、ルネから特別手当が出ている。

 

 




 


 



 

 

 

 


 

長いお付き合い、ありがとうございました。


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