マリローズに叱られる
お疲れ様です。
後もうちょっとなんです。
下書きは終わったんです。
楽しかった&辛かった。
マリローズが待っていた。
皇宮に戻り、昨日の正装のままだったので、二人でルネの使っている部屋までルネの着替えを取りに行き、二人ともアルノーの部屋で着替えた。
なんだかもう、一刻も離れ難くて。平服のお互いにまた見惚れていると、着替え終わるのを待っていたかのようにドアがノックされた。
アルノーの侍従がマリローズ様がお待ちですと言って、二人をマリローズの部屋に連れて行った。テラスに四人分の昼食を用意して、マリローズとグルーディアス領領主シモン・ドラクールが待っていた。
ぴったり寄り添って現れた兄とルネをみたとたん、マリローズは
「なんて事!ブランシュ卿、貴方私の護衛を引き受けられたんでは無かったのですか?」
マリローズにそんなふうに叱られた事のないルネは、目を泳がせていた。
「そんな腑抜けた顔をなさって。これではとても警護を任せられません。これまでの努力、これからの未来、切り開いてきたことを無にするおつもりですか?」
アルノーまで一緒に叱られている気分だった。立場もなく浮かれすぎたよなぁ。でも待って、アンリが見つかったんだよ、マリローズ。
「そんな護衛は要りません! お兄様に差し上げますわ!」
きょとんと目を見合わせるルネとアルノー。
堪えきれずに笑い出すマリローズとシモン。
マリローズの鈴のような笑い声が青い空に響いて消えた。
「もういいから、お二人ともお掛けになって。食事しながらお話ししましょう」
ルネとアルノーが空いている席に座った。ルネが右側、アルノーが左側。
二人の様子を微笑んでみていたマリローズが言った。
「意地悪をしました。昔、意地悪するって言いましたから。お二人は、いいよって言ってましたよね?」
「え……」
「まさか……アナマリー?」




