逢えた!
お疲れ様です。
今日はここまで(笑)
よろしくお願いします。
アルノーが手を握ると、ルネは黙りこくった。その目は閉じられて、閉じた瞼の内側で眼球が動いているのがわかった。
「う……」
しばらくするとルネは目を開けた。アルノーは見つめ返してくる視線に息を呑んだ。
「シャルル?」
応えられない。魂が喜んでいる。この時をずっと待っていた。やっとだ。やっと、待ちに待ったアンリに会えた。アンリ、アンリ……。
「……ア……ンリ」
待ってたんだよ。待たせてごめんね。ずっと探してたんだ。シャルルの事を考えない様にされてたんだ。どうしよう、嬉しい。嬉しい。嬉しい。
全然言葉にしなかったのに、お互いの気持ちが響いてくる。
やっと逢えた!
ひとしきり見つめ合ったまま、アルノーの右手と、隣に座ったルネの左手を重ねたまま、時が止まった様に動きを止めた二人。
初夏の風が、花畑をまるで誰かが歩いているかのように掻き分けて二人に近づいてきた。サラサラと揺れる白い花。それがきっかけの様にアルノーはルネに抱きついて号泣した。子供みたいに。
ルネは厚い胸で広い肩で太い腕で、アルノーを抱き込んでいた。嵐の様なアルノーの想いに当てられてつられて泣いた。それでも泣き止まないアルノーの背中をしばらくトントンしていたが、とうとう、アルノーの両肩を掴んで自分の胸から引き剥がすと驚いた顔をしたアルノーに口付けた。頬に、額に、瞼に……唇に。
「え?」
「え?」
「えぇ?」
驚いたアルノー、アルノーが驚いたことに驚いたルネ。お互いに状況を理解して驚く二人。
「俺の『好き』はこういう好きだし、もっと一つになりたいと思ってるよ」
「ずっと逢いたかった。逢ってどうするかは考えてなかった。ただ、共にありたいだけだった」
アルノーはただ逢いたすぎて、逢うことしか考えていなかった。逢えたら、どうしたらいいんだ?
「ではどうしますか?俺に好きな人が出来て結婚しても構わないですか?」
「いや、困るな。一番は私でなければ」
ルネは泣きすぎて力の入らないアルノーを支えて、小屋の扉を開いた。




