表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/53

ルネの気持ちを

お疲れ様です。


今日から、一日三回更新に変えました。

ラストスパート!

思うだけで辛い。


 シモン・ドラクールが登城したのは三日後だった。


 それまでの三日間、マリローズは度々中庭でルネと散歩をしたり、東屋でお茶をしたりしていた。マリローズにしてみたら『仲の良い幼馴染』ではあるんだけど、側から見たら、『恋人同士』にしか見えなかった。特に偶然マリローズのドレスとルネのシャツの色が揃った時などは、侍女達がお似合いだと話しているのがアルノーにも聞こえた。二人を見かけた時には、声をかけに中庭に出て……うそだ。ルネの顔が見たいんだ。

 ルネの陽に透けるプラチナブロンドが見たい。薄いブルーの瞳が見たい。こっちを見て笑ってくれないか?ブルーの瞳を軽く細めて。まぁ、そんなことは無いんだけど。ルネは常に、アルノーではなくマリローズを見つめている。


 マリローズと二人でいるルネの目が笑顔が言葉が、マリローズに対して優し過ぎて、全てを物語っている気がした。

 そんなルネを見ているこちらが苦しいとアルノーは思えるのだ。特に好かれてはいないけど、嫌われるのはもっと嫌だな。


 お似合いだけど、マリローズ様とブランシュ卿では格が合わないのが残念よね。そんな声も聞こえてくる。マリローズは王妹。ルネ・ブランシュは地方貴族の次男だった。別にそのせいではない。マリローズの希望なんだ。アルノーはルネの気持ちを思うと辛い気持ちになった。


 いよいよ、三日目の朝。


 朝は格別に涼しかった。輪郭がはっきりするようなキリリとした空気の中で、アルノーはここ数夜の浅い眠りから覚めた。身支度をして、執務についていると、知らせが入った。グルーディアス領領主シモン・ドラクール到着。午後の式の前に、人物を確認しておきたい。隣の部屋で挨拶をすることにした。


 シモン・ドラクールはふわりとした優しそうな男だった。癖のある茶色の髪は少し長めで、頭の後ろで括っている。濃いめの茶色の瞳は笑うと目尻がグッと下がる。声もどっしりして、落ち着いている。領主としては、真面目で不正なところもない。発明家で、いろんなアイディアを生活にいかし、周りもよく見ている男だそうだ。公爵家。家格は問題ない。ただ、人物に文句はないが、経歴には少し納得がいかない部分はある。二十六歳。マリローズより十歳年上。二十歳の時に結婚した最初の妻を一年後に病で亡くしていた。子供はいない。領主としては、後継のためにも再婚をと思うだろうが、十六歳のマリローズとは釣り合わないんじゃないか?


 そう、マリローズはグルーディアス領領主シモン・ドラクールに降嫁したいんだそうだ。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ