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マリローズのお披露目

お疲れ様です。

暑すぎて死にそうですが、死なずに完結させますね。


よろしくお願いします。

翌日はお披露目会が催された。


 今日のマリローズは瞳の色のグリーングレーの広がったドレスだった。ハニーブロンドの髪はハーフアップにして、下げた長い髪には小さな白い花や真珠がたくさん飾られていた。アップにした上の方は複雑に編まれていて、百合やアナベルや薔薇の白い花が飾られていた。ドレスも、肩は出さず、肩口のフレンチスリーブまではたっぷりのレースが華やかだった。ドレスに合わせた今日のショートの手袋も、初々しくてとても似合っていた。


 会場ホールには、マリローズとエスコートの男性、アルノーの順に入場予定だった。アルノーがホール階段上に着くと、マリローズと男性が立っていた。マリローズは入口を背に、男性はアルノーに背を向けて立っていた。背の高いアルノーよりさらに長身。プラチナブロンドでおそらくは騎士。肩や腕の筋肉のせいで、フロックコートのように思える逆三角形のラインの燕尾服を着ていた。声をかけるために少し横に回り込むと、彼はとても優しく微笑んでマリローズの髪に細かな白い花の小さな束を挿していた。その花はあの高原の思い出の花畑に咲いていた花だった。


「マリローズ」

「お兄様」

「マリローズ、今日もとても綺麗だね」

「陛下」

 エスコートの男性は、一歩下がって頭を下げた。

「マリローズ、彼を紹介してくれるかい?」

 アルノーはルブラ連合帝国で女性の髪に触れるのは、ステディな仲の男性だけだと思っていたので少し動揺していた。十六歳のマリローズにもう彼がいるなんて。

「ルネ・ブランシュ卿です。幼馴染なの」


 ルネはゆっくりと顔を上げて、挨拶をした。

「お会いできて光栄です、陛下。ルネ・ブランシュです。」

 よく響く声のルネと目が合った、薄いブルー……アルノーは衝撃を受けて、数歩下がった。


 アンリなのか!


「昨日はデビュタントに間に合わず、申し訳ありませんでした。どうしても、この花を探さなければならなくて」

 少し恥ずかしそうにルネは言った。

「いいの。お兄様と初めて踊ったの。嬉しかったわ。それに、絶対この花を探してくるように言ったの私だもの」

 マリローズの笑い声が、鈴を転がしたように響く。そのマリローズを見つめるルネの目が、視線が、微笑む口元が……。


 アルノーは今自分を叩きのめしているのは、アンリであるルネが自分に気付かないことなのか、おそらくルネの気持ちがマリローズにあるということなのか、と混乱していた。何か言おうとした瞬間に、入口ドアが開いて、マリローズたちが紹介された。


 ルネはホールに入る瞬間に振り向いて、

「陛下もどうぞ」

 と、アルノーの左胸のボタンホールに思い出の花のブートニアを挿していった。

「アンリ……」

 小さくつぶやいて、アルノーは動けなくなった。

 


 

 


 


 


 

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