アナマリーが凄いって話
おはようございます。
今日も暑いです。何この暑さ。
頑張りましょう。頑張ります。
アナマリーはコミニュケーションお化けだと思う。
アンリにただ一人ついて来た侍女のアナマリーはカリエ王国から来た時はまだ十五歳だった。
ゾルタン王国とカリエ王国の間には高い山脈が連なっている。アナマリーはカリエ王国の外れ、ゾルタン王国との境目の山の村の出身だった。アンリがゾルタン王国に来ることになって、お付きの侍女として急に召し抱えられたのに、ただの村娘にしては物が分かっていた。カリエ王国で侍女の教育を受けたのは僅かひと月。元々月の宮の侍女たちも侍従たちも真面目ないい人達ばかりなんだけど、アナマリーは全く物怖じせず、あっという間に全員を味方にした。見ていると分かるんだけど、頼み事は上手いし、教えて欲しい事もマトを外さずにそれを知っている人のところに行く。きっと皆何かを頼まれても、アナマリーに使われているとは思わずに、気持ち良く動いてるんじゃないのかな。そんな魅力がある。
母ともすぐに打ち解けた。僕とアンリが遊ぶのを母とアナマリーが何か話しながら見守っている。そんな風に笑っている母を見ると、僕も嬉しかった。僕と妹シルヴィに付いていた乳母は、シルヴィが亡くなった後辞めてしまったので。まあ僕も七歳だから、もう乳母も要らないしね。
ある時庭で遊んでいると、アナマリーが何かを母に耳打ちした。母は驚いて侍従に指示をして、僕たちを呼び寄せた。僕たちがいた場所の近くに毒蛇が出たので大騒ぎになった。それはゾルタン王国にはいないタイプの毒蛇だった。だから多分、そういう事なんだけど。毒蛇も慣れない環境で弱っていたところを見ると、暗殺目的というよりは警告じゃないかという事だった。
実のところ、母も僕も他国や自国内の権力者達に狙われる様な魅力も権力も持ち合わせていない。得になる事なんか無いだろう。あぁ、でもそれで王妃様に取り入る事が出来るのかも知れないな。直接じゃなくても、敵は多いのかも。味方はいないのに。