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どうか、お願いです

おはようございます。


後半の方が前半より少し短いです。

下書き、もう直ぐ終わりそうです。

完結保証

アルノーは一才半でアンリへのラブレターを書いた。


 ゾエがアルノーにルブラ連合帝国公用語の綴りを教えた。話すのは口周りの筋肉とかがまだしっかりしていないせいか、せいぜい二単語文がやっとだったが、大きな文字でゆっくり書くのはそこそこ出来た。


 アンリ だいすき はやくあいたいです


 これには皆驚いて、大騒ぎとなった。

 すっかり泣かなくなって安心したのも束の間、あの老婆の話のように皇子が何者かに取り憑かれているなら大変だ。他の『読み人』は見つかったのか? 今から文字も書かれるなど、大変優秀極まりないが何をしてもアンリアンリでは、どうしたものか?


 とうとう皇帝と皇后が揃ってアルノーの部屋にやってきた。

「とうしゃま、かあしゃま」

「アルノー、もうお手紙を書けるんですって?」

そう言った皇后に乳母が見せた紙には、辿々しい文字でアンリへの想いが書かれていた。


「アルノー、父様と母様にもお手紙を書いてくれないか?」

 皇帝の言葉に、アルノーはペンを取ると、


 とうさま、かっこいい かあさま、きれい

 アルノー シャルル アンリ あいたい


 皇帝と皇后は途方に暮れた。本当に『封印の術』とやらを施さなければならないのだろうか? アルノーの心の中がアンリで占められている。このままでは、まともに育たないんじゃないか? と。


「すみません、その紙を見せていただけませんか?」

 アルノーの侍女の一人、アルノーに綴りを教えたゾエが驚いた顔をして言い出した。今書いた紙を見て、意を決して、皇帝に直言した。


「陛下。どうか、お願いします。封印の術とかは止めて、私に殿下を任せていただけないでしょうか? 本格的な教育の始まる時までです」

 何を言っているんだ、不遜だぞという雰囲気が漂ったが、ゾエは必死で続けた。

 


 

 

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