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皇子の心に

おはようございます。


我が家に春からずっとツバメがいます。

二回子育てしたのにいなくなりません。

玄関がずっと汚れたままなんですが。


よろしくお願いします。

侍女長が慌てて『読み人』を連れて来た。


 アルノーはまだ一才になったばかり。話せると言っても勿論満足ではない。侍女長はヒトの過去や未来を見ることができる、『読み人』をツテを辿って手配した。

 『読む』能力と言うのは、能力のない者には判断できず、能力はあってもその者の経験や考え方、立場や利害関係までもが影響してしまう。なので本来はゆっくりと吟味して依頼先を決めるべきであった。

 だが、今回は皆赤子が話した事にびっくりし、またその話の先を知りたいが為に急いでしまったのだ。


 呼ばれた『読み人』は盲いた老婆だった。昨日まで路地裏で通行人に声をかけて小銭を貰って『読んで』いた者を取り急ぎ、手を引いて連れて来たと言う塩梅だった。昔であれば、東方流民に予知・先読み・過去読みの出来る者がいて、国のお抱えになったりしていた。それも、ルブラ連合帝国ができた頃にはすっかり消えていた。変に誰かの思惑で国が操られることも無くなったのだけれども。


「この子は誰かに操られておりますじゃ」

 老婆はシワシワの日焼けした手をアルノーの白いぷくぷくの手に重ねてしばらくしてから言った。

「過去からずっと、誰かに操られておったようじゃ」

「この繋がりを切るには、封印の術を施さなければならんですじゃ」

「それまでは、泣いても喚いても放っておかれますようにの」

 一言一言を、アルノーの手を汚い手で撫で回すようにしてから言うので、周りは全員居た堪れず目を逸らした。


「わしは封印の術は使えんで、縁者を辿って探してみるわの。ちっとしたらまた、お屋敷から誰か使わしてくれればいいですじゃ」

 盲いていることをいい事に、皇宮だとは言っていないので老婆はただの金持ちの大きな屋敷だと思っていた。

 老婆には、彼女が一年暮らせるほどの金貨が支払われた。


 さて、どうしたものか?皇帝を継ぐかもしれない皇子が誰かに操られているのでは大変な事になる。それにしても、信じていいのだろうか?あんな汚い老婆を。もっと他にちゃんとした『読み人』を連れてこい。となって、今度は慎重に人選される事になった。


「アンリー!いない!アンリー……」

 アルノーは相変わらず、アンリを呼んで、泣きながら目覚めるのだった。


 


 

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