鷹に乗って
おはようございます。
最初のエピソードをもう少し詳しく書いてます。
タカの種類に悩んで、結局、隼にしました。
憧れる、ファルコン……
よろしくお願いします。
どうか鳥に僕たちの魂を乗せてくれます様に。
まるで目に見えない何かに押された様に、アンリがゆっくりと仰向けに倒れた。僕はアンリの横に座ってアンリの顔を覗き込んだ。山間から昇ったばかりの朝日は足元から僕たちを照らしている。日の光は、アンリのうっすら開いた瞳の中で青に水色に、ほんの少し黄緑に反射していた。
「シャルルが僕を見つけてよ」
「うん。約束だ」
もっと幸せな国で、もっと幸せにずっと一緒に暮らそう。約束だ。
アンリの左目から涙が一筋流れた。僕の手で拭おうとしたけど、手は届かずに僕も倒れ込んだ。
そのまま、アンリの手を握った。絶対離さないんだ。
家の裏の森から、二羽の隼が飛んできた。ピンと翼を広げて僕たちの上ギリギリまで滑空してきた。花畑の上を高く飛び、清流沿いを麓へ飛んだ。僕たちは隼の背に乗ってる様だった。体はないけれど、景色や風や音は直接感じられる。
村まで降りると、何人かの役人達が罪人を乗せるような護送用の馬車を停めて、山に登ってくるところだった。
透明な僕たちは、顔を見合わせて笑った。
隼は旋回して、清流の沢水が流れ込む谷川のキラキラ光る水面ギリギリを飛んでいった。そのままずっと川を下って、大きな湖に出たあたりで意識を失った。




