表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/53

きみは天使 初めて会った時

お疲れ様です。暑いですね。

文字が多くてすいませんです。

よろしくお願いします。

 僕は一人で図書室で本を読んでいた。窓際の席に、初夏の日差しが射していた。

「こんにちは、シャルル王子」

 君は窓辺に立って僕に声を掛けた。逆光になって、君の髪がキラキラしていた。僕は夢の中みたいに、君の周りに踊る光に見惚れてたんだ。天使が来たのかと。

「アンリ……王子?」

「今着いて、カミーユ様にご挨拶をしたところです。シャルル王子もこれからよろしくお願いします」

 カミーユは迎えに出たのかも知れない。僕には到着は知らされなかったけれど、来ることは聞いていた。聞いていたより早く着いたらしい。アンリ王子には初めて会ったけど、母は大丈夫だっただろうか?なぜなら、プラチナブロンドに薄いブルーの瞳のアンリ王子は、亡くなった妹そっくりだった。


 結論から言えば、母はむしろ喜んでいた。髪と目の特徴が同じだった他、年齢も一緒。一年前に五歳で亡くなったシルヴィが男の子になって戻って来たみたい。あまりに急に亡くなったので想い残したことが沢山ある。アンリ王子は男の子だからドレスは着せられないけど、シャルルと一緒に楽しそうに過ごしてくれているのを見ているのは喜ばしいわ、と。

 僕も母に生気が戻って嬉しかったし、ほとんど年が変わらない友人とずっといられて楽しかった。

 一日も経たず、シャルル、アンリと呼び合った。実際その後五年ほど一緒に過ごしたけど、喧嘩したこともなかった。いつも何かしら二人で発見して、探検して、笑い合っていた。

 

アンリが来てから程なく始まったお勉強も一緒だった。ゾルタン王国には当時王族や貴族が通う学校のような物はなかった。職人や商人の為にある程度の技術や知識をまとめて教える、それぞれのギルド経営の養成所があり、騎士の為には剣術や作法を教える騎士学校のような物はあった。が、王族や貴族は先生を招いて教えてもらうのが常だった。僕たちは宮のなかで一緒に講義を受けた。預かった王子にも教育を施す為に、二人一緒なら一度に済むということで。歴史や社会常識は二人とも両方の国を学んだ。隣の国なのに、いろんな違いがあって面白かった。言葉はもともと大陸公用語を使っていた。


 一度、国王も庭で遊ぶ僕たちを遠くから母と見ていたことがある。やっぱりシルヴィを思い出しただろうか?プラチナブロンドの髪と薄いブルーの瞳のアンリが国王とそっくりなので、並んだら僕より親子に見えるかも知れない。アンリの母が国王の妹だった。アンリの妹達も皆母ゆずりのプラチナブロンドに薄いブルーの瞳なんだそう。僕とアンリは従兄弟同士なんだ。


 そんな風に月の宮で、仔犬の兄弟みたいに僕たちはコロコロ一緒に過ごした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ