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アナマリーの家

お疲れ様です。


北欧の雪兎の脚の長さが意外すぎて書きました。

後書まとめありません。


よろしくお願いします。

 夕方近く。太陽は傾きかかっていた。


 森も切れて、日の当った広い斜面に一面に細かい白い花が咲いていた。近付くと背の低いブルーやピンクや黄色の花も根元に咲いてるんだけど、遠目には白い花畑に見える。ここまで降りて来ると、春らしかった。尖った高い山に囲まれた谷間の斜面。雪解け水の流れる小川がずっと麓の村へ続いている。清流は右に左に曲がり、途中の岩や飛び出した丘に阻まれて、直接下の村の川に繋がっている所は見えない。


 見下ろすずっと下には色とりどりの家々が三角のとんがり帽子の屋根を被って並んでいた。そこへ降りる前の少しなだらかな斜面には、何軒かずつ家が建っていた。アナマリーはすぐそばの一番高いところに一軒だけある家に近づいた。麓の家とは違う、丸太を組んだ様な家だった。外のベンチに僕たちを座らせて、隠してあった鍵でドアを開けて入っていった。


「誰もいない」

 しばらくして出てきたアナマリーが言った。

「まあ、いいわ。中にどうぞ」


 家に入ると、中は綺麗に片付いていた。

「冬の間、下の村の知り合いの家に厄介になることもあったから、そっちにいるのかも知れない。なんにせよ、明日様子を聞きに行ってくるわ」

 アナマリーは少し、不安そうだったけど、それでも五年ぶりの家が嬉しそうだった。

「鳥が何にも言わないしね」

 誰も、アナマリーの家の噂をしていないらしかった。

「ご飯を食べて、お風呂に入って、今日はもう寝ましょう」

 何か手伝うよ、って言ったけど大丈夫だからって言われて、僕とアンリはまた外のベンチへ。


 夕焼けが空と山々を赤く染めていた。周りの山々と白いはずの花畑も茜色に染まっていた。一瞬も止まることなく、藍色を帯びていき、空も山も花畑もどんどん紺色の夜に変わっていった。月が出て、星も瞬き出した。白い冬毛のリスが木の枝を走り、林の方から、目と耳の先だけ黒い真白なウサギが思ったより長い足を、一度う〜んと伸ばしてからぴょんぴょん白い花の中に飛び込んで行った。


 アナマリーに呼ばれて中に入り、僕たちもここの家の子の様にご飯を食べて、お風呂に入って、暖かくして眠った。

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