僕たちの祭にようこそ
おはようございます。
うっかり遅れました。
今回は後書まとめなしです。
「僕は当代の村長なんだ。まだ、若造なんだけど」
アナマリーは丁寧なお辞儀をした。
「あぁ、いいよ。別に僕、偉いわけではないからさ」
お面の青年は僕たちに優しい笑顔で言った。
「この人と話がしたいんだ。君たちはお祭りを楽しみながら待っててくれるかい?」
アナマリーを見ると、僕たちに頷いていた。
「お祭りの時期は村を離れた人たちも沢山帰ってきてるから、賑やかなんだ。誰か、この子達を案内してやって」
バアルの近くにいた中の、僕たちと同じくらいの歳の子達が
「いいよ。一緒に見て回ろう」
と言ってくれた。見ると、バアルは花冠まで乗せられていた。上機嫌だ。
「祭りの屋台はなんでも無料。楽しんでくれ」
「一刻ほどで戻る」
「今晩はウチで泊まってもらうから、途中で疲れたら誰かウチに送ってくれ」
周りにそう声をかけて、アナマリーと青年はアーチをくぐって教会の方へ。
屋台の食べ物は見たことのない物ばっかりで、全部美味しかった。朝から、ほとんど何も食べていなかったのもあるけど。皿に載っていない食べ物なんて初めてだった。みんな手に取って食べやすいように工夫されていた。
黒くてへにゃりとした甘い匂いのホウホウ焼き。丸い黄色いピヨピヨ焼きは甘いのとしょっぱい具の入ったのと二種類ある。灰の中で焼かれたカッコウ焼きの具も色んな野菜と甘いナッツとがある。棒に付いたスズメ巻きもマヨネーズとソースがかかって具の種類はひとつひとつ違うんだけど、全部美味しそう。食べ切れないから、毎回アンリと半分こしてたんだけど、もう無理。
噴水の周りに腰掛けて、さっぱりする透明な緑のお茶を飲んでいたら、花火が上がった。それを合図にステージで音楽と踊りも始まった。踊りは大人も子供も誰でも参加できるようだった。
しばらく見ていたんだけど、案内してくれた子達がうずうずし出したので、僕たちも一緒にステージに上がった。振り付けはそんなに難しくない。広いステージが何重にもなった人たちでぎゅうぎゅう。間違えたってなんだっていい。何これ楽しいな。
バアルはステージの脇でぴょんぴょん跳ねていた。




