僕たちは急足で旧巡礼道を進んでいた
おはようございます。
本日も少し更新遅れました。
後書にまとめあります。
アナマリーによると、王妃からの直接の刺客ではなく、お金になると踏んだチンピラの単独犯行だったと。ただ、すでにそう言う噂が国中の地下組織に広がっていると言うことではあるので、僕たちは本当に急がなきゃならない。
アナマリーの鳥達は、会話を拾って教えてくれるんだけど、単独犯、誰にも口外していない、直接大物と繋がっていない者を精査しておくことはほぼ出来ない。何が起こるか分からない恐怖は心の中にずっとある。
そのまま宿を出た僕たちは森の中の道なき道を黙って進んだ。誰も口を開かなかった。
鬱蒼とした森の中、あまり日が当たらないので下草も邪魔になるほどではない。高い木々の上の方には鳥の巣もあるようで、鳥達が飛び交っている。頭のずっと上を紅葉樹の葉が陽の光を分け合って、組み合って伸びていた。何かの加減で、日の光が地面に当たることもあった。キラキラとした光。風が起こす葉ずれの音がサラサラと聞こえていた。
ロバのバアルがなんだか嬉しそうに跳ねながら歩き出したので、僕たちもとうとう笑い出しちゃった。昼過ぎには、僕の声も少しマシになってきた。出発前にアナマリーがくれた蜂蜜の入った薬湯が効いてきたのかも。声が出ないって、話せないってほんとに辛い。痛くなくとも、僕の気持ちを伝える術が目線しかないなんてね。思っていることなんてアンリには筒抜けなんだけど、アンリを励ましたり、元気付けたりしたくて堪らなかった。ずっと、アンリと手を繋いで歩いていた。僕もアンリもお互いを励ますようにキツく手を握っていた。
休むことなく歩き続けて、そろそろ今晩の宿の心配をし始めた頃、不意に森が切れた明るい場所に出た。森の縁の、今来た道らしきものに続く場所の左右に、朽ちたおかしな石像と不思議なアーチがあった。アーチをくぐると、賑やかな集落が不意に現れた。
刺客は単独犯。森の中の道をゆくと、不思議な集落に出た。
纏めるとこれだけという事実に驚愕。




