お父上はシャルル様の為に頑張られました
お疲れ様です。
わかった。説明多めな時は、後書きでまとめるので、後書きだけ読んでもらえたら♡
よろしくお願いします。
アナマリーが言った。アナマリーの小鳥が王の寝室の空いている小窓から僕たちの様子を伝えていた。アナマリーのつかう小鳥は基本特定の鳥ではない。長距離が飛べる渡り鳥のような鳥は指示を忘れてしまうので、短距離の留鳥をつかう。その鳥達が、ある程度は伝言ゲームのように鳥から鳥へメッセージを伝えてくれる。ただ、せいぜい馬車で三日くらいの距離しか伝えられない。
三日目の朝、ゾルタン国王が亡くなったそうだ。僕たちがお別れに行ってすぐ、正妃と兄達は父王の部屋へ。今にも亡くなりそうな王を看取るためだ。何度も危篤になり、何度も持ち直した王に付ききりとなった。僕たちの不在は知られぬまま。僕たちの様子を知らせに小鳥が部屋に入ってピイと鳴く。鳥が王をお慰めしている、と言われていた。もうこれ以上、アナマリーの小鳥も届かなくなる最後の伝言を聞いたところで、王は身罷った。
その頃には、王宮から随分離れることが出来ていた。アナマリーには王から資金も渡されていたので、すぐには困ることもなかった。ただ、ここからはあまり大きな街道を通れないので、野宿もする事になるかもしれない。昼は昼の鳥達が、近隣の街までの様子を教えてくれる。夜はフクロウやヨタカなのであまり公範囲を警戒できないけど、寝る分には大丈夫らしい。
僕たちは、カリエ王国を目指していた。
カリエ王国からの迎えは僕たちが出奔して数日でゾルタン王宮に来た。ただ、ちょうど国王の死去と重なってしまい、混乱の中、月の宮の様子も分からないまま待機となった。そして、とうとうアンリと僕の行方不明は知られる所となった。迎えの馬車は空のまま帰ることとなったが、速馬が仕立てられ、またその数日後にカリエ王国の摂政叔父に伝えられた。
アナマリーはこの五年のカリエ王国の様子がはっきりしないと言った。今までアンリには、王や王妃、妹達からの簡単な手紙は届いていた。だが、政治的な話はなく、今、摂政を務めている父王の弟の話は聞いたことがない。ソルヴェノナ北帝国との紛争の様子も知らされていなかった。そのため、知られずに入国して、様子を探るのだそうだ。
シャルル達を逃すために国王は最期の時を引き延ばして時間稼ぎをしてくれた。
シャルル達はカリエを目指しているが、カリエ国の情勢はアンリには厳しいものかもしれない。




