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異世界公務員リーヴァ・レイヴィン2

「リーヴァ先輩、先程はありがとうございました!」


はぐれ魔獣発見届を広報課に届けて席に戻ると、アリスが生真面目に椅子から立ち上がって頭を下げてきた。


「いいって。まぁホントは交戦が発生したら発見届出しても協力金出せないんだけどね。バーンズも余計なこと言わなきゃいいのに」


王国直営冒険者ギルドの保険課補償係は、日々一般市民の安全のために働く冒険者が、冒険により損害を発生させた際にその損害額の一部、あるいは全てを補償する業務を行っている。


冒険者保険はギルドに所属する全ての冒険者の加入が必須となり、その保険金は冒険者ランクに応じて変動するが、かなり高額だ。


すると大怪我することのリスクが減り、無謀とも言える挑戦を行う冒険者が多発するのだ。当たれば一攫千金、外れても損害の補填はされる。


ローリスクハイリターン。


先ほどのバーンズのように、実力に合わない魔獣に挑みかかり大怪我を負う冒険者は後を経たない。

となると必然的に補償係の業務量は増えるわけだが、冒険者はランク分けされており、そのランクに見合わない区域への進入や魔獣との交戦により発生した損害は補償の対象外となる。


「普通はあの手この手で補償内で発生した損害だって言い張るんだけどね。なんでまともにブラッドゲッコーと交戦したなんて言い張るんだろ」


アリスは苦笑いを浮かべる。


「ブラッドゲッコーの討伐自体は達成したからだと思いますよ。換金したらバレちゃうから……」


なるほどな。

保険課の損害報告と換金課の換金履歴を監査課が洗った場合、そこに齟齬があると追徴金が発生することがある。

それを嫌ったのだとすれば、無理筋なバーンズの粘りにも納得がいく。

追徴金、バカみたいな金額になるからな。


そうこう話していると、大時計の鐘が鳴った。

定時だ。

ギルド内の職員はそそくさと帰り支度を始める者、鐘など聞こえていないかのように仕事を続ける者、まちまちだ。

俺は別に急ぎで行う仕事もないので机の上のペンなどをペン立てに放り込み始める。


「そいじゃあ、アリスさん。俺は帰るわ」

そう言って机横に掛けてあった皮製のカバンを肩にかけると、アリスは慌ててちょっと待ってください、とカバンの紐を引いた。

ぐえ。


「リーヴァ先輩、この後空いてますか?飲みに行きませんか?」

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