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愛の競技はっ!

 というわけでやってまいりました!


 ドキッ! カップル対抗ガチバトル! 愛の大きさじゃ負けないんだから!


 わー、どんどんぱふぱふー!


 いぇー!


 そしてなんとこのイベント、私達――そう、私とスイも、参加しちゃいます!


 私達はイベントの待合室で待機しているところだ。


 というか、参加カップル一組一組に部屋割り振るとかどんだけ部屋数用意したんだ。



「これで名実ともに、私達カップルだね!」

「あー、そうねー」



 すっげえやる気ない感じの返事!


 でもそんなスイちゃんも好き!



「どんなことやるんだろうねー?」

「さあ?」



 スイが待合室の椅子に腰を下ろし、そっぽを向く。



「……カップル」

「ん、スイ今何か言った?」

「なんでもないっ!」



 なんで怒ってるのさ。


 その時、ブザー音が鳴り響いた。



『参加者の皆様、第一回戦が始まります――』



 いかにも機械音声っぽい感じの女性の声が響く。


 おお、来ました来ました。


 来ましたわー!



「それじゃあスイ! 行こうか!」

「……ええ」

「参加するからには当然?」

「トップでしょう」



 ですよねー!


 よっしゃやったるぜー!



 第一回戦。


 無人世界での、ポイント争奪戦!


 ルールは簡単。


 各組に一つずつ渡されたリボンを奪い合う。それだけ!


 これで参加ペアを削っていくそうだ。


 ちなみに今のところ、参加カップルはなんと驚きの約一万三千組!


 多いわっ!


 そして私達は、この緋色ちゃんがリボン守備を担当することになりましたです!


 この私のガードは誰にも打ち崩せねぇ!



「さぁ来い来るがいい!」



 そう両手を広げ、敵を待つ。


 空には大量のカップルが飛び交い、攻撃を放っている。


 ……なんだこの光景。


 そしてそんなカップル達は……なぜか私とスイだけは避けていく。



「なぜに!?」

「まあ、目をつけられたくないんでしょ。私達、いろいろ有名だし」

「え? そんないつのまに私達はアイドルに!」

「まあ悪評だろうけど」

「ですよね、知ってました!」



 つまりあれですか。


 このルール上、リボンをとられたら負け。でも逆を言えばとられなければ負けはないってわけで……。


 私達には触れないで他でポイント稼ぎをしようってことですか。


 ……ふふふ。


 そうはいくかぁあああああっ!



「スイ!」

「ええ……教えてあげないとね」



 スイがにやりと笑う。



「この力量差は、そんな小細工でどうなるものじゃない、と」



 わぉ、やる気満々ですよこの人。


 まあわからないでもない。


 だって勝負事だもんね!


 負けたくないもんね!


 もっと言えば、勝つもんね!



「あ、《顕現》はルール違反だからね、わかってる?」

「わかってるわよ、さっき放送してたし」



 まあ、《顕現》なんて使えたら一部の人しか勝ち目ないしね。



「というわけで、やってやりましょう!」

「そうね」



 手の中に魔力の大鎌を生み出す。


 スイも背中に爪翼を広げた。



「行くわよ、緋色!」

「うん!」



 第一回戦。


 緋色・スイペア。


 獲得リボン三〇二八。


 一回戦突破。



「まあこんなもんよね」



 戻ってきた待合室。


 見てください、このスイのドヤ顔。


 これが初撃で三百ペアを撃墜した人間の表情です。


 効果音にすると……。


 ズバッ、バヒュ、ズドォオオオン!


 みたいな!


 いやぁ、あれに死者が出なかったのは奇跡としか思えませんね。



「とりあえずこれで残り百ペアか」

「かなり減ったわね」

「うん、まあこのくらいにしないとまともなイベントにならないだろうしね。こっから十組ずつの勝負で十組まで減らしてくみたい」

「この調子じゃ敵はいないわね」

「でも油断は禁物だよ」

「もちろん、わかってるわよ」



 第二回戦。


 私達を含めた参加十組はイベント会場のステージ上にいた。


 そして行われる勝負は……ギリギリ衝撃! ブチ込め愛を! 障壁粉砕? 玉砕! 大喝采!


 『障壁耐久』ゲーム!


 ……。


 なんだそのとんでもなく恐ろしげなキャッチコピーは。


 腐ってもカップルのイベントで玉砕とかいうワード使うなよぉ。



「私達、ずっと一緒だからね、スイ!」

「はあ? なに言ってるの?」



 スイが訝しげな顔をする。



「……まったく」

「あれ、スイなんか顔が赤いような――」

「そんなことない!」

「え、そう?」

「私が視力矯正してあげましょうか?」

「遠慮シマス!」



 視力矯正と言いながらなぜ背中で爪翼をかちゃかちゃさせてるんですか。


 爪翼で行う視力矯正とかもう怖いわ!



「ふん……それで、どんなルールなのかしらね」

「ええと……」



 司会がルール説明を行う。


 簡単に言うと。


 順番に、ペアの片方が攻撃、片方が障壁を担当する。


 で、ペアの障壁が壊れないよう、もう片方は攻撃を行う。


 ……もうこの時点でこのイベント頭おかしいよ。


 どうしてカップルでこんな真似しなきゃならないのさ。


 マジで玉砕させる気か。


 とか思ってると、会場の後ろのほうにある協賛者の名前がならべられたところに奇妙な名前を見つける。


 リア充殲滅委員会。


 もうこのイベントダメだろ。心の底からそう思いましたね、ええ。


 で、ええと、ルールの続きだけど。


 前のペアが終わったら、次のペアが同じことをする。


 ただし、攻撃側は前のペアの攻撃よりも強い攻撃を行わなくてはならない。


 それで障壁が耐えられなくなったら終わり。


 ……え。


 チキンレース?

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