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ご主人様はっ!

「……んー」



 いつものように、飲むヨーグルトを一気飲み。



「んく……ぷ、はぁ」



 白濁が喉を通り過ぎる感覚がたまらんね!


 やっぱり朝はこうじゃないと!



「さて、と」



 今日は特に用事もないし、どうしよう。


 背中を伸ばして、考える。



「……そうだ」



 名案。



「ナユタのところに遊びに行こう」



 最近、なんか絡む機会も減ってたし。


 絡むってエロくね?


 むしろエロい絡みしたいよね?


 むっは。


 よっしゃナユタの家にレッツゴー!



「ナユタなら、今日は用事があっていませんが」

「なんてこったい!」



 ナユタの家の玄関で、ソウがそう告げた。


 ソウがそう告げた。


 ソウがそう告げた。


 いやダジャレじゃねえし!



「って……あれ? ソウがナユタといないなんて、珍しくない?」



 はたと気付く。


 これまでも、ソウは常にナユタと一緒にいたと思うんだけど。



「ナユタが、今日は一人がいいと言うので」

「へえ? 用事って、ナユタ今なにしてるの?」

「まあ、いろいろあるのですよ」

「いろいろ?」

「ええ」

「……まさか、私以外の女が!」

「さて」



 つめてーです、ソウさん。



「……まあ、それはいいとして」



 今の問題はこれからどうするかだ。


 このまま帰るのは癪だ。


 とはいえ一人でぶらぶらする気分でもないんだよなあ。


 ……となると、答えは一つか。



「んー、ねえ、ソウ?」

「なんですか?」

「それじゃあソウは今日暇なの?」

「ええ」

「ならさ、遊びに行こうよ!」

「……はい?」



「あなたは強引ですね」



 ソウが嘆息する。


 現在、私はソウと街中をぶらぶらしておりまーす。



「ソウと二人っきりで歩くのは新鮮かも」

「そうですか」



 うーん、素っ気ない。



「そういうところも大好き!」

「いきなりなんですか」

「おっと思わず愛が溢れちゃったぜ」

「そうですか……」



 あふん、そんな冷たい態度されると緋色ちゃん、むしろ燃え上がっちゃう!



「ソウさん、結婚を前提にお付き合いを――」

「それは前にもやりました」

「あ、はい。さーせん」



 二度ネタはお好みではないらしい。



「それは私には決めた主がいますから」

「……え?」



 決めた主?


 ……決めたご主人様?


 …………身も心も捧げたご主人様!?



「っ、あ……旦那、様ぁ……どうか、ご慈悲を……憐れみを……」

「ふん。こんなに濡らしおって。ソウ、お前はなんと卑しい女か」



 ぶっはぁあああああああああああ!



「……なぜいきなり鼻血を吹きだすのですか」

「き、気にしねーでください」



 やっべ失血死する。



「そ、それで、ですね。あの……つかぬことをお聞きしますが、その主とやらは、男性ですか、女性ですか?」

「女性ですが」

「っ!」



「ほら、舐めたかったんでしょう?」

「ん……ちゅ、く、ぷ……ず、ぢゅ……ふぁ、い……お嬢、さまぁ……」

「ふふっ、人の足を舐めてそんないやらしい顔をするなんて……本当にソウは変態ね」



「あの……出血の勢いがすごいことになっていますが?」

「き、ぎ、に、じないで、ぐだばい……」



 やっべなんかバラバラ殺人の現場並みに血の池が出来ちゃったぜ。


 これ余裕で致死量だよね。



「ち、なみに……そのご主人様の、属性は……?」

「属性、ですか?」



 ソウが首を傾げる。



「質問の意図がよく分かりませんね」

「ほら……サドとかマゾとか」

「何故そのようなことを……」

「大切なことなんですっ!」

「分かりましたからそんな鼻血を噴出させながら詰め寄らないでください」

「でしたら早く!」

「……まあ、どちらもいける人ですが」



 どちらも!?



「ソウ、もっと……もっといじめてぇ……っ!」

「あなたという人は、本当にどうしようもない主ですね」

「あぁっ! そうなの! 私、わたしぃ……ソウがいないとぉ、駄目なのぉ!」



 いい、いいぞ責めるソウも最高だ!



「ちちち、血、ちな、血なみ、ちなみに……どういう気性の方なのでしょう?」

「……優雅、悠然、秀麗。その辺りの単語で表現すべきでしょうか」

「優雅悠然秀麗……」



 つまりお嬢様系か!?



「あら、どうしたのかしら? ねえ、ソウ。そんな赤い顔をして。今のあなたがどういう状態なのか、詳しく説明してくださらないかしら?」

「は、い……お嬢様。わた、しの……その、あそこが……熱く……」

「あそこではわかりませんわ。ちゃんと仰いなさい」



 ぼぶぁっ!



「……本当にどうしてそんなに鼻血を出しているのですか? 非常に見ていて愉快です」

「ぶぼ、ぶぁ、はっ……!」



 噴水!


 これが鼻血の噴水じゃぁああああ!



「というか私の主とあなたは何度か顔を合わせているはずですが?」

「え?」

「私の主は、エリス様です」

「――……」



 ふむ。


 ふむふむ。


 ……。



「ソウ。大好きよ……」

「主……ああ、我が主……」

「エリス、と。あなたにはそう呼んでほしいわ」

「そんな、畏れ多い……」

「そんな悲しいことを言わないで。今だけでもいいの。主と従者なんて、そんなくくりを忘れて頂戴?」

「ですが……」

「……分かったわ」

「主……」

「なら、全部忘れるくらい、ソウのこと、めちゃくちゃにしちゃうから」



 だがそれがいいっ!


 エリス×ソウ。いいぞ、そのカップリングはいいぞぉおおおおお!


 私の中で妄想が大爆発!


 むしろ私の鼻が大☆爆☆発!


 きゃふっ!



「……あの?」



 うっは滾ってきたぁああああああああ!



「聞いていますか?」



 この気持ち、正しく愛だっ!



「緋色」



 抱きしめたいなっ!



「聞きなさい」

「あ、はい」



 聞きますんで首筋に剣をあてたりしないでください。マジで。


 普通にこれ《顕現》くさいんですが。


 私の首とかあれですよ、すっぱりいきますよ?


 私の首がぽぽぽぽーん!


 ひゃっはー!



「とりあえずその鼻血を止めてください。そして、そろそろお昼時ですので、どこかで昼食にしましょう」

「了解っす」



 鼻血ストップ!



「じゃあ、ソウ。お昼なに食べよっか?」

「緋色にお任せします」

「おおう。私のセンスが試される場面なんですね」



 任せろい!


 っとと、その前にちょいと一つ確認を。



「ソウとエリスさんってデキてるの?」

「……私は主の剣です。主に仕え、主の命に従い、主の敵を切る。それだけのものです。そういった邪推は少しばかり癇に障ります」

「あ、ごめん」



 ソウがすたすたと歩き出してしまう。


 慌てて私もその後を追った。


 ……つまり、あれか。


 ソウとエリスさんはパートナーであって、恋仲ではないと。


 ふむ。


 ふむふむ。


 ……いや、だからどうしたって話なんだけど。


 でもほら!


 やっぱり私だって夢を抱きたいお年頃なんだよ!


 いいじゃんかそういう妄想くらいしたって!


 夜のオカズにしたってさぁあああああああ!


 あ、それはダメ?


 サーセン。



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