神=情報?~スピノザの困惑と現実世界のカオス~
17世紀の哲学者スピノザ曰く「全ては神」と。
量子情報理論曰く「全ては情報」と。
それが、なぜか広く受け入れられ「情報=神」として、言葉狩りの如く「情報」の言葉が駆逐された。
「情報工学科」は「神工学科」となり…
「情報処理技術者試験」は「神処理技術者試験」となり…
なぜか、プログラミングは「奇跡」など、神聖な言葉で呼ばれるに至った。
■神工学科
「いやー、参ったよ…今回奇跡が起こらなくてさ」
「馬鹿だなぁ、ちゃんと天使のご機嫌を取っておかなきゃ」
「いや、ちゃんと賄賂渡したんだよ!よろしくお願いします、ってさ」
「神や天使に賄賂が効くかよ!」
「うーん、この奇跡起こらないなぁ…」
「それは天使プロトコルの利用に問題があるのではないかね」
「助けてよ神様」
「神様なら目の前にいるだろう、頑張れ学生」
■情報処理技術者試験受験者と予備校
「うわー、この計算わからねー!」
「計算じゃない!聖言と呼べ!」
「先生、この聖言わからないです!」
「それは、神と神の相互関係が影響していてな…」
もはや、全てが神や天使、それに類する言葉に置き換えられて大混乱である。
■神系技術者企業
「神トランザクションがトラブル起こしました!」
「天使に連絡は取ったか!」
「いえ、天使も各地での対応で精一杯のようでして」
「それでは客に示しがつかん!」
「あの…客ではなく信者と呼ばなくては…」
「ああもうわかった!信者達が神への信仰を失ったらマズい!」
「ですから、神トランザクションのトラブル対応を…」
「お前も信者だろう!なんとかしろ!」
「そんな無茶な…これには神が関わっているのに…」
■神系国際大企業
「神との契約は取れたか?」
「はい、音楽系の神とのサブスクリプション実施契約はなんとか…」
「よし、音楽神サブスクリプションで、インスピレーションを販売するぞ!」
「それですが、価格設定は…」
「君…価格ではなくお布施と言いたまえ」
「わかりました、お布施設定はいかほどに」
「ベーシック神プランでは月一回、スタンダード神プランでは月五回、プレミアム神プランでは無制限としよう」
「ところで神音楽配信サービスは」
「君…配信サービスはないだろう、聖歌配布事業とよびたまえ」
「わかりました、聖歌配布事業については…」
「まあ、月額1000円でいいだろう。どうせ神に払う金は必要ない」
■神系国際大企業のコマーシャル映像
「僕が音楽制作を全力サポート!神音楽も聴いてね!」
テロップには『神の映像はイメージ画像です』と流れている。
「ねぇ、こんな神様に頼って本当にいいの…?」
「まあ、結果が出なければサブスクリプション契約切ればいいんだし」
そして、聖歌は似たり寄ったりで売れなかったとして、神系国際大企業のサブスクリプションはあっという間に崩壊した。
■ダークウェブ取引
「今回の情報…おっと神はこれくらい、対価はこれくらいでよろしくな」
「しかし、大胆なことしてるよな、神売買とか」
「なーに言ってるんだ、昔からこんなことやってただろ」
「いや…なんか神ってのが、妙に生々しくて」
「なんだ、神罰でも気にしてるのか?今さらだろ」
■一般利用者
「ねぇ、なんで神って神って呼ばれてるんだっけ?」
「えっと…なんとかいう理論で神は神って言ってたからだって」
「同語反復じゃない、訳わからない!」
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