『臆病な速記者』
臆病な速記者がいました。余りに臆病過ぎて、朗読が始まると、プレスマンを落としてしまうほどでした。それどころか、隣の速記者がプレスマンをノックして芯を出す音を聞いただけで、心拍数が上がるほどでした。
そんなふうでしたが、ある夜、速記の神様が夢枕に立ち、プレスマンは、速記者を取って食ったりしないことをとうとうと説いてくれて、ようやく人並みの速記者になりました。
教訓:単に臆病というと、悪い印象になるが、慎重さが同居するなら、臆病でも悪くない。そもそも臆病とは慎重と同義であると思うことができれば、よい印象になる。言葉なんてそんなもの。