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【書籍発売中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第六章

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46 公爵令息の能力(ルカside)

読んでいただきありがとうございます!

視点変更しております。

「はじめまして、パルサ・レンジロです。本日はご招待いただき、ありがとうございます」


 金髪のさらさらの髪を揺らし、パルサはルカに向かって頭を下げた。

 ルカから見たパルサは驚くほどの美少年で、アルパカの時の見た目とはまったく違う印象だった。 


「こちらこそ、遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございます」

「先日は申し訳ございませんでした。リゼさんとどうしてもお話がしたくて……」

「何の約束もなしに押しかけられても困ります。それに、アルパカである必要はありましたかね」

「そのほうが女性に喜ばれるんです。撫で撫でされると、すごく気持ちが良いんですよ。ルカ様にもぜひ味わっていただきたいですが、正体が僕だとわかっているだけに触りたくありませんよね」

「そういうことはないですが、気持ちはなんとなくわかります」


(豹にはなれるし、撫でられると気持ちが良いのはわかるからな)


 ルカは立ち上がったままのパルサにソファーに座るように促してから、彼が座った向かい側のソファーに座った。

 メイドがお茶を淹れて部屋から出ていくのを確認し、早速本題に入る。


「リゼに話したいことがあるようですが、どのようなご用件なのでしょうか?」

「あ、別にリゼさんに邪な気持ちを持っているとかじゃないんです。そりゃあまあ、アルパカの時に撫でてもらえると嬉しいですけど。それはリゼさんに限ってではありません。何度も言いますが、ノルテッド卿が僕を撫でたいというのなら、存分に撫でていただいてもかまいませんよ」


 キラキラと青色の目を光らせ身を乗り出してきたパルサだったが、すぐに表情を青くさせて、ソファーの背もたれに背中を預けて怯えた目でルカを見た。


「……どうかされましたか?」

「い、いや、その、信じてもらえないかもしれないんですが、僕たちは守護霊のようなものが見えるんです」

「守護霊?」


 ルカが聞き返すと、パルサは真剣な表情で頷く。


「妹についてはまだぼんやりといった感じですし、僕も動物しか見えないので、守護霊のようなものとしか言えません。皆が皆、守護霊が動物というわけではないようで見えない人もいます。ただ、背後にいる動物が守護動物じゃなくても、その人にとって何らかの関わりがある動物だと確信しています」

「で、私だと何が見えたんですか?」

「黒豹です」


(当たってるから嫌になるな)


 きっぱりと答えたパルサに、ルカは自分の感情が悟られないように表情を動かさずに尋ねる。


「あまり信じられない話ですけど……。では、他の人間のものも見えるんですね?」

「はい。見ようと思えば」

「どうして私のものを見ようと思ったんですか」

「すみません。後ろにいる動物を見て、その人と仲良くなれそうか確認してしまう癖がありまして。アルパカは肉食獣は苦手ですから、つい驚いてしまいました」

「まあ、相手がどんな人物か知ることができて良いかもしれませんね」


(ということは、リゼのも見えるってことなのか? とりあえず、ミカナ嬢のことでも聞いておくか)


 ルカは興味本位で思ったことを口にしてみる。


「その話を信用するしていないは別として聞きたいんですが、ミカナ嬢に守護動物がいるか見たことがありますか?」

「ありますよ。でも、あまり見ない動物なので、ルカ様に名前を伝えてもわかるかどうか……」

「どんな動物なんです?」

「妹はキモ可愛いと言っていましたね」

「キモ可愛い?」

「ええ。珍しい生き物なんで異国の図鑑を取り寄せて調べてみんですけど、ハダカデバネズミという名前らしいです」

「ハダカ、デバネズミ? 聞いたことがありませんね」

「うーん、なんと例えたら良いんでしょうか。毛がない出っ歯なネズミ?」


 パルサはソファーの背もたれから身を離し、少しだけ前のめりになって考え込む。

 そんな彼を見たルカは、そんな話をしている場合ではないことを思い出し、話題を戻す。


「自分から聞いておいてなんなのですが、話を元に戻しましょうか」

「あ、リゼさんのもわかりますよ。前回、お店の前で会った時は、リゼさんを見つけた嬉しさと、彼女の後ろに見えた動物が可愛くて、つい笑顔になってしまいました。気持ち悪かったならすみません」

「いや、俺は別に……。それに、リゼは気持ち悪がってはなかったですよ。どちらかというと、何の話がしたいのか気になっているみたいなので」

「そのことなんですが……」


 パルサは表情を暗くしてから続ける。


「僕の両親のせいで、リゼさんの御両親が犠牲になってしまったことを謝りたかったんです。妹も、これ以上、リゼさんを巻き込みたくないから、わざと意地悪なことを言ってしまったみたいですね」

「意地悪なことを言えば、これ以上、リゼが自分達のせいで不幸になることはないと?」

「はい」

「御両親がやったことであって、あなた方は悪くないでしょう。その頃、あなた方は子供じゃないですか」

「……そうですよね。自己満足ですよね」


 肩を落としたパルサを見て、アルパカの姿を見ているせいか、どうしても彼が憎めなくなったルカは大きなため息を吐いてから口を開く。


「リゼに話をしてみます。きっと、リゼは謝罪を受け入れるでしょう。ただ、アルパカの姿でお願いできますか」

「それはかまわないですけど、アルパカの姿で言葉を話したら気持ち悪くないですか」

「あー」


(俺達はいつも動物の姿で喋ってるから大丈夫だろ)


 ルカはそう考えてから頷く。


「大丈夫だと思います」

「では、よろしくお願い致します」


 不思議そうにしていたパルサだったが、人間の姿でリゼと会ってほしくないというルカの考えに気が付いたパルサは微笑んで頭を下げた。

 

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