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【書籍発売中・コミカライズ連載中】こんなはずじゃなかった? それは残念でしたね〜私は自由きままに暮らしたい〜  作者: 風見ゆうみ
第六章

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43 隣国の公爵令息の考え

※途中で視点変更があります。



 パルサ様の目的や、伯父様がなぜあの時現れたのか意味がわからないまま、待たせていた馬車に乗り込むと、向かいに座るルカ様が不機嫌そうな声を出す。


「あのエロアルパカ、リゼにしか興味がなさそうだったな」

「エロアルパカ……?」


 可愛らしい顔をしているから、そっちのほうにしか興味はなかったけれど、エッチなアルパカなのかしら?


 不思議に思って首を傾げると、ルカ様は言う。


「普通は俺にも興味を示すはずだろ。あいつらにとっての敵は俺の家でもあるんだぞ。それなのに、リゼしか見てないみたいだった」

「そう言われてみればそうですね……。でも、女性が好きみたいですから、私のほうに興味を示してしまったんでしょうね。……そうなると、ルル様には近付けないようにしないといけませんが」

「まあ、そうだな。でも、リゼも近付かないようにしろよ」

「私からは近付くつもりはありませんが、どうやら、伯父達と一緒に行動しているようですし、向こうから関わってくるかもしれません」


 答えると、ルカ様は難しい顔をする。


「どうして、あのアルパカはリゼに近付きたがってんのかな」

「……わかりません。確信はありませんが、女性好きだから、という理由だけではないような気もするんです」


 パルサ様は私に何か用事、というか、話したいことがあるのかもしれない。


 そうじゃないと、わざわざ、買い物をしているところまではこないわよね?

 

 それに伯父様も一体、何をしにこられたのかしら?





◇◆◇




 突然、現れた豹に驚いて馬車に逃げ帰ったパルサは、馬車の中で人間の姿に戻り、置いてあった服に着替えると、大きく安堵の息を吐いた。


(どうして、あんなところに巨大な犬(・・・・)がいたんだろうな? せっかくリゼちゃんと話せそうだったのに……)


 金色のサラサラの髪に陶器のような白い肌。童顔の青色の大きな瞳。

 温和そうな顔立ちのパルサはそんなことを思ったあと、今度は大きなため息を吐いた。


 両親が良くないことをしていると知ったパルサは、フローゼル伯爵に近付き、自分の父が何をしてきたのか調べようとした。


 フローゼル伯爵は賢くないのでパルサが聞かなくても、自分からペラペラと今までの悪事についての話をしてくれた。

 フローゼル伯爵の息子であるデフェルも同じように賢くなかった上に、彼は女性蔑視の傾向が強く、女性に酷い仕打ちをしていることがわかった。


 パルサも女性は好きではあるが、男性に可愛いと言われるより、女性に可愛いと言われたほうが嬉しいし、自分がアルパカになった姿を見て、メイド達が幸せそうな顔をするのを見るのが好きだった。


(僕はリゼさんの味方になりたいんだけど、中々、近付けそうにないなあ。父上がまた悪事に手を染めたら、公爵家の名が汚れるし迷惑なんだよな。また、馬鹿をする前に止めたい。協力してほしいけど、ルカ様は明らかに僕を敵視しているし……)


 リゼに近付くには本来の男性の姿よりも、アルパカのほうが近付きやすいと思ったパルサだったが、ルカにとっては、どちらも気に入らないように見えた。


 素直にルカに近付けばいいだけなのだが、まずは、パルサはリゼに謝りたかった。


(二人は婚約者同士なだけで、恋人同士ではないとミカナから聞いているけど、ルカ様はそんな感じではなさそうだったな。やっぱり、ルカ様のほうから行くか。二人の邪魔をしたいわけじゃないし。アルパカが好きだといいなあ)


 自分を認識した時のルカの表情を思い出して、パルサがうーんと唸った時だった。


 ゆっくり走っていた馬車が停まり、御者が声を掛けてきた。


「フローゼル伯爵が中に入れてほしいと仰っています」

「嫌だよ。彼、僕の悪口を言っていたよね。僕がミカナに唾を吐きかけるのは、彼女が人として良くない発言をした時だけなんだ。まずは、親なんだから、そこを理解させるようにしてほしいよね」

「承知しました」


 御者がフローゼル伯爵と話をしている声が、パルサの耳にも届いてくる。


「入れてくれ! 俺は馬車で来ていないんだ! あの大きな犬はきっと俺を狙っている! デフェルも何度も大きな犬に襲われてるんだ! 頼む、中に入れてくれ! いや、中に入れてください!」


 フローゼル伯爵の言葉を聞いて、パルサは考える。


「大きな犬がやたらと彼らの前に現れているみたいだけど、ノルテッド辺境伯家と何か関わりがあるんだろうか……」


 疑問を口にした時、フローゼル伯爵の叫び声が聞こえた。


「俺もレンジロ家で保護してくれ! ミカナばかりずるい! このままでは、俺は殺されてしまう!」

「……本当におかしな家族だな。まあ、だからこそ、馬鹿な真似をするのか」


 納得してから、パルサは御者に彼のことは気にせずに、馬車を走らせるように指示をした。

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