第3話 ケシの花
4日目
突然の連絡に一気に目が覚める。京香さんがいなくなった?昨日から様子がおかしいとは思っていたがそれにしても急にいなくなるような人ではなかった。何かあったのだろうか… 、不安は募るばかり3日という短い間だったが1番仲が良くなった平田は焦りと不安でいち早く女の子達に話を聞きに行こうとする。
平田「なんで!あの人はいなくなるような人じゃない!頼む…本当に何か事件に巻き込まれたとかじゃないでくれ…」
平田の言う通りでまだ仲良くなってすぐなのに…、自分は嫌な雰囲気に飲まれていき、偶然に予期せぬ事態へと巻き込まれていく感じがした。
すぐに宿を出発し小栗さん達と合流する。小栗さんから詳しい話を聞きみんなが寝るまでは一緒にいて京香さんが1番早くに寝たらしい、朝起きたら一つだけ布団に人影がなくトイレかと思い話しかけるが返事は無い。ようすがおかしいと思いドアを開けると誰もいなかった。その後電話や連絡をするも電話は繋がらず、既読もつかない。さすがにおかしいと思い自分達を呼び一緒に探してもらうということだった。
北山「とりあえずいなくなるまでの事情はわかった、それで京香さんの荷物は部屋に残ってなかったの?そこにスマホがあって連絡出来なかったとか」
奏多「みんなで探したけどスマホと手鏡、あと靴だけが見つからなかった、他の物は全部置かれていってた。スマホを持ってるなら連絡は着くはず」
するとゆかさんの携帯に電話がかかってくる。
???「もしもし」
ゆか「もしもし!すいませんあなた何方ですか?その携帯は私たちの友達の携帯なんですが、なんで貴方が持っているのですか?」
電話の主は女の声ではなく男の声だった。
???「すいません、落ち着いてください警察の者です。今状況を説明するのでまず聞いてください」
ゆか「…警察、きっ京香に何かあったんですか!!」
警察「とりあえず〇〇湖のビーチに集まってくださいお聞きしたいことがあります。」
警察からの連絡に全員肝を冷やす。京香さんに何かあったのは間違いない、ここまで大きな事態に発展したのだ。車に乗り込むが車内は静まり返る。
警察「あっ!こちらです!私の名前は加藤と申します。先程は友人の携帯を使ってしまい申し訳ございません。誰か知人や親族に連絡したかったのですが分からず、こちらの携帯で電話かけさせて頂きました。」
平田「京香さんはどうしたんですか!まさか事件に巻き込まれたりしたのですか!?」
加藤「…すいませんお辛いと思いますが、今日この湖の中央付近で京香さんらしき遺体が上がりました。」
はぁ?昨日まで一緒にいたのにどうしてこんなことになった。
加藤の話では遺体は見ることは今はできないと言われたが自分達の説得により渋々見つけた時の写真と遺留品、遺体を見せてもらうことになった。
加藤「お悔やみ申し上げます。…現在事故当初の状態や争いの後などを検証しております。おつらいと思いますがあなた達はこの方を知っているということで事情聴取をさせて頂きます。」
事情聴取は近くにいた女の子達から先に行われた。その間写真や遺留品など改めて見直した。写真の遺体はどこにも損傷がなくどことなく美しさを感じる。どこかで見たことがある。…前に美術館で…、オフィーリアの絵画。その絵画とほとんど一緒な気がする!
北山「おい、これってさ俺らが前に美術館で見たオフィーリアの絵画に似てないか?」
佐藤「絵画…、あぁ見た事ありますねでもなんでそんなことを今…」
???「そうなんだよ、とても自殺とは思えない死に方なんだよ、あと自殺でボートもなしで湖の中央付近に泳いでいくにしてもそんなことするならわざわざそっちに行かなくてもビーチ周辺でできる」
山羊「ごめんなさいだけど、あなたは誰なんですか?」
???「あぁごめんごめん言うのが遅かったね、私は大神と言います。よろしくね。それで君たちの考えは私達警察と同じ考えなんだよ」
大神「この仏さんは外傷は無いが自殺と考えるとどうもおかしいんだよね場所といい時間と言いい、そして申し訳無いが君たちもその容疑者として見ています。怒らないでほしいけど、疑うのが仕事なんだ…辛くて申し訳無いがごめんよ」
佐藤「気にしないでください、そう思われても仕方がないです。でも私達も関係者です、何かあった時には教えてもらいます。」
佐藤がいつもないほど強気だ、それもそうだ楽しい旅行中なのにこんな悲惨な事件が起きてしまったのだから、話をしているうちに女の子達の取り調べが終わった。男手の一番最初は仲の良かった平田だった。最初なだけ1番長かった。
あそこで調べてる時はそんなに時間を感じなかったがここにくると永遠のように長く感じる。
次に佐藤が行き次に自分の番だった。
加藤「また会いましたね、あなたにもいくつか聞きたいことがあります。まずあなたは先程の2名の方と同様の宿に泊まり、寝る深夜01:30ぐらいまで一緒にいて朝起きたら小栗さんから連絡が来たという感じで合っていますか?」
北山「はいあっています。あと自分はその後30分ぐらい携帯をいじって寝たのでみんなの中で1番遅くに寝たのですがその間誰1人部屋から出ませんでした。」
加藤「なるほど、ではここに来てから怪しい人物や何か変わったことなどありましたか?」
北山「…怪しい人物は信じて貰えないと思いますが、もう1人の自分にあったんです。それと自分に話しかけてきた髪のない老人、あと昨日の肝試しの時に村で伝統工芸品を教えてくれたおじいさんが自分のあった中で怪しいと思いました」
北山「変わったことといえば昨日から京香さんの元気が全然なかったという感じですかね」
加藤「わかりました、そのもう1人の自分とはどういうことなんですかね?」
北山「すいません、自分でも分からないんです、」
加藤「では他にも聞かせて頂きます。………」
後半の方は何を答えたか覚えていない、あまりのショックに自分自身耐えることが出来なかったのだと思う。
最後の質問を終え山羊と交代する。
しばらくして今日は警察の拘束をとかれる
加藤「大神さん、この事件この子達は関わってないような気がするんですよね」
大神「だけど北山くんと平田くんが言ってた伝統工芸品のおじさんは気になるかね、あと〜北山くんのもう1人の自分…、明日もう一度そのおじさんと北山くんには話を聞こう。今日は北山くんグロッキーになってたからね」
加藤「おじさんじゃなくておじいさんでしたけどね、ただもう1人の自分は気になりますね。ドッペルゲンガーだとしても京香さんには関係の無いことだし、あと北山くんに話しかけた老人はどこに行ったんでしょうかね」
大神「こまけーことはいいの、俺もおじいちゃんだしさ、っと無駄話はここまでにして、俺は多分その老人とドッペルゲンガーがこの事件の鍵を握ってると思う。もし京香ちゃんもそのドッペルゲンガーにあったとしたら?」
加藤「現実味が無さすぎます。そもそも幽霊とかそういうのに殺されたとか話になりませんよ」
大神「まぁ頭の片隅にでも入れときゃいいよ、それが手がかりで解ける事件もある。俺らは疑うのが仕事だからな、とりあえずもう一度現場を調べよう」
宿に戻った自分達は女の子と一緒に話をまとめることにした。まず夜の01:00までの間部屋から誰も出なかったということ、小栗さんが起きたのは05:30でその間で起きた事件なんだと思われる。
やっぱり自分達の行動をまとめたところで何一つ解決しない。沈黙の中誰かの携帯がなる。
山羊「もしもし!あっ加藤さんですか!……っえ、はい?っえもう一度いってもらえますか?……はぁ!?何言ってるんですか!…わかりましたもう一度そちらへ向かいます。」
北山「山羊どうしたんだよ!警察にそんな強く当たるな、俺らは容疑者と疑われて仕方がないんだよ」
山羊「違う…そんな話じゃない、京香さんの死亡推定時刻がわかったんだよ、午後11:23だってさ…、とりあえずもう一度現場に向かおう」
何を言っているんだ?11:23は俺らとまだ肝試しをしてる時間だ、その間に京香さんは死んでいて、俺らは誰と遊んでたんだよ。
俺らは黒くそして気持ち悪い湖の底へと引っ張られているようなそんな気がする。