第2話 ハーメルンの笛の音
3日目
朝になり窓から日が差し込んでくる。昨日の夜にお酒を飲みすぎて北山は少し体調が優れないが約束もあるのでそんな甘ったれたことなんて言ってられない。
それから平田は昨日京香さんに説教みたいなのをずっとされてたから、元気ないだろうなぁ…とか思ったりしていたが…
平田「昨日の夜、夢でさぁ!ナース服の髪の長い女の人がさ!俺の上股がってキスしてくれる夢みたんだよ!その後の夢の続きとか覚えてないけどその夢だけですごい元気出てきたわ!今日こそはいいところ見せるぞ!」
心配した自分が馬鹿だった。
山羊「そうか!良かったな!俺は来た時から美味しいご飯と女の子達と遊べて毎日楽しいぞ!早く朝飯食べて約束した場所に向かおう」
北山「そうそう、俺も早く小栗さんに会いたいし朝食食べて元気だしていくか!」
その後朝食はバイキング形式になっており自分の食べたいものを取って食べていたら約束の時間になってしまい急いで約束した場所に向かった
ゆか「もう!遅いよ!今日はいろんなところまわりたいし早く行こうよ」
山羊「ごめんごめん!ご飯おかわりしてたら時間ちょっと過ぎちゃってたわ!」
ゆか「山羊くんはおかわり禁止ね!北山君たちも山羊くんが食べすぎないように見張っといてね!」
北山 平田「「了解致しました!ゆかさんのご命令ならなんなりと!」」
ということで山羊のおかわり禁止条例もでて昨日のことで悩んでいた平田もだんだんと調子を取り戻す。
しかし、京香さんは昨日と比べあまり元気がない
佐藤「あれ?京香さん今日元気ないね?なんかあった?」
京香「いや、なんでもない!昨日の食べたものと今日の朝食で胃の調子がわるいだけ…」
平田「そうだったんだ、じゃあ今日は食べ物とかよりも景色見たりお土産とか見に行ったりしない?」
小栗「えぇ〜、色んな食べ物も食べたいよ〜」
北山「もう、小栗さんは食べるの大好きだね笑笑」
小栗「えへへっ」
今日は近くの村で伝統工芸品を自分たちの手で作ることができるみたいなので最初はその村へと向かう。と言っても車で1時間ぐらいかかる道ななので平田と奏多さんが運転して向かう。
その間また山羊が平田の運転を妨害しながら村へと向かう。
朝ということもあり車通りもなく観光客も自分たち以外いないような状態だった。
おばあちゃん「おや、くるのがはやいねぇ。まだ今日の仕事はまだやっとらんのよ。わしの家さとりあえあがってけ、ぼだっこもあるからそれでもくが?」
所々訛りがあって聞き取りずらかったがおばあちゃんの家で鮭が食べれるみたいなのでお邪魔することにした。
おばあちゃん「おめがだ、どこからきたんだ?こっちさあそびにけだらんだか?」
北山「一応隣の県の○○から来てます。6泊7日であそこの湖の近くに泊まってるんですよ!」
平田(よくお前話についていけるなぁ、俺ほとんどわかんないよ)
北山(なんとなくだけど言ってることはわかるよ)
おばあちゃんから色々と食べるものを貰い自分達8人は旅行の話をする
すると
おばあちゃん「あそこは夜にちかよっちゃなんね、あそこさ行ったあんこさんは人が変わっちまったようになっちまった、したっげ6日後の晩に死んでしまっただ、つらましね話っこだ、夜にちかよっちゃなんねよ」
佐藤「そんなことがあったんですね…その人はとても残念ですけど、そんな話を聞くと行きたくなくなりますね」
奏多「…怖い、今日の夜に肝試しするとか言ったけどやめにしませんか?」
平田「俺も怖い話は苦手だよ〜今日行くの怖くなっちゃた」
おばあちゃん「へばな!よいでね話させちまって、でもあそこはあぶねがらあんまりしかずくんじゃねよ〜」
そんなおばあちゃんの警告もあったが昨日の謎の老人といいこの話しといい、よりこの湖の謎が深まってくる。
以前、都市伝説の動画で見たことのあるドッペルゲンガーに会うとなくなってしまうというものを見たことがある。
北山(そういえば昨日あの老人のせいでもう1人の自分にあったよな………最悪だ!頼むあと残りの命が6日なんて嫌すぎる!!)
その話のせいで変な都市伝説を思い出してしまい冷や汗が出てきてしまう。そもそもあの距離で感じ取れるとするとあの老人は霊能力があり自分のドッペルゲンガーを感じ取ったのかもしれない、そうなると老人が涙をうかべた理由は…自分の死期が近いってことで泣いていたのか?
考えていくうちにだんだんとピースがハマっていく感じがし、本当に怖くなり始めた。
皆はなしを間に受けてしまい京香さんに至っては顔を真っ青にしてずっと下を向いている。多分京香さんにも何か良くないことが起きたのだろう。
平田「おばあちゃんありがとうございました!また今度遊びに行きますね!その時はまたよろしくお願いします」
おばあちゃん「はいよ!いつでも遊びにおいで!伝統工芸品はそこの道を行って右に曲がったところにあるよ!」
言われた通りの道を進むと初老のおじいさんがいて優しく作り方など教えてもらい、美しい伝統工芸の技術や作成体験も経て自分だけのお気に入りのものができた。
その帰り道おばあちゃんの話を思い出したかかのように話を進める
北山「今日の朝さ、あのおばあちゃんが言ってたのドッペルゲンガーだと思うんだよね。しかも俺昨日変な老人に話しちゃってそのドッペルゲンガー見ちゃった…」「俺ってもう6日で死んじゃうのかな?…」
突然のカミングアウトに全員息を飲む、先程のおばあちゃんの話や噂話、どれも偶然にしては起こりすぎて沈黙が続く。
平田 「ただそのみたって言ってた奴が年取ってたからとか、元々病気だったとか色々理由あるだろ笑笑」「心配しすぎだって!あとお前の見た人だって噂話での思い込みとかあるだろ!急に怖いこと言い出すなよ…」
平田が沈黙を破り北山を根拠の無い理由で慰める。
その時 バンッ!!! 後ろから強くあつい痛みが走る。山羊が背中を強く叩いたのだ。
山羊「大丈夫だ!お前はそうすぐには死にはしない!俺がお前ら全員守ってやる!!そっくりさん!どこからでもかかってこい!!!」
佐藤「そのそっくりさんよりも山羊くんの方が危ないですけどね…」
平田「まさかお前…6日後に北山を…」
山羊「そんなことするわけないだろ!まぁ北山が俺の力にたえれればだけどな…」
山羊が視線を向ける方には強く叩かれ飛ばされ地面に寝ている北山がいた。こいつまじで俺を殺す気か?これじゃあ6日も持たないぞ…
そんな俺らを見て女の子達も緊張が解けていく、その後村から湖に戻り湖の周りをドライブする。
平田「そういえば北山ってここら辺でそっくりさん見たんだよな?こんな茂みの中を歩いてくなんて普通ならむりだぞ?しかも結構な急斜面だし、ほんとにここの中に消えてったのか?」
北山「反対側はこんなかんじになってたのか…、でもほんとにこっちに向かって歩いていってたんだよな」
奏多「もしかしたら蜃気楼とかそういった現象で鏡みたいになって見間違えたとか?」
確かに蜃気楼なら物が浮かんで見えたり反射して見えたりするがその影が動くなんてありえない、でもこの斜面を見ると見間違えなのだろうかと自分が見たものはなんだったのか、疑問は深まるばかりになった。
夜になり村で貰ったお肉や山菜、野菜などを使いBBQをする。朝のこともあったが皆記憶からほとんど消えていた。雰囲気も良くなってきたところで当初から計画していた肝試しをすることになった。
最初は京香さんや佐藤が朝のこともありやめようと言っていたがみんなで行くことにし渋々承諾してもらった。
山羊「さすがに夜になると雰囲気変わるなぁ〜、湖のもう1人の自分はもう北山が検証してもらったから残るは湖の女の人だな!」
小栗「やっぱり今日の朝のこともあって怖くなってきちゃった…、何も起きなければいいんだけどなぁ」
湖は広くビーチのところから攻めていき、反対側の方は車で移動して探すことにした。
ビーチはいつも多くの人でにぎわっているが、夜のビーチは草木が揺れる音と砂の踏みしめる音、街灯はなく月明かりと懐中電灯の光のみしかない暗い静寂が自分達8人を飲み込む。30分ぐらい恐怖に脅えながら往復したりするが何も見つからずに一同はホッとする。
北山「何も無くて良かったな、もう女の人を見たらアウトだから何も無く終わって欲しいよ…」
京香「それだったらやっぱり来ない方が良かったんじゃないの?もう早く帰りたい…」
ビーチは特に何も無かったので車に乗りこみ反対側の方へ移動する。最初は平田、北山、ゆかさん、小栗さんペアで向かうことになった。
山羊のいるところの反対側に近ずいた時に平田が、
平田「あっ…、」
平田が不安な声を上げる。車内は恐怖で騒ぎ始める
ゆか「何かあったんですか?まさか女の人の姿を見たとか?」
平田「…いやなんでもないよ!動物の影が見えてさ、それでびっくりしちゃった」
動物の影だったということで一同は一安心する。その後は何事もなく元の場所に戻り残りのメンバーで対岸の方へ向かう。
すると平田が自分に話しかけてくる。
平田「…実はさ、さっきは動物の影とか言ったけど違うんだ、」
北山「何を見たんだよ」
平田「さっきは怖いのとみんなを怖がらせないように嘘ついたけど俺が見たのはあの村にいた伝統工芸のおじいさんだったんだよ、」
北山「はぁ?でもどうしてこんな夜中にいるんだよ?」
平田「わかんないよ、でもずっと下を向いて俺たちの来た道に向かって行ってたんだよ。確かにあの村からここまでは遠いけど来れない距離じゃない、でもあそこにいるのは怖すぎるって」
北山「とりあえずこの話は自分ら2人だけの秘密にしておこう。小栗さんとゆかさんをこれ以上怖がらせたくないし」
小栗「どうしたの〜!コソコソ話するなら私達も混ぜてよ〜!ずっと2人だけは怖いよ〜!」
北山「ゆかさんもそう言ってるし早く戻ろう」
ゆかさんと小栗さんの元に行き、山羊たちの帰りを待つ。
10分後、山羊達は戻り何も無かったという報告を受け今日は解散するという流れになった、無事に女の子4人を宿まで送り届け自分達の宿へと帰る。
やはりこの湖と村の噂話はどこかしら否定出来ないところがあるような気がする。自分の見間違えもあるのかもしれないがここまで偶然が続いてくると何かおかしいと思えてくる。
宿に着き温泉に浸かったらみんな死んだように寝た。村でのおばあちゃんの話や最後の肝試し、それから移動やBBQ…色々なことをした一日だったため自分も寝ることにした。
次の日の朝、小栗さんから連絡が来る。
京香さんが朝起きたらいなくなってた