おまけ 俺が犬になった日
※これは本編ではありません。犬くんの過去編になります。息抜き程度にお読みください。
針時計が日の代わりを告げる。夜空に月はなく数多の星が煌めいている。情報通りならあの女はもうそろそろ深い眠りに入る時間のはずだ。そもそもここ数ヶ月この場所で働いていてそれが変わらないルーティーンなのはもう分かっている。それに今日は眠る前のティータイムに飲むお茶に睡眠薬を仕込んである。並大抵のやつならば夜明けまで目覚めることはないだろう。ま、この女は俺のせいで夜明けどころか二度と目覚めることはないんだがな。
ふぅ、今回の仕事もさっさと終わってしまいそうだ。
手の中のナイフを見ながら部屋の前にたどり着く。部屋の扉をゆっくり開けるとほんの少し軋んだ音がしたが睡眠薬によって深く寝ているこの女が起きるわけがない。にしても要人のくせに寝所に付きの者をつけないとは不用心なやつだ。
ベッドの真横に立っても女の寝息は規則正しくて起きそうな雰囲気はどこにもない。目の前で殺されるとも知らないこの女。上から渡された資料には数多の戦場で暴れた小娘だと聞いていたが…ここ数日女の近くの仕事を任されるようになったがどこにもそんなそぶりはなかった。ただの小娘。まぁなんでもいい。この女がいなくなればこの国の戦争の方向は確実に変わるのは確かだ。
悪く思うなよ。
心の中で呟いてナイフを振りかざす。
「あら、レディの寝室に勝手に入るなんて些か不躾でなくて?」
な、と声が出る前に目の前で安らかな寝息を立てているはずの女の口が動いたのは意識の端で分かった。ただその瞬間に世界が回って何もわからなくなった。本当に一瞬で俺は目の前のターゲットに馬乗りされ俺の手の中にあったはずのナイフが俺の首元に突き立てられている。
何があった。なぜ俺は寝っ転がって、目の前のターゲットの女に、ナイフを…
目の前の女は子供のように小さく華奢だと言うのに指の一本まで動かせない。呼吸すらままならないほど体の機能全てがとまってしまった。
そんな俺の思考を全て消し去るように女はにやりと口元を歪めた。その真っ赤な目は恍惚に染まっていた。
ああ、俺の暗殺家業はこれで終わりらしい。一ヶ月もこの女のそばで仕事をこなしていたと言うのにまったくこの狂人さに気がつくことができなかった。
これが【戦場の機械人形】と呼ばれた女。
俺は目を瞑った。本当に大した人生じゃなかった。意外にあっさり終わるもんだな。俺に殺された奴らはこんな気分だったのか。走馬灯なんて流れることもなかった。
だがいつまで経っても痛みなんかなく、女が振りかぶったナイフが自分の顔の横に突き刺さったのを感じる。
俺はまだ目を開けることができる。なぜ殺されない?
目の前の女は先ほどとは違う年相応、無邪気に笑っていてそれがある意味不気味だ。
「あなた今日から私の犬になりなさい。」
は?と返事をする前に無慈悲に腹に入れられた拳で俺は暗闇に落ちていった。これが俺こと犬と女ことロゼの最悪で最低な出会い方だった。
すいません。
本編書き終わりませんでした⭐︎
本当もしわけない…
今日はしょうもないおまけ話です。犬くんとロゼちゃんの対面のお話です。この後なんやかんやで犬くんは懐柔されていきます。
犬「懐柔されてねぇよ!!」




