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破壊神と呼ばれた私は!  作者: 米田いすき
第一章 幼き母と子守唄
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7 流石に説明が長すぎたか



「…カミ様は12人…」


凄い内容を聞きたそうにチラチラをこちらを見てくる。

こんな話聞いてて楽しいのかよ。

かなり長いこと話をしていて焚き火はすでに火が縮んでいる。


「カミ様の話し…長い?」


「死ぬほど長い。」


女がほんの少しガックリとした。


「聞きたい、けど、今日は遅いから寝ヨ。」


俺はずっと寝てたけどこいつは寝てねぇしな。

木集めて焚き火して魔獣何匹も倒して、そんなこと一日やってたら流石に疲れるだろうし眠くなるだろ。

少ししょげた顔しながら焚き火を突いて火を消している。

あまりにガッカリしてるように見えたので明日話してやるから、って言ったらぱぁあっと顔を明るくされた。

そんなに嬉しいか?こいつやっぱ変だわ。

まあこの世界で生きていきたいなら常識くらい教えてやるか。

教えていくうちに帰りたいとかいうかも知れないが俺は知らない。

何も知らない奴が簡単にこの世界で生きていきたいとか言うなって感じだな。

いっそ何も知らない今の方が幸せかもしれないがな。


独り…か…

この女の言う独りが何かは知らんがアホそうに見えてそれなりに何かあったんだろ。

何かを信じる方がバカだ。

信じなければ辛いことなんかねぇのにな。


火を消し終わった女が立ち上がる。


「じゃあ私、あっちで寝る、から。」


それだけいうとさっさと部屋を出て行く。

意外だった。絶対に一緒に寝ようとすると思っていた。それをどう断ろうと思っていたのに。無駄な手間が省けて楽だがやっぱあの女の考えは読めない。


と、思ったらすぐに戻って来ていきなり上の服を脱がれた。

相手がガキとはいえいきなり服脱ぐなよ。

中身は子供じゃないっつってんだろ。

まあ俺からすればこんな女に対して何か思うかって言われたら何も感じないけど。そもそもこいつ絶壁だし。いや、絶壁ってほどでもないか。ないわけじゃないな。


「地面、硬いから、ひいて寝て。」


不埒なことを考えていると目の前にぐいっと白い上着を差し出された。

いやいやいやいや、なんでだよ。お前が着て寝ろよ。肌着一枚で洞窟で寝られるわけねぇだろ。洞窟の中は夜でも冷える。寒いに決まってんだろ。

いらないと突っぱねてもひいて寝ろとうるさい。だからー、こんな硬い地面に素肌当てて寝られないだろ。


「平気。岩に比べて地面は暖かい。地面で寝るの、慣れテる。寝れる。」


慣れてる?年頃の女が?地面で寝るの慣れてる?

異世界はこの世界に比べて文明がすすんでるし平和だって聞いてんだがそうでもないのか?地べたで寝るの慣れてるとか殺伐としすぎだろ。いや、召喚者の中にはここよりも文明の低いところにいた奴も居たな。文明の格差はこの世界でもかなりあるしそういうことだろうか。


結局押しに負けて渋々と服を受け取る。

満足げな顔した女はじゃっ、と言いながら左の部屋に向かった。

まあ部屋の反対側に積んであった干し草を半分くらい持ってったからそれひいて寝るんだろう。

つくづく変な奴だ。

俺ものそりと起き上がって右の部屋でお姉さんの服を敷いて寝転がった。

ようやく一息つけた気がする。

隠し部屋に行けばもっと快適に過ごせるがあの女がちゃんと寝付いてからがいい。

気が付くことはないとは思うができる限り俺の情報を与えたくない。時として情報はかなりの力を持つ。情報ひとつで国が消えることもある。

まあとにかく俺はあと3ヶ月はここにいなければいけない。

まともに魔法が使えるようになるまで魔力が戻るのに一週間。

スキルが戻り始めるまで1ヶ月。

極大魔法が打てるまで2年…

俺が死ぬまであと…

大きく息を吐いて寝返りをうつ。

そんなことは考えるな。

今やるべきことだけをやれ。

大きく息を吸う。

ふと、洞窟とは関係のない匂いが鼻を掠める。下に引いているあの女の服の匂いか。

それは何だか優しくて懐かしくて、


とても、心地いい。


ハッとして起き上がる。

違う。

こんなことをしている場合じゃないだろ。

俺は、こんな、ことを。


服をシワになる程握りしめた。

立ち上がって洞窟の壁の一部に手をかざす。

青白い魔法陣が広がって大人1人が通れるほどの穴が開く。

俺は慣れたようにその中に入って行く。


「あと、一回だ。」


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