表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/81

第12番 小さな人魚の冒険



「ぃよっしゃぁぁぁあああ!!!」


大きな声をあげながら水面に勢いよく飛び出す。そんな私の様子におじさんたちが目を丸くしたり呆れたり口を開けたまま固まったり色んな反応。


「嬢ちゃんそろそろ一回上がったらどうだい。」


ずっと水の中で魚を追い回してた私に見兼ねておじさんが声をかけてきた。

船の方に目をやると結構な数の魚と海獣となんか変な生き物と…ごめん獲りすぎちゃった?

えへえへ笑いながら船に飛び乗ると人魚のおじさんが乾いた笑いを漏らした。もしかしたらおじさんのお仕事取っちゃったのかもしれない。申し訳ない事をしちゃったね。


「にしてもねぇ…お嬢ちゃん、人魚の血でも入ってんのかい?」


笑いながらおじさんがタオルを投げ渡してくれた。海で泳いだのは行きの船が初めてだったけど意外と何とかなるもんだったよ。お魚も美味しいしね、とにゃはにゃは笑ってると船に乗ってるおじさんたち3人は呆けたように「魚…ね…」と私の獲ってきた魚を見てる。鰭があるから魚でしょ?ちょっと大きいけど。


「海に出る前は集合場所がわからんとか言って大声でわしを呼ぶわ、船に乗るって聞いたら魔法で下ろす前に海に飛び込むわ、挙句の果てにこの海域で魚と言いながら大量の海獣を獲ってくるわ…」


あはは、あ、もしかして呆れてる…?


「お嬢ちゃんが大声で叫んだから二日酔いの奴らのトドメになるわ、飛び込んでそのまま消えたと思ったらその間で海獣倒してくるわ、そもそも人魚すら泳がんこの海域で無傷で漁をするわ…当たり前じゃろうが。」


わぁお、容赦なくおじさんがまぁまぁな勢いで私の頭をぺちっと叩いた。…手、痛そうだけど大丈夫?


「ま、こんだけあれば当分食うには困らんじゃろう。干物にして漬け物にして…街にこっそり売りにいく手もある。多くあって困るこたないからなぁ!嬢ちゃんには頭が上がらんわい!」


手を撫でながらもガハハと笑うおじさんを見てちょっと安心。何だかいけないことでもしちゃったのかと思っちゃったよ。後ろの人魚のおじさんだけは今でも悔しそうなんだけどね。え?競争?泳ぐ速さを競いたいの?楽しそうだからいいよぉ〜。


そんな話の片手間にもまた大きな魚が船めがけて飛び掛かってきたので私もジャンプしながら空中でぶん殴る。あぁ、力加減間違えて遠くまで飛んでいっちゃった…あれ取りにいくのに競争する?

競争を言い出したのはおじさんの方なのに首を横に全力で振りながら俺の負けでいいと言い出した。…なんで?あー、そんな間にお魚さんは違うお魚さんに食べられちゃった。あ、そのお魚さんにまた違うお魚さんが噛み付いた。すごぉい。弱肉強食だね〜。


「いやぁ、嬢ちゃんがいるだけで楽しさが一入じゃな!おまいさん、いつまでも居てええぞ!」


豪快に笑いながらおじさんは楽しそうだ。えへへ、そう言ってもらえると嬉しいねぇ。

後ろのおじさん2人は完全に空気になってるけどね!


「んー、まだお魚とる?」


自分の座る場所もないような船の上を見ながらおじさんに一応聞く。私はまだ動けるけど…


「もういらんもういらん!これ以上は加工がおいつかん!!」


ですよね〜。おじさんが全力で首を振るので私も釣られて首を振る。そんなに否定しなくても。


「わしらは今からこいつらを加工せんといかんから帰るが…嬢ちゃんはどうする?」


あ、泳ぎたりてないのバレちゃった?正直もうちょっと泳ぎたい。


そう言ったらおじさんが何か五百円くらいのサイズの丸い石をくれた。なぁにこれ?


「そいつは方角を教えてくれる魔道具だ。わしらの砦は赤い石と黄色い石のちょうど中間に向かって泳げばたどり着ける。首に負けるチェーンがついとるじゃろ。ここに残るならそれをもっとれ。」


ああ、包囲磁石みたいなものか。石の中に透明な水みたいなのが入ってて四方に赤、青、黄、白の石がハマってる。どんなに向きを変えても石の場所が変わんないなんて不思議だね。

でもこれがある限りこの私でも帰れそうなので元気よく右手の親指を立てた。それをみたおじさんが小声でそれが心配なんじゃという。…何で?


「とりあえず日が落ちるまでには帰って来いよ〜!」


船の上から手を振ってくれたのが見えるので私も大きく手を振って答える。んー自由時間だ!!

海で遊ぶなんてガイアじゃ出来なかったから目一杯遊ばなきゃ!

深く潜っては勢いよく水面に飛び出したり早く泳ぐイルカみたいな生き物と並走して泳いだり、うわぁ、すごいたのしぃ〜!!イルカみたいなのと並走していたら何だか絆が生まれてきた気がしたのでその子と何度も水の上で跳ね回る。何故か他の海獣たちはどこか消えたけど泳ぎやすいから問題なし!

キュルキュルと鳴くイルカちゃんがすっごく可愛い。楽しそうにしてくれるからルンルンって名前をつけた。そう呼ぶとちゃんと近づいて来て私の顔に顔を擦り付けてくるし、頭いいんだね。ああもう可愛い〜!

小さい魚とか捕まえて餌をあげてるとク〜って高い声が海の底から響いてきた。ん?なんの声だろう。その声を聞いたルンルンはテンション高くキュルキュル鳴いてる。

わぁ、水が大きく盛り上がったと思ったらルンルンと比べられないほど大きなイルカが出てきた。そのイルカに向かってルンルンが嬉しそうに飛び跳ねる。あ、もしかしてお母さん?

私がお世話になってますって言いながら頭を下げるとイルカのお母さんも真似して頭をチャポッと水につけた。これはどうもどうもご丁寧に。お母さんイルカがクークー鳴いてそれにルンルンが何かキュルキュル返事してたけど悲しそうにキューって鳴いた後私の元に帰って来て頬ずりをした。

あー、あれか、もうお家帰るわよ、まだ遊ぶの!いい加減になさい、的な親子の会話。結局お母さんには勝てなかったんだね。でもそんなに楽しんでくれたのは嬉しかった、ありがとう!

名残惜しいけどお別れだからルンルンをナデナデする。ルンルンも名残惜しく思ってくれているのか離れようとしない。お母さんイルカも少し離れた場所からこちらに優しい目を向けてくれている。ほんっとうに名残惜しいけど、お母さんも待ってるしそろそろ帰った方がいいよ?

バイバイって言おうとしてあ、と止まる。急にガサゴソし始めた私をみてルンルンが不思議そうに頭を傾げた。


「ヒレの付け根に…痛くない?大丈夫みたいだね!」


右側の鰭に小さな宝石のついたネックレスをかけてあげた。小さなくぼみのところに合わせてつけてあげたから多分落ちないと思う。

それを横目で頑張ってみたルンルンは何度も鰭を動かした、と思ったらその場で大きく跳ねた。よかった、気に入ってくれたみたい。マイくんがそれがあれば私の居場所がわかるって言っていたしそれがある限りまた会えるよ!

私の言葉をきちんと理解してくれたのかルンルンはまた一度頬を擦り付けてお母さんのところに帰っていった。

…ああ、見えなくなっちゃった…ちょっと寂しい。…あのネックレス勝手にあげたことマイくんにバレたら…怒られるかも?ま、その時は潔く怒られるとしよう!くよくよ悩んだってしょうがないこともあるさ!


水面に両手を広げて浮かぶ。何でかお魚さんたちはどっか行っちゃったから何かを獲って遊べないし暇になっちゃったなぁ。そろそろ帰ろっかな。

もう一度水に潜って勢いよく水面に飛び出して、最後にルンルンがやって見せてくれた空中で大きく一回転するジャンプを真似てみた。ああ、海って気持ちいんだなぁ。私も人魚になってみたいもんだ。


ジャンプを二、三回繰り返してから水面に頭を出すと、ほんの少し先に何か大きな鱗のある生き物の頭に乗った人魚の少女が目をまんまるに見開いてこちらを見ていた。



____________________




皇江から最後に出たのはいつだったでしょうか。御付きもいないのにたった1人で宮外に出てしまったことに罪悪感が湧きます。それでも感じたことのない胸の高鳴りに私は前を見ることしかできません。お叱りは帰って受けますので今は目の前の世界を見つめたいのです。

街中の中央水路を海龍様が優雅に泳ぎ進みます。中央水路の端から端までありそうな水龍様の体はきっと空から見れば優雅なのでしょうね。もちろん街中を通る人は沢山います。皆例外なく私達を見れば悲鳴をあげて逃げて

行きました。皆様を怖がらせてしまったみたいで申し訳ないのです。でもこの水龍様が通れる場所がここしかなかったのです。ですがこの中央水路の使用申請など当たり前ですが出してはいません。今前から何か大型船が来てしまえば皆怪我をしてしまうでしょう。どうにか早く海に出なければ…


急に体がガクンと傾いて慌てて水龍様に掴まります。急に水龍様が長い首を持ち上げて周りをキョロキョロとしています。


(どうかしましたか?)


首元を撫でながら頭で語りかけても声が届くはずがありません。先ほどまでいたいほどに響いていた海龍様のお声も今は感じませんし、私は思念魔法もへたっぴです。意思疎通がなかなか出来ません。本当にどうしましょうう。


私が考えている間にも海龍様は大きな体で水路から上がりどこかに向かって歩いて行きます。元々水路を大きく進んで町外れまで来ていましたのにこのままじゃ水路のない森に入ってしまいます。

海里の授業で宮周辺の地図は習ったはずですが…ん〜、思い出せません。こっそり寝なければよかったのです。

このまま海まで行けるかと少し楽しみに知っていましたがこのままじゃ森の中で終わりかもしれません。本物の海の中で泳げるかと楽しみにしていたのにほんの少しがっかりなのです。


海龍様は大きな体を重たそうに歩いていたと思いましたら立ち止まった先は崖…ですか?

首から体を乗り出して崖の下を覗きますが遠くてよく見えません。


海龍様は立ち止まったまま体をくねらせています。何か体調でも悪いのでしょうか。心配になって来ていよいよ声を出そうかとした時、大きな風とバサリと大きな音が耳を掠めました。急に日陰になった上を見上げて思わず感嘆の声が漏れ出てしまいました。海龍様の体のどこに仕舞われていったのでしょう。海龍様の大きな体もすっぽりと入れてしまいそうに大きな大きな、まるでおとぎ話の人魚の鰭のように美しく透けた翼が広げられていたのです。

声が出せないので私は両手を叩いて喜びました。なんてワクワクするのでしょう!!

ん?そこで気が付いたのですが、崖に翼…もしかして…


海龍様は大きく咆哮を上げるとそのまま崖に走っていきました。あらら。ちょうどそのあたりで後ろから神子様〜!!!???と幾つもの叫ぶ声が聞こえましたが残念ながら全て咆哮に消されてしまったのです。

そのまま私たちは崖下に海龍様ごと飛び込みました。落ちるかと思ったのですがガクンと衝撃があった後はふわりと不思議な感覚なのです。恐る恐る強い風の中で目を開けると一面に大きな大きな、私が夢にまでみた、誰もいない、自由な海があったのです。


「すごい…すごいのです。すごいのです!!」


耳を切る風の音が大きくて自分にも声は届きません。ああ、なんて気持ちが良いのでしょう!飛ぶというよりも滑空に近い形で大きな海に近づいていきます。後ろをみてみれば陸地があんなにも遠いのです。人魚は風魔法が水魔法の次に得意なものが多いのですが浮遊が得意なものは少ないのです。もう少しだけ自由なのかもしれない。そんな希望が今は嬉しいのです。

永遠に感じた滑空は大きな飛沫をあげて終わりました。ああ、なんだか耳の中が変な気がします。でも楽しくて、私はなんだか笑ってしまいました。生まれて初めて声をあげて笑いました。

海龍様は気にすることもなく海鳥のように優雅に進みます。どこに向かっているのかはわかりませんができる限り長い時間をここで過ごしたいのです。

海龍様の頭の上までよじ登って海を見渡しました。どこをみても海なのです。私は嬉しくて頭の上でくるくる回ります。

どれほど経ったでしょう。陸が見えなくなって久しいころに小さな水飛沫を聞きました。初めは何か海獣の類かと思ったのですがテンポ良く何回も水飛沫の音がします。

その音に海龍様も気が付いたのかそちらの方向に向きます。少し音が止んだ後、目の前に太陽のような人魚が現れました。

夕焼けの長い髪を綺麗に弧を描かせて彼女は美しく水面に飛び込みました。何度も何度も、今まで見たどの人魚の舞よりもそれは美しかったのです。何度も繰り返して満足したのか美しい人魚は水面に顔を出して一息つきました。


「…ん?」


その黄金色の瞳と目が合ったとき、私はアサヒに初めて出会ったのです。


皆さんお待ちかね〜な茶番こーなーですよ〜。

はいパチパチ。え?なんで前回はなかったかって?世の中は知らなくて良いこともあるのですよ…(サボりました)


さてさてさーて、今日の質問はどうしましょーかね。


Q,犬くん猫ちゃんっておいくつなのですか?


んー、年齢出てませんでしたね。さぁお二人さんどうぞこちらに。


A,あ?年?…んなもん数えたことねーからな…ロゼと会ったのが15ん時であん時は戦争前で…いや、戦争中盤…?

…忘れた。


はんっ、これだから犬はダメなのにゃ。脳みそが空っぽで。勿論猫は覚えてるにゃ!猫はじゅぅこいつ結構ババアだぞ。確かもうさんっゔぇぁばばっ!!

犬ッコロ、覚えとけよ。

というわけでっ、猫はずぅ〜っと18歳なのにゃ♡


はぁい、お二人さんありがとうございました。みなさん、レディに年齢を聞くのはやめましょうね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ